シングルカスク 余市 10年 2007-2017 マイウイスキーづくり 60% &LIQUL連載記事紹介
YOICHI
NIKKA WHISKY
SINGLE CASK MALT
Aged 10 years
Distilled 2007.04.14
Bottled 2017.10.18
Cask type New American Oak #408021
700ml 60%
グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:不明
場所:自宅@テイスティングサンプル
暫定評価:★★★★★★★(6ー7)
味:口当たりはメローで甘酸っぱく、そしてパワフル。ドライオレンジやキャラメルソース。そこに燻した麦芽、やや焦げたようなウッディなフレーバーから、香り同様に葉巻を思わせる含み香がスパイシーなフィニッシュとともに長く続く。
フルーティーさよりも、樽由来のウッディさと、麦芽系の味わいが中心のカスク。新樽由来のエキスは濃厚で、ハイプルーフ由来の口当たりの強さを包み込むように感じられる。ただしそのウッディさのなかに、蒸留所のキルン見学で感じたような土や植物の焦げた香り、ピートに通じるニュアンスを含んでいる点がこのカスクの個性を構築している。
先日、我が家に届いたマイウイスキーづくりの余市。同じようにマイウイスキーのボトルを所持している愛好家とボトル交換を実施したのですが、その際交換ボトルとは別にオマケでいただいたのが、#408021のテイスティングサンプルです。
飲んだ印象は、なんともらしい余市というもの。メローでビター、リッチな新樽感に、酒質由来の甘酸っぱさが混じるパワフルな味わい。甘味、酸味、苦味のバランスが良いですね。度数は60%とマイウイスキーボトルのなかでも特にハイプルーフ仕様故、強い刺激もありますが、新樽のエキスがオブラートのようにそれを包み込んでいます。
マイウイスキーの余市は、初期の頃は色々幅があったようですが、自分が参加した頃は新樽+10PPM以下の極ライトピート、あるいはノンピートで仕様が固定されていたと記憶しています(マイウイスキー上級編を除く)。一方、この2007年は多少ピートが強いのか、あるいは樽由来の要素がピートに類似する風味に繋がったのか、焦げた木材を思わせるビターな味わいの中に、タールや葉巻葉のようなニュアンスが混じる点が面白い仕上がりでした。
もっとフルーティーなものとか、スモーキーでソルティーなタイプを好まれる方のほうが多いと思いますが、自分はこの余市は結構好み。なんとも、通好みな余市だと思います。
Re-オフィシャルスタンダードテイスティング(番外編)
特別なオフィシャルボトル - 2020.3.1公開
※LIQUL Twitter 開設してました(笑)
さて、ちょうど良いのでご紹介。
昨日公開された酒育の会ウェブマガジン「Liqul(リカル)」の連載記事は、番外編としてシングルモルト余市の紹介を踏まえつつ、特別なオフィシャルボトル「マイカスク」を味わうことの魅力について書いてみました。
オフィシャル余市は、2015年のリニューアル(というかニューリリース)の際、同価格帯だった余市10年に比べて明らかに若さが目立つ、旧NAS余市の実質的な値上げではないかなどかなり厳しい評価を受けたことは記憶に新しいと思います。
その後しばらく様子を見てみると、新樽熟成原酒に共通する樽感が、少し濃くなったようなロットが現れ、若さが多少控えめになったように感じられました。
(イベントで質問しても、ニッカ側はなにも変えていないというコメントでしたが・・・。気のせいかな?)
そのニッカらしい味わいを構成しているのが、これまでレビューしてきたマイウイスキーづくりボトルのような、新樽熟成の余市原酒です。オフィシャルスタンダードをテイスティングした流れで、新樽熟成のシングルカスクを飲むと、スタンダードにおける役割がわかりやすいと思います。あるいは蒸留所で販売されている、ウッディー&バニリックでも良いですね。こちら若さは強いものの、ニッカ味の残った良いリリースです。
ただ、今回の記事の主目的は「オフィシャル余市美味しいor美味しくなった」ではなく、カスクオーナーとして自分にとって繋がりのある一樽を持ち、同じ時間を過ごした後に飲む1杯がもたらす”特別な瞬間”を紹介することにありました。
本来この企画はオフィシャル通常リリース、スタンダードクラスを中心に扱うものと位置付けているため、番外編としている理由はそこにあります。
記事では字数制限から省いてしまった内容があり、読み直して見ると目的がボケている。あるいは余市のレビューからラストの部分にかけて、自分が伝えたいことの繋がりの悪いように感じられ、手直ししたい気持ちがムクムクと沸いてきています。
どの記事にも大なり小なり反省点はあるのですが、これは改稿をお願いしようかな・・・。
記事中でも触れましたが、これまで年単位での熟成を前提としたオーナー制度は、国内ではニッカのマイウイスキーくらいしかなく、あとは直接蒸留所と交渉するか、スコットランドから買い付けるかくらいしかありませんでした。
それが、ここ数年で一部のクラフト蒸留所がカスク販売や共同オーナー制度はじめたことで、カスクオーナーになるハードルは大幅に下がりました。
自分が作った原酒が詰められるサービスというのはまだありませんが、長濱蒸留所のウイスキー塾や、三郎丸や安積のオーナー向け見学会など、特別なプログラムを通じてその蒸留所を深く知ることができる取り組みもあり。。。参加することで、蒸留所との繋がりが強く生まれ、まるで自分の分身がそこにあるように思えてくる。結果、ボトリング後の味わいを一層特別なものに高めてくれると思うのです。
ウイスキーを趣味とする我々愛好家にとって、そうして過ごす熟成期間もまた、充実したものになるのではないでしょうか。時を飲む贅沢があれば、時間をかける贅沢もある。
自分はクラフト蒸留所のいくつかで、共同オーナー制度を利用していますが、今からその特別なひとときが待ち遠しいですね。