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2016年09月

グレンギリー 15年 信濃屋銀座店 21周年記念ボトル

カテゴリ:

GLEN GARIOCH 
Shinanoya Ginza 21th Anniv
Aged 15 Years
Distilled 2000
Bottled 2016
Cask type Bourbon barrel #657
700ml 59.6%
暫定評価:★★★★★★(6)(!)
      
いつもお世話になっている、信濃屋銀座店の堤さんが原酒の選定をされたという、グレンギリー15年。
ラベルがミュシャの夢想とあって、否応なしに目を引くボトルですが、個人的に重視したいのはその中身。       
価格と内容のバランスに加え、飲んでおもしろいと感じるリリースを目指したとのことでしたが、その方針通りのボトルだと感じます。
オフィシャルのスモールバッチシリーズ系統の仕上がりで、ともすれば古びた油や獣的なプラスの要素に感じない部分はほどほどに、良い意味でのギリーらしさがちゃんと備わっているのがポイントですね

バーボンオークらしく、甘くとろりとした口当たり。ウッディーさは程よい程度で、熟した洋梨、オレンジジャム、甘みと酸味に加え、ハイプルーフらしくスパイシー、ほのかにシナモン。余韻にかけてヒリヒリとしたアタックと共に、ほろ苦く土っぽさもある乾燥した麦芽風味が広がる。           
飲む気満々で購入したボトルですから、買ったその場で開けて行くスタイル。
店頭に居た堤さんにリアルタイムに感想を伝えます(笑)。
もう終電近くで時間も遅かったので、お客さんもおらずいつもの試飲の流れで。


グレンギリーは常々不遇な蒸留所であること、そしてオフィシャルが現地や免税向けにリリースしているスモールバッチシリーズなどのラインナップのポテンシャルから、サントリーにもっとがんばって日本でも展開して欲しいことを書いて来たわけですが、今回のボトルで少しだけその鬱憤が晴れた気がしました。
このボトルは開封後の変化、加水で引き出せる要素も大きそうですから、近々しっかりとテイスティングしてコメントをまとめたいと思います。

このボトルは即日完売しており今から購入することは困難ですが、入荷したBARも多いようです。現行のオフィシャル12年くらいしかグレンギリーを飲んだことがないという方も、これをきっかけに現在のグレンギリー蒸留所が持つ魅力を感じてみてください。       

アラン エンジェルズリザーヴ 19年 1997年蒸留 及び ボシー batch2

カテゴリ:
先日、某氏経由で招待券を頂き、MMWM2016(モダンモルトウイスキーマーケット)に参加してきました。
平日開催でしたので、有給休暇を取得しての参加です。
まぁ30〜40日くらい余ってるのでたまには良いよね。

今年のモダンモルトは酒販関係者オンリーのイベントということで、自分は参加出来ないかなと思っていたのですが、一応WEBメディアへの寄稿などの実績もあったことから、受付では「ライターということでプレス扱い」になり、プレスタグを下げて入場することになりました。(実際のところ、こちらから確認しなければ、どこの関係者かは問われなかったそうですが。)

そんなわけで、せっかくライターとして入場したわけですから、当日試飲した中で、ニューリリースや面白いと感じたボトルを記事にさせて貰おうと思います。


まずは、あいうえお順でアランから。
ピックアップするのは今年のニューリリース。セカンドバッチが発表された、エンジェルズリザーブ19年と、ノンエイジのボシーです。


ARRAN Limited Edition Angels Reserve 
Aged 19 years 1997 Vintage 
昨年からはそれぞれ1年増しの1997年蒸留19年熟成。っていうかコレ、単発リリースじゃなかったんですね。
これから毎年ビンテージを繰り上げながら、天使の分け前の残りをバッティングしていく感じなんでしょうか。
前作18年はシェリー系でほのかに硫黄、フルーティーさはシェリーの後ろ側にという系統のモルトでしたが、今年はその力関係が逆転し、オーク系の甘みやフルーティーさがメインに感じられます。

