ワールドウイスキーアワード2019発表 日本は4部門で戴冠
昨日、ウイスキーマガジン社主催のウイスキーの国際コンペ、ワールドウイスキーアワード2019の結果が発表されました。このブログの読者の皆様は既にご存じかもしれませんが、今回のWWA2019では、テイスティング全15部門のうち、世界的に作り手がおり競争率の高い主要な区分といえる、ブレンデッド、シングルモルト、グレーンで設けられた7部門中、4部門で日本のウイスキーメーカーが世界一に輝くという、輝かしい結果となりました。
(15部門のなかには、バーボンや、カナディアン、アイリッシュなど、日本が参加できないものや、そもそも生産していないものがある。)
ワールドウイスキーアワード2019 テイスティング部門 主要7部門結果
◼️ブレンデッド(リミテッド)
イチローズモルト ジャパニーズブレンデッド リミテッドエディション2019
◼️ブレンデッド
サントリー 響21年
◼️ブレンデッドモルト
ニッカウイスキー 竹鶴ピュアモルト 25年
◼️シングルモルト(シングルカスク)
サリヴァンズコーヴ フレンチオーク TDo2017
◼️シングルモルト
ティーリング ウイスキー 24年 ヴィンテージリリザーブ
◼️グレーン
キリン 富士御殿場 シングルグレーン 25年 スモールバッチリリース
◼️ニューメイク
スタウニングウイスキー キュリアス ピートスモークドモルテッド ライ
参照:http://whiskymag.jp/wm_award2019/
「日本のブレンド技術は世界一イィィィィ!!」
と、お約束のネタをつい口にしたくなるような結果です。
それも1社独占でなく、主要メーカーがすべて受賞。なかでも響や竹鶴、富士御殿場グレーンといった、WWAアワードの常連にして、戴冠することに疑問はないド本命な銘柄はさておき・・・。
サプライズはイチローズモルトのモルト&グレーンが、ブレンデッド(リミテッド)区分を2年連続で戴冠したことですね。
ブレンデッドモルトとシングルモルト部門はエントリーが多いだけでなく、各社力をいれてくるリミテッド区分で2年連続、その前のシングルモルトでの受賞を含めると3年連続というのはサントリー、ニッカらと肩を並べる快挙です。
ただ、このリリースは羽生モルトと川崎グレーンという、今はない遺産をメインに使っています。
昨年受賞したモルト&グレーンLE2018を飲んだ印象では、美味しいは美味しいのですが、羽生の特徴がかなり強く出て、長期熟成グレーンでそれを繋ぎ合わせているような構成。今回のリリースは多少秩父の特徴も出ていると言う話も聞きますが、軸になっている2つの原酒の在庫がほとんどない状況で、培ったブレンド技術をもって秩父の新しい原酒でどこまでやれるかが、今後の課題だと感じます。
ジャパニーズウイスキー以外に目を向けると、シングルモルト部門ではティーリング24年が受賞。これまでのティーリングのリリースから香味を推察するに、アイリッシュ系のトロピカルなフルーティーさ、近年評価されているキャッチーな香味が備わっているものと思われます。
まあ妥当なとこですよねと。日本地区のWINNERは白州25年だったそうですが、ここまでくるとその時々の審査員の趣向の違いで片付けられる差ぐらいしかないんじゃないでしょうか。
一方で、シングルカスク部門が異端。
タスマニアの衝撃再び。オーストラリアンウイスキーのサリヴァンズコーブのフレンチオークカスクが再びの受賞です。
以前もサリヴァンズコーブはシングルモルトでアワードを受賞しており、どんなもんかと飲んでみましたが、世界一かと問われると返答に困る内容でした。
今回は違うのかもしれませんが・・・WWAはたまにこういうよくわからない受賞があるので、それが面白くもあり、疑問でもあるのです。(順当な結果ばかりじゃ面白くないのも事実です。)
この他、惜しくもアワードを逃した地区代表のウイスキーを見ていくのも、WWAの面白さです。
シングルモルト区分だと、スコッチは各地域の代表銘柄が選ばれていて、ローランド部門ではグランツの第4上流所であるアイルサベイが受賞していたり、キャンベルタウン部門はグレンスコシア25年、ハイランドはグレンモーレンジ1989・・・長期熟成のリリースが減ってきている昨今にあっても、やはり層が厚い。
一方で、ジャパニーズ区分を見ると、ブレンデッドでは若鶴酒造のムーングロウがカテゴリー別のWINNERを獲得していたり、次点以降には何かと話題になる倉吉の姿もあります。
日本産原酒が使われていないだろうリリースをジャパニーズと呼んで良いのか(実態はスコッチなのではないか)、という疑問はさておき、今回の結果は日本のウイスキー主要メーカーのブレンドに関する高い技術に加え、力を付けつつある新しい世代の存在も感じられた結果だったと思います。
なお、コンペといえば、先日、ウイスキー文化研究所が日本初となる「東京ウイスキー&スピリッツコンペディション」を開催したところです。
今後発表される結果が、今回のWWAと比べてどうか。特に上記コンペは日本のテイスターが中心になって審査をしていますから、その違いを見るのも楽しみですね。
キャプチャー画像引用:http://www.worldwhiskiesawards.com/