T&T TOYAMA ザ・バルク Vol.1 46% リリースとスペース配信告知
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- T&T TOYAMA
T&T TOYAMA
THE BULK Vol.1
BLENDED WHISKY
Speyside Malt Whisky 12yo & Blended Scotch Whisky 5yo
Selected by T&T with kuririn
One of 1000 Bottles
500ml 46%
評価:★★★★★★(5ー6)
香り:スパニッシュオークの色濃いウッディネス。ドライブルーンやシロップ漬けチェリー、アーモンドヌガーを思わせる甘さ。奥にはウッドチップ、微かにハーブのアクセント。
味:口当たりはまろやかで、チョコレートやドライフルーツの甘酸っぱさ、紅茶を思わせる含み香。フレーバーは骨格がしっかりとしており、余韻も長い。果実味の残滓からややビターなウッディネス、干し草、じんじんと軽やかな刺激が口内を引き締める。
香味ともシェリー樽由来の要素がしっかりと感じられる。突き抜けたウイスキーではないが、蒸留所の個性に加え、酒質と機感、全体のバランスが良いシングルモルト・・ではなく、ブレンデッドウイスキーである。ストレートやロック、またはオリジナルブレンドのベース としてなど、自由に楽しんで欲しい。
ラベルモチーフは、バルクパーツと掛けてPCパーツのCPU。え、どこかで見たことがある?…勘のいい読者は嫌いだよ…。
先日のグラスに次いで、今度はT&T TOYAMAさんとのコラボリリースとなる1本。7月20日から、ALC、モルトヤマ、そして関連酒販店さんで発売予定。価格は4980円+税です。
裏ラベルにも記載の通り、本リリースにかかるウイスキーの選定者の一人として、協力させて貰っています。(勿論、いつものように売上や協力料等の報酬は受け取っておりません。)
THE BULKのコンセプトを端的に紹介すると、ブレンド用に調達してきた輸入ウイスキー(バルクウイスキー)の中から、そのままリリースして全く問題ないクオリティのものを一般向けにリリースすることで、ウイスキーの価格高騰の中でも、手軽に良質なウイスキーを楽しんでもらおうというものです。Vol.1とあるように、シリーズものであり、今後も継続したリリースを予定がされています。
また、副次的な狙いとしては、バルクウイスキー=粗悪なウイスキーという誤った認識に対して、実際のところどうなのかを示していく狙いもあります。
日本に限らず、世界のウイスキー産業を支えているのがバルクウイスキーです。日本においては、ウイスキー産業の黎明期から現代に至るまで、原酒の幅を補って、品質の向上にも寄与してきたことは暗黙の了解的に知られていますが、それは他のウイスキー大国であっても同様であり、メーカー間で盛んにブレンド用原酒がやりとりされ、縁の下の力持ち的に多くの銘柄に用いられてきたのです。
しかし現代の日本においては、安価なバルクウイスキーを使ってあたかも高価なジャパニーズウイスキーのように販売する、ロンダリング的な使われ方をした経緯から、人によってはその品質を疑問視する声もあります。
またバルクウイスキーなので素性が明かせない、あるいは素性不明なものがほとんどで、なんだかわからないものを買うのはちょっと…という不安もあるかと思います。そこでその品質は、本リリースに選定者として関わる、ウイスキーの造り手、ウイスキーの売り手、そしてウイスキーの愛好家、それぞれの視点で問題なしと担保したもののみをリリースしていきます。
第一弾は、販促情報にある通り、スコットランドはスペイサイドの、シェリー樽熟成で有名な某蒸留所Mの12年熟成シングルモルトウイスキーに、ほんの少しブレンデッドウイスキーが混入してしまったもの。混入したブレンドは“とても有名なモノ”だとのことですが、香味からはそのブレンドやグレーンの特徴を感じることは…まず不可能です。
基本的にはスパニッシュオークのオロロソシェリーカスク由来の香味が主体にあり、ボディも適度に感じられる。某シングルモルト12年シェリーオークを濃くした味わいですね(加水比率が少なく、フィルタリングが最低限であるためと予想)。自分の感覚では98%、あるいは99%はモルトウイスキーではないかと予想しています。
突き抜けて素晴らしいウイスキーではないですが、標準以上のクオリティは間違いなくあるウイスキーです。価格的にも悪くない、いやむしろ手頃(金銭感覚崩壊)。
最近はシェリー系原酒が貴重ですし、下手するとこの事故エピソードを隠して某Mベースのブレンドとするか、何か美談的な(古くは某アイラモルトや某バーボンにもあった)エピソードを付け加えて、リリースされててもおかしくないと思います。
昨年、あるブレンドを企画中にこのバルクに出会い、え、これそのままリリースしたらいいんじゃとなって、今回の企画が動き出します。どうせならVol.2、Vol.3の見通しを立ててからリリースしようとT&Tの方で調整した結果、第一弾のリリースが夏場にずれ込んでしまいましたが。
クーラーの効いた部屋で、食後に軽く冷やしたシェリー系シングルモルトもオツなものです。またキャンプに持ち込んで、夜の空気と共に楽しまれるなんてのも良いですね。あるいはブレンドに使ってみるのも一案。自由に楽しんで貰えたらと思います。
※ラベルはバルクウイスキーとバルクパーツをかけて、バルクCPUっぽいものに。ここはT&Tの二人の拘りで、QRコードからはブランドページにリンクします。ただ、なんだか狙いとは別に見た目が某社の某リリースっぽくなったような…フロム ザ バル…(おや、誰だこんな時間に
※スペース配信 告知※
日時:7月15日(土) 22:00〜
URL:https://twitter.com/i/spaces/1OdJrzzlMoVJX
本リリースをはじめ、最近何かと話題の多いT&T TOYAMAおよび三郎丸蒸留所。ゲストも交えて今回のリリースや今後の予定をトークします。
また、最近様々な商品が投入され、熱気を帯びるテイスティンググラス市場。今後発売されるオーツカ氏開発のテイスティンググラス第3弾(スティルグラス)や、静谷氏開発の咲グラス(蕾グラス)も使い勝手を先行レビューします!
