グレンマッスル No,7 NAGAHAMA BLEND 56.2% 発売情報とスペースの告知
GLEN MUSCLE
No,7 "Episode 1/3"
NAGAHAMA BLEND
Peated Malt Japanese Whisky & Scotch Whiskies
Aged 3 to 30 years old
700ml 56.2%
評価:★★★★★★(6)
香り:エステリーでスモーキー、焦げた木材、石炭のような香ばしさ、焦げ感を伴うピート香に、パイン飴のような人工的な要素も伴う黄色系のフルーティーな甘さと、鼻孔を刺激するドライなアタック。スワリングすると蜜入りの林檎、あるいは蜂蜜のような粘性をイメージする要素もあり、時間経過で馴染んでいく。
味:香りに反して柔らかい口当たりから広がる、骨格のはっきりした酒質。 アメリカンオークに由来するバニラ、黄色系フルーツ、そして酒質由来のエステリーさとフルーティーでケミカルな甘み。ピーティーでスモーキーな含み香。微かに海苔のような海藻を思わせる要素。余韻はオーキーな華やかさとほろ苦いピートフレーバー。麦芽風味の包み込むような柔らかさが、鼻孔に抜けるスモーキーさを残して穏やかに消えていく。
エステリーでフルーティーでスモーキーなブレンデッド。スモーキーフレーバーはライト~ミディアム程度で、強く主張せず香味の複雑さに繋がっている。注ぎたては少しばらつくような印象もあったが、グラスの中で加速的に馴染み、開いていく。多様な原酒を用いたカスクストレングスのブレンデッドの特徴とも言える変化であり、こうしたリリースの醍醐味と言える。
少量加水するとケミカルな甘さ、アメリカンオーク由来の熟した洋梨、微かにトロピカル要素を纏った香味がスモーキーフレーバーよりも前に出て、よりフルーティーな味わいへと変化する。
長濱浪漫ビールから、2021年7月1日に発売される予定のグレンマッスル第7弾ブレンデッドウイスキー。グレンマッスルとは何か、についてはもう説明不要ですね。美味しいだけでなく、尖った面白さのあるウイスキーをコンセプトに、今回のリリースも監修・協力させて頂きました。
No,7の構成原酒は
・長濱蒸溜所で蒸留、3年熟成を経たピーテッドジャパニーズモルトウイスキー。
・スコットランドから調達した、20年熟成のグレーンウイスキー。
・同じくスコットランド産の10年~30年熟成のモルトウイスキー。
レシピを監修するにあたり、長濱蒸溜所から提供頂いた10種類以上の原酒の中からこれらを選定し、ブレンド比率を模索。表記や価格設定から、若い原酒やグレ―ンの比率が多いのではないかと思われるかもしれませんが、長濱モルトを軸に、20年熟成以上の原酒は全体の約半分。モルト比率も75%と、リッチな構成になっています。
※ご参考
本リリースの販売は、以下、長濱浪漫ビールオンラインショップにて行われます。
発売日:2021年7月1日 12:30~
価格:14850円(税込み)
ボトリング本数:200本
URL:長濱浪漫ビール オンラインショップ | (romanbeer.com)
※ご参考2
リリースに先立ち、メンバーによるtwitterスペースでのグレンマッスルNo,7に関する配信を行います。
開催日時:6月23日22:00~23:00
ホストアカウント:@koutetsuotoko
※スピーカーはメンバーに限りますが、質問時間は設定させて頂きます。DM等で質問頂いても問題ありません。
今回のリリースの特徴は、なんといっても3年熟成のジャパニーズウイスキーと、最長30年熟成のスコッチウイスキーという、異なる地域における熟成年数最大10倍違いの組み合わせです。情報がオープンになっている日本のリリースとしては、最も幅広い組み合わせのブレンドではないでしょうか。(非公開のものを含めるとわかりませんが。)
中でもキーモルトである長濱モルトについては、我々から長濱蒸溜所に「是非使わせてほしい」と、お願いしていたもの。そのため、まず活かしたかったのは長濱モルトの個性です。多少若い要素はあるのですが、3年熟成とは思えない口当たりの柔らかさと、創業初期の原酒に比べて骨格のはっきりとした麦芽風味、柑橘、そしてじわじわと主張を強くするピートスモーク。熟成に使われた樽は、アイラ島の某蒸留所で使われていたクォーターカスクであり、まさに聖地からのギフトとして、ピートフレーバーをより複雑なものにしてくれている、将来が楽しみな原酒です。
この原酒に対して何を合わせていくか。難しいのは、単に熟成年数が長い原酒を混ぜれば美味しくなるというわけではないことです。
