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2016年06月

フィンドレイター 5年 1980年代流通 ウイスキー特級

カテゴリ:

FINDLATER'S
Finest Scotch Whisky
Aged 5 Years
1980's
43% 750ml

グラス:グレンケアン
量:ハーフ
場所:BAR飲み
時期:不明
暫定評価:★★★★★
構成原酒:ディーンストン、タムナヴーリン、トミントール、タリバーディン。

香り:クリーンでツンとした刺激を感じる香り立ち。煎餅のような香ばしい穀物香。青みがかった麦芽由来の香味に若干のえぐみも感じられる。

味:ねっとりとした甘み、香り同様刺激も感じる口当たり。べっこう飴、穀物系の軽やかな香ばしさ。序盤のフレーバーは強いが中間はややべったりとしている。 
余韻は香ばしい麦芽風味。乾いたホシワラ、ほろ苦くえぐみも感じる余韻。


特級時代の酒。
というといささか乱暴ですが、1980年代の日本の洋酒ブームが終焉に向かう中で、ギフト向けからBAR飲みのボトルの一つとして活躍した銘柄です。
流通時期はウイスキー特級表記のみのラベルから、1988年前後と推察されます。

飲んでみると麦芽風味だけでなく青っぽい植物感が少し感じられるのは、このブレンドのキーモルトの素 性が出ているのかなと。中間は少しべったりしていて広がりが少なく、この辺はいかにも近年寄りになってきた低価格帯ブレンデッドの特徴でもあります。

正直、この特級時代末期頃のブレンドスコッチは力を落としているものが多くあります。(それ以降は更に見るに堪えない状況にもなりますが。)
それはフィンドレイターもまた例外ではないのですが、今回テイスティングした5年はグレーンで個性のないモルトを薄めまくったコクのないブレンド、という感じではなく、荒さのある若いブレンドとして楽しめるところがあったのは、飲んでいて収穫でした。
これならハイボールで気軽に楽しむには丁度いい感じです。

スプリングバンク 21年 46% 1990年代流通 オフィシャル

カテゴリ:

SPRINGBANK
21 Years Old
1990's
46% 700ml

グラス:木村硝子 古酒
量:30ml
場所:個人宅(Whisky Link イベント)
時期:不明
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:こげたカラメルソースを思わせるシェリー香、ビターチョコレート、濃く香ばしい麦芽風味。徐々に甘みが開いてきてアップルタルト、ベリー感も漂う。

味:粘性のある濃い口当たり、甘酸っぱいシェリー樽由来の風味に焦がした麦芽の強い風味。ベリーチョコレート、バタークッキー、中盤から塩っぽさが強くなってくる。
余韻はドライでウッディー。ほろ苦くキャラメルの甘みが長く続く。


ダンピー時代のオフィシャルボトル。時期的には1990年代初頭の流通品で、ウエストハイランドとも共通するボトルデザインが採用されています。
モルトの香水とも呼ばれた時代で、木下商事による輸入もされてましたので、この辺りのバンクを飲んで、スプリングバンク党に入党された方も多いのかなと思います。


この21年はシェリー樽原酒の比率が高かったのか、同時期流通の25年よりも色が濃く、香味も明確にシェリー樽のニュアンスが感じられます。 
原酒の蒸留時期としては1970年前後となり、バンクらしい麦の厚みのある酒質、後半にかけて塩っぽさがシェリー樽由来の甘みの奥から感じられるのが印象的です。そこまではチョコレートなどのフレーバーがある中で、塩スイーツのようでもありますね。 
(以前飲んだ時はそこまで塩気を感じなかったので、体調の違いもあるのかもしれません。)

個人的にスプリングバンクで最強のシェリー系モルトはこのブログでもお馴染み、満点ボトルの通称サマバンク。
今回の21年ははどうかというと、サマバンクというよりはローカルバーレイ傾向のフレーバーであるため、オフィシャルが目指したところと、サマローリが目指したところの違いがあるのかなーと、あくまで推測の域を出ないコトを考えながら楽しんで飲み進める事が出来ました。
貴重なボトル、ありがとうございました!

