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カテゴリ:クラガンモア

クラガンモア 12年 スペシャルリリース 2019 58.4% 

カテゴリ:

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CRAGGANMORE 
Special Release 2019
Aged 12 years 
Distilled 2016 
Cask type Refill American Oak 
700ml 58.4% 

グラス:シュピゲラウ
時期:開封後1週間程度
場所:新宿ウイスキーサロン
評価:★★★★★★(6)

香り:柔らかい香り立ち。乾いた麦芽、籾殻、淡いオーク香。奥には乳酸系の酸があるが、エステリーでじわじわとピートスモークが存在を主張する。

味:麦芽由来の甘味が柔らかく広がる。仄かに洋梨のアクセント、余韻にかけて少し若い乳酸、度数由来の刺激が時間差で届き、焦げた藁や土っぽさを伴うスモーキーなフィニッシュ。

些か若さのある香味がベースにあるが、麦の甘味とピートフレーバーがその若さの上に重なって、淡い樽香が繋ぎになってうまくまとまっている。この酒質ベースかつバランスの取れた作りはいかにもディアジオのリリースらしい。ただ、クラガンモアに強めのピートという組み合わせは新しく、美味しさ以上に面白みのあるリリース。


クラガンモアと言えば、麦芽風味主体の牧歌的な内陸モルト。かつては麦芽風味が厚く、やぼったい感じが逆に魅力でもありましたが、近年はウイスキー全般の傾向よろしく麦芽風味やボディが弱く、ややドライでピート香もライトなタイプになり。。。正直目立たないというか面白みのないシングルモルト、という印象がありました。

今回、スペシャルリリースでクラガンモアのカスクストレングスが久々にリリースされるとあり、気にはなっていたのですが、まさかのピーテッドモルト。ってか仕込んでたのね変わり種。2016年に試作されたミディアムピーテッドモルトとのことですが、オールドパーやジョニーウォーカーあたりに使っていたのでしょうか。
序盤のハイプルーフらしく厚みのある麦芽風味、ほのかに白系のフルーティーさが広がる感じはクラガンモアらしさを思わせる個性。このままで普通に美味しいウイスキーですが、余韻にかけて存在感を増していく、ピートフレーバーが異質なのです。

香味の系統としては、アードモアより麦芽風味が厚く、ハイランドパークほどピートに癖がない。オールドプルトニーから潮気を取ると一番近いかな。。。という感じで、何れにせよ飲んでいてその辺りの蒸留所との一部共通点を思わせるような香味構成となっています。
少なくとも、ブラインドで飲んでクラガンモアが出てくることはまずないと思います。

純粋な味わいとしては若さは若干あるものの、このピートが良い仕事をしています。樽の効かせ方もバランス良く、今年のリリースでオード、タリスカー、ラガヴーリンらはまさに王道という構成ですが、クライヌリッシュに対するブローラのような、可能性を楽しめる1本。美味しく楽しませて貰いました。

Seeyounextmuscle

今日のオマケ:グレンマッスルNo,3 リリースのお知らせ。

この1週間は色々バタついていて、更新が不定期&頻度低下してしまいました。
仕事の終電帰りが常時だと体力的に厳しく。。。まあ元気にやってます(笑)。
私的な話はさておき、来月グレンマッスルのNo,3がリリースされます。
No,2と同時平行で昨年仕込みを完了していたので、前作から2ヶ月という短期間でリリースが続くことになりました。

No,2はモルティーでフルーティーなタイプ。強い味わいのなかにシングルカスクとは異なるブレンドらしい複雑さ、飲みやすさ。開封後の変化も合わせてSNS等での感想は概ね好評だったようで、関わった一人として安心しました。
そして来月リリースされるNo,3は、これまでとは180度キャラクターの異なる、ピーティーなブレンドです。
恐らく万人向けとは言い難いですが、これも愛好家が求める味わいの一つであり。構成原酒のうちキーモルトとなる日本の蒸留所について、大きな可能性を感じる仕上がりだと思います。
詳細は追って公開します。これまでのリリース同様に、楽しんで貰えたら嬉しいです。