例えばグレーン。前回のリリース(No,6 Nicebulk‼)で追いグレーンとして使った、38年熟成のグレーンも選択肢としてはあったのですが、この長熟グレーンはウッディなフレーバーが強く、色濃くメローな甘みもしっかりあるタイプで、少量でも全体のバランスに作用してしまいます。単体で飲んだり、”追い”で使うなら良いのですが、ブレンドの繋ぎとして必要な量を使うと、モルトの個性を潰してしまうだけでなく、ウッディさが目立って余韻が苦くなってしまうのです。
一方で、今回使用した20年熟成のグレーンは、単体ではそこまででもないのですが、適度にドライ、エステリーでフルーティーな甘みもあり、ウッディさも目立たない。潤滑油として実にいい仕事をしてくれました。
モルトも同様で、30年熟成のスコッチモルトは、ハイランドモルトの乾いた牧草や麦芽を思わせる垢抜けないキャラクターの中に、好ましいフルーティーさのある穏やかなタイプ。これも使いすぎるとメリハリのない味わいになってしまいます。あえて10年~30年という幅を持たせた組み合わせにしているのは、1番から9番まで4番打者を揃えるのではなく、逆に価格ありきで若い原酒を大量に使うのでもなく。適材適所で、主役を引き立てるために適切な分量で使っていくことが、多層的でバランスの取れた味わいを作るために必要だったのです。
こうして仕上がったブレンドを改めてテイスティングすると、3年の長濱原酒の個性を活かすというコンセプトもあるのですが、30年熟成を中心に、スコッチモルトにあるフルーティーな個性を長濱モルトの若さ、しっかりとした骨格で支えるような、2つのコンセプトが見えてくる味わいに仕上がったように感じています。
また、そこに合わさるスモーキーフレーバーも香味の複雑さに一役買っており、ブレンデッドウイスキーだからこそ造れる味わいの醍醐味に通じていると言えます。
若い原酒の良さ、長期熟成原酒の良さ、それぞれのネガ要素を打ち消して、良い部分を伸ばす。今回リリースするうえで、理想としたブレンド像に近づけることが出来たように思います。
(左から、30年熟成スコッチモルト、38年熟成、20年熟成スコッチグレーン。ラベルは上の長濱3年も含め、テストプリントの名残。)
以上、今回も様々な原酒をテイスティングしましたが、ブレンドに使うだけではもったいないと感じた原酒が2つありました。
我々はその原酒をブレンドにおけるキーモルトとしつつ、あえてそのままでリリース出来ないかと考え…例によって長濱さんにワガママを言い(笑)。
サブタイトルとなっているNo,7 Episode 1/3は、グレンマッスルNo,7が3部作であり、今後は先の構成原酒を用いたリリースが2種類予定されていることを意味しています。リリース本数、時期についてはまだ正式に確定していませんが、飲み比べることでブレンドの奥深さと楽しさを一層感じて頂けるのではないかというのが、今回のGLEN MUSCLE No,7を通じた狙いでもあるのです。
最後に、今回のラベルは古典的なボトラーズリリースのデザインをイメージして仕上げました。
GLEN MUSCLEのラベルづくりは、方向性を決めるため、いくつか異なるデザインコンセプトで案を作り。そこから選ばれた案の中で複数パターン作り、何れも関係者間のアンケートで最終的なラベルを決定しています。
今作も方向性として案1,2,3と作ってみたのですが、一番手間のかかった案2が「バーボンっぽい」として一番不人気だったのが、いかにもデザインの世界らしいなぁと感じる出来事です(笑)。
そして最後はテストプリントを繰り返し、実際に張り付けて外観をチェック。前作は蒸留所側とのやり取りが不足し、これが不十分でアンバランスな感じになってしまいました。ボトルは曲面なので、貼り付けてみてみると微妙にバランスが変わるんです。
こうして調整しては印刷し(カラープリンタ無いので近所のコンビニで)、セットとなった今回のラベル。ポットスチルの画像は、勿論長濱蒸溜所のものです。内外とも悩んで、苦労して、形になったものを飲む喜び。評価は自画自賛しても仕方ないので参考程度に★6としていますが、こればかりは何物にも替えられない達成感がありますね。
ブレンド監修では、長濱浪漫ビールさんに今回も本当に色々わがままを言って、無理を聞いて頂きました。改めて皆様に感謝申し上げます。
そして7月1日の発売後は、愛好家各位が本リリースを手に取って頂ければ幸いですし、あるいはBAR等でのテイスティングで楽しんでいただけたら、関わらせて頂いた一人として嬉しい限りです。
※補足:リリースの監修にあたり、メンバー全員が監修料や販売金額の一部といった報酬の類は一切受け取っていません。また、本ボトルに関しても、一般ユーザー同様通常価格で長濱浪漫ビールから購入しております。