サンジバー スペイサイド ベリーオールドブレンデッドモルト サムライラベル

カテゴリ:
IMG_0344
SANSIBAR
SPEYSIDE
Very Old Blended Malt
Botteld in 2015
SAMURAI LABEL BATCH.2
700ml 46.1%

グラス:サントリーテイスティング
量:30ml程度
場所:BAR飲み (Y's Land IAN)
時期:直近開封
暫定評価:★★★★★★★(7-8)

香り:リッチなシェリー香、ビターチョコレート、焦げたキャラメル、徐々にウッディーなほろ苦さ。 グラスの残り香はキャラメルとダークフルーツ。アプリコットもある。

味:甘くフルーティーでリッチな口当たり。土っぽいピートフレーバー、ココナッツ、サルタナレーズンや林檎のカラメル煮を思わせるシェリーの甘み。中間は少しぼやけているが、ほのかにフェロモン的なフルーティーさも感じる。
余韻はほろ苦く焦げたカラメルソースにブドウの皮、長く染み込むように良質なシェリーフレーバーが残る。


サンジバー(SANSIBAR)は、輸入元資料によればドイツのブランドで、ウイスキー需要が世界的に高まっている背景を見てウイスキー業界に参入した比較的新規のメーカー。それ以外にはワインやレストラン等、総合的にビジネスに参入していたようです。
シングルモルト以外にバッテッドモルトをリリースすることもあり、このサムライラベルは台湾にあるSスピリッツショップのオーナーが、ボトリングを依頼したオリジナルラベル。サンジバー社のリリース全てがこのようなあざとい日本文化的なラベルではなく、これは依頼主の趣味なのだそうです。

構成原酒は1960年代のタムデューやグレンロセス等のスペイサイドモルトに加え、1990年代のグレンファークラスがつかわれているとのこと。
ボトリング本数579本なので、1樽全てを使うのではなく、ストックしてある原酒を小分けに出してバッティングしたのでしょう。
見た目は日本かぶれの海外な方が作ったセンス丸出しのものですが、中身は正直かなり良いです。

基本的にシェリー系中心で、それも今は少ないオールドタイプのリッチな甘み、リフィルホグスヘッドタイプの原酒も入っているのか、フルーティーさも感じられ、うっすらと60年代原酒を思わせるトロピカル系のニュアンスも漂う。今後の変化でこれが前に出てきたら、凄いことになりそうです。
使われたという90年代のファークラスも、近年の中では良いシェリータイプ(例えばイーパワーのスペイサイド1996的なタイプ)だったようで、オールドシェリーな風味にうまく溶け込んでいます。
中間で主張がぼやけるバッテッドらしい感じも多少ありますが、バランスは良好な部類。間違いなくラベルで損している典型例です。

本ボトルの国内入荷分はすでに売り切れているものの、海外サイトにはまだ在庫があるようで、150ユーロくらいで販売されています。
先のイギリスの一件で、ユーロもポンドもめっちゃ安いんですよね。中身勝負なボトルですが、こういう味のシェリー系は近年なかなか無いだけに、海外から引いても良いレベルだと思います。

ダルウィニー ウィンターズ ゴールド NA 2015リリース

カテゴリ:
dalwhinnie-winter-s-gold-whisky-70cl_temp

DALWHINNIE
Winter's Gold
2015's
700ml 43%

グラス:グレンケアン
量:50ml(サンプル@Aさん)
場所:自宅
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:ツンとした酸味も伴う麦芽香、おしろい、砂糖漬けレモンピールを思わせるオークフレーバー。ほのかに青っぽい植物感もある。徐々に土っぽいアロマも感じられる。

味:スムーズだがとろりとした粘性のある口当たり、濃い麦芽風味、ちくちくと舌を刺激するエッジの立ったオークフレーバー。蜂蜜、ほのかにドライオレンジ。メインは麦芽風味で、樽系の香味がそれを引き立てている。
余韻は粉っぽさのあるオークフレーバー、麦芽風味、若干の土っぽい苦味を感じる。微かにドライで徐々にピート香が鼻抜けや余韻に感じられるようになってくる。

香味共に少量程度なら加水しても問題ないがストレート向きではある。味は刺激が収まり、後半のピートが強く感じられるようになる。


ディアジオからリリースされた、冬の間に仕込んだ原酒のみで作ったというダルウィニーのリミテッドエディション。
海外サイトによると、仕込みは10月から3月までのものを使っているのだとか。日本酒と同じで、冬の時期に作ったほうがウイスキーも旨いということなんだそうです。 
まあどうせまた、あの手この手で売りに来てるんでしょ?お約束のNAやし、そんなに原酒厳しいんかねーと思って一口飲んでみると・・・あれ?結構美味しい・・・?