クラガンモア 12年 1990年代流通 43%

カテゴリ:
IMG_20190705_221832
CRAGGANMORE 
Classic Malt Series 
Age 12 years 
1990-2000's
750ml 43% 

グラス:国際企画テイスティンググラス 
時期:開封後1週間程度 
場所:お酒の美術館 神田店 
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:甘みのあるややドライな香り立ち。麦芽の白い部分を思わせる白粉のようなアロマ、パンケーキなどの洋菓子、すりおろしりんご、ほのかにスモーキーで徐々にビターな印象も感じる。

味:マイルドな口当たり。程よい酸のある麦芽風味はオレンジやおしろい、生焼けホットケーキのような粘性と粉っぽさを同時に感じる。余韻にかけてはピーティーでほろ苦く、麦芽系のニュアンスはやや張り付くように感じられるが、比較的さっぱりと消えていく。

古典的なハイランドモルトに通じる構成。樽はリフィルのバットが主体かあまり主張はないが、その分厚みのある麦芽風味が特徴的。また麦芽風味のなかに多彩な香味要素が溶け込んでおり、単に麦系な酒ではない奥深さが魅力である。加水すると洋梨を思わせるフルーティーさ、さらにマイルドでスウィートな味わいに。


1988年、UD社傘下時代にクラシックモルトシリーズのひとつとなったことで、シングルモルトのリリースが始まったクラガンモア。
それまではオールドパーやホワイトホースなど、DCL傘下のブレンド銘柄の構成原酒ではありましたが、恐らく知名度という点ではほとんどなかったであろうモルトのひとつです。

ただ、シングルモルトとしての魅力がないわけではなく、その可能性をメーカーサイドが評価していたということが、UD傘下の数多くのスペイサイド蒸留所の中からクラシックモルトに選ばれていることからも明らかです。
当時のクラガンモアが備えていた厚みのある麦芽風味は短熟では多彩な、長熟ではシェリーやバーボン樽の要素に耐える酒質であり、コアなファンも多く。オールドのクラシックモルト・クラガンモアを飲むと、そのポテンシャルが伝わってくるのです。

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(1988年頃からリリースされた、UDクラシックモルトシリーズのクラガンモア初期ボトル。細かいデザインの違いはいくつかあるが、ラベルの模様が少し緑色を帯びているのと、CRAGGANMORE表記の斜め上にSPEYSIDE表記がポイント。)

なぜそのようなフレーバーが出ていたのか。そしてなぜ現行品のクラガンモアからは失われてしまったのか。その他の銘柄含めて大いなる謎のひとつです。
クラガンモアは蒸留設備について大きな変更がなく、名物とも言えるスワンネックをカットした、特殊な形状のスチルは現役。一方、クラガンモアは1990年代までフロアモルティングを行っていた蒸留所であり、熟成年数から逆算していくと近年のフレーバーの線の細さの要因になっているのは精麦行程ではないかと考えられるのは、他の蒸留所とも共通する事項と言えます。

勿論これだけが背景にあるとは考えられず、蒸留の際の流量やワームタブでの冷却温度なども関連する要素に考えられます。
フレーバーがどの蒸留所でいつ頃消えたのか、あるいは新たに生じたのか。その前後に蒸留所で何があったのかを時系列でまとめてみると、見えてくるものもありそうです。


余談ですが、クラガンモア蒸留所の形状を上空から見ると、コの字に近い形状になっていることがわかります。
クラガンモア以外に、大がかりな改装を行っていない蒸留所などは、この形状であることが多いのですが、これはキルン棟にあのパゴダ屋根のデザインを採用した、蒸留所設計者チャールズ・ドイグの設計に見られる特徴なのだそうです。

蒸留所の真ん中のスペースに資材、麦芽などを搬入し、コの字の下側から上に向かうように各種工程が配置されている。そして最大の特徴であるパゴダ屋根のキルン塔。
近年はネットでの情報発信やツールの充実から蒸留所を現地以外からも見ることができるようになりました。
酒質以外に建物の作り、配置を見てみるというのも面白いかもしれません。

