グレンモーレンジ 18年 1990-2000年代流通 43%
GLENMORANGIE
YEARS 18 OLD
SINGLE HIGHLAND RARE MALT SCOTCH WHISKY
1990-2000’s
750ml 43%
評価:★★★★★★(6)
香り:甘やかで柔らかい香り立ち。ブラウンシュガー、キャラメル、微かにみたらしの要素も混じる色濃い甘さ。合わせて牧草、麦芽香もしっかりと感じられる。
味:香り同様に柔らかくしっとりとした口当たり。まずはシェリー樽熟成を思わせる色濃い甘さ、キャラメルや微かにダークフルーツ。そしてやや野暮ったさに通じる麦芽風味、バニラやパン生地の甘さ、徐々にほろ苦くビターなウッディネス。
現行18年の華やかさとも、1世代前の90年代初頭流通の陶酔感伴うシェリー系18年(写真下)とも異なる、2000年前後の緩やかで甘やか、そして少し植物感などが混じる野暮ったさ、牧歌的な麦芽風味の混じる癒し系。
洗練されても突き抜けてもいないがそれが良い、どこか安心感を感じてしまう、この流通時期らしいモーレンジの個性を味わえる1本。
初めて飲んだというわけではなく、今まで何度も飲んでいるボトルですが、レビューしていなかったので掲載します。
バーボン樽や麦芽風味のフレーバーがメインにある10年と加えて、シェリー樽熟成原酒の要素を感じられるのが、1990年からリリースを開始したとされるグレンモーレンジ18年です。
ただ同じ18年といっても、時代によってフレーバーの方向性は変わっており、今回はその点を少し掘り下げていきます。
現行品の18年は、シェリー樽原酒こそ使われているものの役割は全体に厚みを出す程度。現行18年の象徴とも言える、ラグジュアリーな華やかさは、バーボン樽熟成原酒の役割となっています。
一方で、1990年のリリース当初の18年は、シェリー樽原酒の個性が強く出て、そのクオリティはまさに黄金時代。甘やかでフルーティーで艶やかで…陶酔感を感じさせるもの。
どちらのボトルもその流通時期を俯瞰して、ハイレベルな1本であることは間違いありません。
そして今回紹介する1990年代後半から2000年代流通のグレンモーレンジ18年は、属性としてはそのどちらにも属さない。
シェリー樽原酒は60−70年代の黄金時代とは言いがたく、バーボン樽原酒は近年の市場を抑えた華やかでフルーティーさを全面に出せるようなものでもない。この時期のグレンモーレンジらしい野暮ったさのある麦芽風味を主体として、華やかでもフルーティーでもない、甘やかさとウッディさが備わった味わいが特徴です。
シングルモルトウイスキー市場は2000年代以降に本格的に拡大してきた歴史があり、いわばそこまでは、どんな味わいが市場で評価されるのか各社手探り状態だったところ。シェリー樽の色濃い甘さやダークフルーツを思わせる果実感。バーボン樽の華やかで黄色系のフルーティーさを思わせるオークフレーバー。そしてトロピカルフルーツ。
この辺を意識して各社がリリースをし出したのは、まさに最近なんですよね。
そうした歴史から、今回のグレンモーレンジ18年は、ブレンデッドウイスキー全盛期からの過渡期の1本。18年だけでなく、同時期の10年も妙に野暮ったいフレーバーが目立つ構成となっています。
ただ、この野暮ったさが完全に悪かというと決してそうではないんです。都会に住んでいると田舎の空気に心が安らぐ瞬間があるような、洗練されていないものに味を感じるというか。。。
何れにせよ、今のウイスキーにはない魅力を持った1本であると言えます。
今回のレビューアイテムは、御徒町にオープンした「リカースペース榊」でテイスティングしました。
チャージ2000円と、通常のBARに比べると高額なように感じますが、無料で飲めるボトルに加え、このモーレンジが1杯●00円など、基本的には原価に近い価格で提供。
また、強い匂いを出さないフードは持ち込み自由など、フリーな感じも面白い。
色々飲んで勉強してみたい方、おすすめのBARです。