正直もっと若くて近年のNA化を代表するような刺々しい味わいかと思っていたら、12年くらいの熟成感は感じられ、バランスも良好。
スケール感としてはもう一つ高まりきらない部分もあるのですが、売り文句どおりしっかりとした麦芽風味と甘み、そこに過度に主張しない程度のオーキーなフレーバーが良い仕事をしています。
そして余韻にかけて出てくる、内陸系のピートフレーバーが自分好み。なんともハイランドらしいモルトです。

現行品の15年以上に飲み応えがあり、価格を考えても十分アリと感じます。
惜しむらくはダルウィニーの知名度の低さゆえ、率先して注文する人が少なそうってところくらい。
流石天下のディアジオさん。しっかりまとめてきますね!

ご参考:https://m.youtube.com/watch?v=sQzKhj76z1g
MHDによるプロモーション動画。英語がわからなくても蒸留所の雰囲気は伝わると思います。

ベンリアック 16年 1997-2014 バーボンバレル #85105 ブラインド

カテゴリ:
 
BENRIACH
Aged 16 Years
Distilled 1997
Bottled 2014
Cask type Bourabon Barrel #85105
53.3% 700ml

【ブラインドテイスティング(TWDルール)】
蒸留地域:スペイサイド
熟成年数:20年程度
度数:55%程度
樽:バーボンホグスヘッド

グラス:創吉テイスティング
量:30ml程度
場所:BAR飲み(TWD)
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:オーキーでツンとした香り立ちにバニラやおしろいの甘さ、麦芽香。ドライアップルや蜂蜜のような甘い香りも出てくる。加水するとドライパイナップルや洋梨を思わせるフルーティーさ。グラスの残り香はライチを思わせる品の良い甘さでもある。

味:香り同様にオーキーで蜂蜜を思わせる甘さ、少し粉っぽい口当たりでもある。中間はドライアップル、麦芽、、余韻は桃缶のシロップのような甘み、ほのかにミント、ハイトーンでスパイシーな余韻。
加水するとクリーミーな口当たりにビスケットのような甘さが強く感じられる。


素直な熟成感のバーボン樽熟成ウイスキー。というのがこのモルトのファーストインプレッション。
まず酒質に変な癖が無くライト。バーボン樽由来の華やかなオーキーさに素直に溶け込んでいる感じで、度数と合わさってツンとした香り立ちでもあります。あまり女性に例えることはしないのですが、あえて言うなら少しきつめな顔立ちの美人さん。
なんか近寄りがたいなーと思いながら飲んでみると、思いのほか味わいは柔らかく、麦芽由来の素朴さもあり、少量加水するとさらに距離を縮めることが出来るのです。
これは突き抜けてはいませんが、良いバランスのモルトだと思います。

今回はブラインドですので、樽以外にも地域や熟成年数も探っていかねばなりません。
この際いやらしいのが、スペイサイドやハイランドで癖の少ない蒸留所は、どこでもこういうタイプのウイスキーを作れそうだという事。特段強い個性がないため、自分クラスの能力では、消去法での絞り込みしかできないのが歯がゆいところです。
蒸留所を絞るとなると、この手のボディが軽く、華やかな酒質は近年のベンリアックが筆頭候補。ボトラーズも含めると相当数ヒットします。

樽感だけなら20年くらいのホグスで、ツンとした印象から度数は少し高めかなと思ってしまったのですが、ボトルを見た後ではバーボンバレルで熟成期間少し短めという可能性もあったなと。結局予想はそこまで外れてなかったのですが、樽と熟成年数の読み違えは今後の課題として、組み合わせと特徴を捉えるいい勉強になりました。
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ベンリアックのこの手のリリースは比較的多く出ている事もあってか、このボトルもまだ信濃屋等で購入することが出来るようです。(ビンテージ違いで1996もあるみたいですね。)
その他のボトルでは、ちょうどベンリアックからノンエイジのカスクストレングス バッチ1がリリースされたところですし、比較してみるのも良いかなと思います。カスクストレングスのほうは複数タイプの原酒のバッティングですから、作り手が仕上げた香味や、バーボン樽以外の要素をどこに見つけるかという飲み比べも面白そう。。
どちらも近い値段で、そこまで高額ではないですし、BAR等で薦めやすいボトルだと思います。
 飲み方はストレートから、途中で加水して変化を楽しんでみてください。

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