これ、中々イケてますね。
バランスも良く、時間経過で開きそう。何より自分の苦手な硫黄要素がなかったのはポイント。
多少サルファリーでもシェリーの濃いボトルのほうが好みという方は物足りないかもしれませんが、オフィシャル通常ラインナップの系統からすれば、アランらしいボトルはこっちかなという感じです。


ARRAN THE BOTHY Quarter Cask Batch2 55.2%
次は昨年リリースされたアラン・ボシーの2016年ロット、セカンドバッチ。 
このボトルは密造時代のオマージュで、小型の樽での貯蔵としてクオーターカスクのアメリカンオーク樽でフィニッシュをかけた樽感増しのアランですが、昨年バージョンは割とあっさりめで、どちらかと言えばカスクストレングスのパワフル感が目立っていたところ。
今年もパワフルではあるのですが、樽感はよりはっきりと感じられるようになっていました。
同じくカスクストレングスの12年に比べてちと値段はしますが、キャラクターは分けられているように思います。 

余談:会場の各ブースには試飲用プラカップが用意されていましたが、自分はいつも使っている木村硝子のテイスティンググラスを持参し、グラス拭きで拭きながら試飲しています。

プラカップは手軽で良いですが、香りの印象が大きく変わるので、連動して味の印象も変わることに。
試飲は量が少ないので、通常のグラスより小振りなものを使うなど、工夫も必要ですが、普段の感覚に近い情報をキャッチできるので、ぜひ推奨したいですね。


J&B レア 1960年代流通 JAPANTAX 特級表記

カテゴリ:
J&B
J&B RARE
Blended Scotch Whisky
1960-1970's
Japan Tax
43% 760ml

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:50ml
場所:自宅(サンプル提供@愛知のSさん)
時期:不明
暫定評価:★★★★★(5ー6)

香り:ツンとした刺激を感じるドライな香り立ち、鼈甲飴やザラメを思わせる甘さ、乾いた麦芽の香りも感じられる。徐々に植物感、軽くスモーキーでハッカ系のすーっとする爽やかなアロマでもある。

味:まろやかでコクのある口当たり、舌を刺激する軽いスパイス、香り同様に麦芽風味主体でザラメのような甘さ、砂糖漬けのオレンジピール、洋梨の淡い果実味。ライトタイプだがモルティーで奥行きもあり、徐々にパン生地やおしろい系の麦芽風味、乾いた植物感を思わせる微かなピーティーさも後半にかけて感じられる。
余韻は麦芽風味系統、ほろ苦くドライでさっぱりとしている。


1960年代後半から1970年代初頭に流通されたJ&B。
オールドブレンド関連で自分を師匠(相手の方が年上だけど)と言ってくれる、ウイスキー仲間との交換品の一つ。
細かい変化は幾つかありますが、最も大きなところでラベル上部にJusterini表記があるのがこの時代の特徴です。

このJ&Bが流通した時代は、オスロスク蒸留所が設立(1974年稼動開始)されておらず、キーモルトはグレンスペイ、ノッカンドゥー、ストラスミルが中心の組み合わせだった模様。
モルトウイスキーに明るい方なら、蒸留所名を聞いただけでその系統が伝わるような、スペイサイドモルトの組み合わせではないかと感じます。 

J&Bは特にアメリカ市場でヒットし、栄華を極めた銘柄の一つですが、結局それはマーケティング戦略と、ライトタイプが好まれていたという消費者趣向の影響が大きかったワケです。
こうしてライト志向に重点が置かれたJ&Bは、原酒そのものが軽くなる80年代に入って、さらにドライでライト、薄い味わいになっていきます。
現行品に関しては大変申し訳ないですが、コーラ持ってきてもらってもよろしいでしょうか、というアルコール水的な次元です。