クラガンモア 17年 マネージャーズドラム 62%

カテゴリ:
CRAGGANMORE
The Manager's Dram
Aged 17 years
Distilled 1974-1975
Bottled 1992
Cask type Sherry
750ml 62%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:KuMC@Bar Sandorie
時期:開封後1年程度
評価:★★★★★★(6→7)

香り:ハイトーンでスパイシー、かりんとうやローストした麦芽を思わせる香ばしい香り立ち、メンソールのアクセント。奥には杏子、あるいはレーズンを思わせるほのかなシェリー感があり、スワリングせずに様子を見ているとじわじわと存在を主張してくる。

味:スパイシーかつヒリヒリとしたハイプルーフ故の刺激を感じる口当たり。オールブラン、ローストした麦芽風味、ブラウンシュガーや微かに杏子のシロップ。余韻はハイトーンで長く続く。

マネドラ及びUDレアモルトによくあるパワフル&ハイトーン系。おそらくリフィルシェリーバットの熟成で、元々がバリッと硫黄の効いた樽だったのだのか、このボトルにも微かにその残滓が感じられる。加水するとトーンが落ち着き、オールドシェリー系の甘みが引き立つだけでなく、麦芽風味も開いて本領を発揮する。


マネージャーズドラムは、ディアジオの前身となるUD社が傘下の蒸留所の原酒を使って年1回ボトリングしていた関係者向けのシリーズ。一般には販売されておらず、お偉方の配るギフト用とか、あるいは今で言う社内向け販売みたいな、そんな感じの位置付けだったのかもしれません。

試みはDCLからUDへと移行した1980年代に始まり、蒸留所責任者がコンペを行って、100を越える原酒の中からノージング(ブラインド)で選ばれたものがボトリングされていたそうです。
毎年異なる蒸留所からリリースされ、しかも重複がないことから、全傘下蒸留所を対象としたコンペではなく、おそらく各蒸留所の持ち回りでカスクの選定が行われていたのでしょう。選び手の好みが反映されているのか、マネージャーズドラムはほとんどの蒸留所で、度数が高くハイトーン、まさに樽出しという構成となっています。

今回はボトラーズリリースが少ないクラガンモアであることに加え、蒸留時期的にも中々良いビンテージです。
樽は淡くオールドシェリー感が漂うタイプながら、ちょっと残念なのが硫黄の残滓がフルーティーさの邪魔をしていて、少し時間をかけて様子を見ながら飲んでいく必要があること。
ただし、この手のハイトーンなタイプはストレートより少量加水向きで、度数が50%前半くらいになる分量を目安に水を加えると、甘みが引き立つだけでなく、樽の裏に隠れていた麦感も開いて良い塩梅になると感じます。(あるいは開封から5年くらい経過したものか。。。)


このボトルはウイスキー仲間主催の持ち寄り会に、東京立川のBAR サンドリエのマスターが持参されたものを頂きました。
勿論同店でも提供されているボトル。他のマネージャーズドラムでは、リンクウッドやブレアソール、レアなところでグレンスペイなどもバックバーに開封されています。

クラガンモア 2002-2017 ディスティラーズエディション 40%

カテゴリ:
CRAGGANMORE
Distillers Edition 
Distilled 2005
Bottled 2017
Port Wine Cask Finish
700ml 40%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:BAR飲み@Y's Land IAN
時期:開封後数日以内
暫定評価:★★★★★(5)

香り:ドライでウッディな香り立ち。やや草っぽさが強く、ハーブ、お茶のえぐみ、徐々に乾いた麦芽香。奥には灰のような微かなピート香も感じられる。

味:口当たりから草っぽさ、葉物のサラダを食べたような香味から、モルティーなほろ苦さ、カステラ、ケーキシロップを思わせる甘み。余韻はややべたつくがほのかなスモーキーさを伴い穏やかに長く続く。

薬草、あるいは香草的なニュアンスを含む香味で、一口目は特にそれが強く、草を食べてるように感じた1本。今年のディスティラーズエディション中最も特異な味わい。
他方何口か飲んでいると上記ニュアンスが気にならなくなり、モルティーさが主体に。