コメント
コメント一覧 (5)
バルクウイスキーは一般に流通していないので、我々一般消費者からはどの程度の価格で取引されているか分からず、この商品も高いのか安いのか判断できないでおります。
文中にあるとおり「安価なバルクウイスキーを使ってあたかも高価なジャパニーズウイスキーのように販売する、ロンダリング的な使われ方をした経緯から」といったことで荒稼ぎする動きがあったと読めました。
ですので、バルウイスキーは「安価」であって、「ジャパニーズ」というプレミアムを利益とした構造だったと。
そして今回リリースされる「バルク」は構造としては同じ可能性があるように見えてしまいます。
それはつまり「安価」なバルクウイスキーを「著名人のお墨付き」というプレミアムを利益とした構造なのかもしれない、と。
くりりんさんはお金を取っていないということですが、おそらく原価などはご存じなのだと思います。
詳しい金額が知りたいわけではないのですが、この商品の利益率は妥当なものなのかどうかだけでも教えていただくことはできないでしょうか?
わたしはくりりんさんの人柄をブログから感じておりますので、「大丈夫、健全です」というような情報が頂ければ、こういった新しい試みにもどんどんチャレンジ&応援し、信頼関係を築いていきたいと考えていますが、そうでなければ傷つきたくないので見送るのもありかなと考えております。
(これは勝手な質問です。問題があれば無視・削除いただいても結構です)
コメントありがとうございます。
なるほど、確かにそうした見方もできますね。
結論から言えば、私もこのバルクのリッターあたりの価格がいくらかは聞いておりません。
が、香味から察するに、販売価格から見てT&T側が得る利益はこの価格帯においては妥当、あるいは薄利だろうと感じています。
残酷なことに、ウイスキーの味は価格とある程度比例していきます。特にスコッチはその傾向が顕著です。1000円のウイスキーは1000円なりですし、5000円のウイスキーは5000円なりの味がします。
この商品が1万円や2万円という価格で販売されているとして、香味から3000円くらいのウイスキーと同じ味しかしなければ、周囲から暴利だと認定されてしまうと思います。
現時点で踏ん切りがつかないということであれば、まずは様子を見ていただくのも良いかと思います。
1000本もリリースされますので、即完売とはならないでしょうし。周囲の反応を見ていただいた上で、ご検討いただけたら幸いです。
「香味から察するに、販売価格から見てT&T側が得る利益はこの価格帯においては妥当、あるいは薄利だろうと感じています」
この言葉が聞ければ、一消費者としてはかなり安心材料になります。
今後ボトラーズとして成長されるであろうT&Tさんをはじめ、日本のウイスキー業界と長く付き合い、育てていくという意味では我々消費者も市場の参加者なわけですが、ウイスキーファンとしてはそこには信頼関係が育たなければ、文化にはならず一過性のブームに終わってしまう怖さが常にあります。
利害関係の無いくりりんさんに、裏舞台の話をさせてしまい申し訳ありませんでした。
こちらのウイスキーも気になってはいたのですが、本数から見てもくりりんさんのおっしゃるように即完はないと思いもう少し悩んでみようと考えていたのですが、その考えは大甘だったようです泣
悩んでるうちに買い逃すのは限定ものの常ですが、正直なところ即完したところでミーハー心も騒ぎ、より後悔の念に襲われている真っ只中といったところです。
そんな折に「どこかで2社以外でも買えると見たような…」と思い出し、コメントを書いています。いきなり不躾ななお願いとなりますが、関連酒販店様の具体例、またはヒントなどをお教えいただけるととてもありがたいです。
駄文失礼致しました。