本ボトルはサッポロビールが正規代理店となって輸入した背景から、現在のオールドボトル市場でもそれなりの数が流通しているものの、その筋のボトルを求める方々からすれば、ライトな味わいが物足りないのかあまり高い評価を受けているとは言いがたい状況です。 
自分は80年代から現行品まで飲んで敬遠していましたが、60年代はドライでエッジの立った飲み口が引っかかるものの、経年変化もあって多少軽減されているだけでなく。原酒由来の部分は決して悪いレベルでもなく、麦芽風味やコクも感じられ、見直すところも多くありました。

やっぱりちゃんと飲まないとダメですね。
それこそ飲み方とシーンによっては、ストレート以外にハイボールも良いんじゃないかと感じます。

ボウモア テンペスト 10年 バッチ1 55.3% 国内向け

カテゴリ:
IMG_1790
BOWMORE
TEMPEST
Batch No,1
Aged 10 Years
Bottled 2009
Cask type 1st fill bourbon
55.3% 700ml

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:30ml以上
場所:自宅
時期:開封後3~4ヶ月程度
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:磯っぽさとスモーキーな香り立ち、グレープフルーツ、オレンジピール、ほのかにハッカ。最初はツンとした溶剤系の刺激があるが、時間経過でカスタードのような甘みに加え、紙っぽいニュアンスも感じられる。少量加水するとヨードの甘み、磯系のアロマが際立つ。

味:オイリーでとろりとしたコク、力強さと厚みのある口当たり。フレーバー構成はオーキーで、バニラ、焦げたキャラメル、熟したパイナップル、グレープフルーツピール、土っぽいほろ苦さと鼻腔に抜けるヨードとスモーキーさ。余韻はピートスモークと淡くウッディーな渋み。ピリピリとしたスパイシーさが舌の上に広がる。
少量加水するとオーキーなフルーティーさが強くなると共に、余韻の戻りでトロピカルなニュアンスも感じられる。


今となっては懐かしい、テンペストのバッチ1。バーボンバレルのみを使った、所謂近年系リリースの代表格とも言える構成です。
バーボンオーク系のリッチなフレーバーに、ボウモアらしい磯っぽさとスモーキーさが加わっているだけでなく、余韻にかけて広がるフルーティーさが1960年代蒸留のそれを彷彿とさせると評判のボトルでした。
10年表記で味わいから推察するに構成原酒は1998や1999年の蒸留が中心。このビンテージ(特に1999年)はフルーティーさという点ではボウモアの当たり年と言っても良いレベルのボトルが数多くリリースされている印象です。

IMG_1787
(テンペストのフルーティーさはパパイヤやマンゴーというより、パイナップルやグレープフルーツ。先般からオマケで記載している沖縄旅行には、テンペストバッチ6を持参し、南国フルーツとボウモアのコラボを堪能。)

テンペストは1年に1度、樽構成は同じでもキャラクターは変わりながらリリースされ続けており、ボトラーズ、オフィシャル含めボウモアの基準になるボトルだと感じています。
バッチ3、バッチ4で若干迷走しましたが、ここ2年間は復調気味。最近リリースされたバッチ6と比較すると、バッチ6のほうがわかりやすいフルーティーさと勢いがあり、ハイボール向きだと感じます。
ストレート、少量加水で飲んだ時の味の厚み、複雑さはバッチ1やバッチ2が強いですが、逆にバッチ1は樽感の強い関係からハイボールはややボケた印象になることもしばしばです。

今でこそこうしたキャラクターのボウモアは「当たり前」になりましたが、このテンペストがリリースされた2009~2010年当時、ボウモアのカスク系リリースといえば、市場にあるのはパフューミー要素から抜け出せ切れていないカスクストレングスとダスクなどで、明確に旧時代と線引きが出来ていたのは12年くらいでした。
時期的には蒸留は90年代に入っていたものの、上位グレードには 80年代の原酒を使い続けていたのでしょう。18年などは2016年現在でもまだパフューミーです。
そう考えると、このリリースは旧時代からの脱却と言っても間違いは無く、愛好家の感動は相当であったようにも思います。