ここ数年のディスティラーズエディションで、最もポジティブな特徴がなかったと言えるのがクラガンモア。
オーク系のニュアンスと共に案外良いねと思ったのは2015リリースですが、今年はあまりいい意味ではない方向に特徴的。ネガティヴ一辺倒なのは気が引けますが、これがポートワイン樽の難しさなのかなと感じる要素です。

クラガンモアは麦感と蜂蜜のような甘み、そして内陸系のスモーキーなアクセントがある、質の良い酒質を持った蒸留所です。オフィシャル12年も比較的出来が良く、今回のボトルは時間経過でその酒質由来の香味が後付けの樽感をカバーしてくるあたり、持ってるものは間違いない。
やはりクラガンモアは余計なことしないで、そのまま蒸留所の個性を伸ばした方が良いと改めて感じたところです。長熟のボトラーズリリースとか、数は少ないながら美味しいものが結構ありますし。

蒸留所の個性をそのまま伸ばすと言えば、クラガンモアはスペシャルリリースも何度かリリースされており、2014年には25年がラインナップされていました。ブログに掲載していませんが、以前IANやイベントで飲んだ際は麦由来の甘みと香ばしさ、ドライフルーツの酸味がある美味しいモルトだったと記憶しています。
なんて書いていたら、久しぶりに美味しいクラガンモアが飲みたくなりました。今度飲みに行ってきます(笑)。

クラガンモア 2004-2016 ディスティラーズエディション 40%

カテゴリ:
CRAGGANMORE
Distillers Edition 
Double Matured 
Distilled 2004
Bottled 2016
700ml 40%

グラス:サントリーテイスティング
場所:BAR飲み(Y's Land IAN)
時期:開封後2ヶ月程度
暫定評価:★★★★★(5)

香り:干し草のような乾いた植物感、アメリカンオークの癖とシロップの甘いアロマ、徐々に麦芽香もある。

味:スムーズな口当たりからほろ苦い麦芽風味、キャラメリゼ。干し草、やや薄めだがじわじわと土ぽいピートが染み込むようにほろ苦い味わいと共に感じられる。
余韻はスモーキーでビター、えぐみがある。カカオパウダー、アーモンド、を思わせるタンニンがはっきり感じられ、長く続く。

ルビーポートワイン樽で追加熟成されたためか、甘みに加えタンニンやえぐみといったニュアンスもスタンダードリリース以上に付与されている。今年のリリースは後者が少々強いイメージだが、40%加水でそれをまとめている印象。水を加えると甘みがより薄く、水っぽくなってしまう。


クラガンモアと言えば派手さはないが、華やかで柔らかい、麦芽風味主体のモルト。スペイサイドモルトですが、ハイランド的な特性が強く感じられます。
オールドボトルは特にそのニュアンスがわかりやすく、それがらしさとして感じられるところ。このダブルマチュアードはそうした酒質をベースに樽感が付与されているため、時に別物という仕上がりを見せることもあります。

今回の2017年流通品は、テイスティング記載の通りルビーポート樽由来と思しき甘み、それ以上にタンニンや樽のニュアンスが強く、いい部分も悪い部分も含めて、らしさはあまり強くない1本だなと感じます。
では蒸留所のらしさはさておき、全体の完成度はというと、小さくまとまっているイメージで、個人的にはこれもあと一手ほしい、中途半端さが。。。
結局のところ、クラガンモアという蒸留所は特別クオリティの高い樽に当たらない限りは、あまりいじることなく、そのままの特性を伸ばしたほうが良い仕上がりになるのかも。
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この一連のダブルマチュアードシリーズは、特に内陸モノは飲み手の好みによらず平均して飲めるだろうというリリースが少なくありません。万人受けというか、特に感動もしない変わりに「美味しいよね」と言ってもらえるクオリティが維持されている。
その中でも今年はダルウィニーに光るモノがある一方、クラガンモアは面白みに欠けると言わざるを得ない出来だと感じました。もっと出来る子だと思うのですが、ここ数年、キラリと光るクラガンモアのニューリリースに出会っていないのは残念です。

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