リリース当時の国内流通価格は、サントリー強気の1万円。しかし平行品が超絶円高(1ドル80円前後)で5000円前後で入り始めたことで値崩れ、リリースから1~2年後には随分入手しやすい価格で購入できた記憶があります。
ボウモアのボトラーズリリースは、このテンペストを超えなければならないわけですから、とんでもないハードルを作ったものだと、飲むたびに感じるわけです。

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というわけで、沖縄シリーズ。昨日が旅行最終日であるため最終回。水平線の夕日です。
過去何度も見てきた海と夕日のコラボですが、必ずしもこのような夕日にならないこともあり、旅行期間中に見れるという一期一会の景色は何度見ても良いモノ。
台風が近くまで来ていましたが、天気が持ってくれて本当に良かったです。

シークレットアイラ 9年 2006-2016 ディスティラリーズコレクション 55.5%

カテゴリ:
IMG_1398
SECRET ISLAY
Distilleries Collection
Islay Scotch Malt Whisky
Aged 9 Years
Distilled 2006
Bottled 2016
700ml 55.5%

グラス:SK2
量:30ml程度
場所:自宅セミナールーム&BAR飲み 
時期:開封後1ヶ月程度
暫定評価:★★★★★(5)

香り:スモーキーでピーティー。酸味があり、若くニューポッティーなアロマ。食パンを思わせる酵母系のアロマ、強めに加水すると甘い麦系のアロマが主体的になり、乳酸感と合わせてドライフルーツのような酸味も感じられる。

味:ツンとした鋭さと、舌の上に甘いコクもある口当たり。レモングラス、ヨード、ニューポッティーでピーティー、荒い要素も感じる。
鼻抜けは焦げたようなピート、土っぽさ。フィニッシュはスパイシーで刺激的。 加水するとコク、粘性のある口当たりが主体的に。


ビンテージモルトウイスキー社がリリースする、お得意のどこの蒸留所かわからないアイラ島のシングルモルト。
同社といえば、アイリークにフィンラガン、そしてアイラストームなど数々の出所不明銘柄をリリースしており、共通した特徴といえば「若い」ということ。。。ではなく、しっかりとピーティーな味わいであること。
今回のボトルも例に漏れずピーティーで、カリラか、ラガヴーリンか、はたまたラフロイグか・・・というところですが、やはりその若さ故にどの蒸留所なのか、他のリリース同様に決め手に欠ける印象もあります。

ではラベルの画像など周辺情報から特定できないかと考えるわけですが、それも無関係なモノを選んでいるという徹底ぶり。
後は飲み手がどう感じるか。自分はピーティーで若く荒さのある比較的クリアな酒質、塩気はあまり強く出ていないところから、ラガヴーリンをイメージ。しかしヨード系のアイラらしさに、オイリーで粘性のある味わいが、特にモルト2に対して1くらいの比率で加水すると強く感じられるそれに、ラフロイグという線もあるなと予想したところ。

ボトルの完成度としてはともかく、こういうボトルはBAR等で売りやすいみたいですね。
ストレートで謎かけ的に出してもコミュニケーションのキッカケになりますし、個性が強いため逆にリピートもされやすい。
先日とあるBARで飲んでいた際、女性同伴で飲んでいた男性の方の注文は「マスター、ほら、石けん!」だったり、「臭いの」と個性が際立ったモノを頼んでいました。
対して女性のほうは自分の好みに素直というか、スペイサイドの長期熟成メインの組み立てで、キャラクターが表れてるな-と感じたわけです。

さて、今日も沖縄滞在、THE SEA シリーズ。
今回はボトルのラベルがアザラシ(トド?」で、水族館っぽいので美ら海水族館の大水槽から。
美ら海水族館は初めて行きましたが、この大水槽は確かに凄いですね。併設するカフェの水槽側の席で食事しながら見ましたが、3匹のジンベエザメは見応え抜群でした。

ただ、午前中をビーチで過ごし、午後から水族館や道の駅巡り。そして夕日を見るべくホテルまで車を飛ばすというプラン、運転手には中々酷です(笑)
ご利用は計画的に、ですねw

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