シングルカスク 余市 10年 2009-2019 マイウイスキーづくり 59% #411127
NIKKA WHISKY
YOICHI
SINGLE CASK
Aged 10 years
Distilled 2009.4.18
Botteld 2019.8.29
Cask type New American Oak Cask #411127
700ml 59%
グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後1ヶ月程度
場所:自宅
評価:★★★★★★★(7)(!)
香り:トップノートはエステリーで、すぐに松の樹皮を思わせるような無骨さのあるウッディさ、ローストアーモンド、チャーオーク由来のキャラメルの甘味。奥には林檎、オレンジママレード、ほのかに甘栗。スパイスのアクセント。
味:リッチな口当たりから、フルーティーな甘味がとろりと広がる。ボディはしっかりとして厚みがあり、リンゴのカラメル煮やみかん缶のシロップ。甘味だけでなく柔らかい酸味の後から、濃いめの紅茶を思わせるほろ苦さ、タンニンがアクセント。微かなピートと共に心地よいフィニッシュが長く続く。
厚みのあるボディとアタックの強い酒質に、新樽らしい樽感。焼き具合がそれほど強くないのか、エステリーかつフルーティーな要素がチャーオークフレーバーのなかに溶け込んでいる。余韻にかけては微かなピートフレーバーもあり、ただ樽感が濃いだけではない香味の多彩さが素晴らしい。少量加水良し。ロックも悪くはないが、チェイサーと共にストレートで楽しみたい特別な1本。
ニッカウイスキーがファン向けの企画として、宮城峡、余市でそれぞれ年10回程度開催しているウイスキーづくり体験会が、通称「マイウイスキー作り(宮城峡はマイウイスキー塾)」です。
参加のためには希望日程で抽選に申し込み、当選する必要があるのですが(日程が金曜日から1泊2日であるため、一般の会社員は金曜日に休暇を取得する必要があるのもハードル)。参加すると、それぞれの蒸留所でのウイスキー作りにおける主要な行程を体験出来ると共に、10年後には自分達で樽詰したウイスキーが1本(複数本必要な方は別途購入)贈られてくるという企画。元々人気はありましたが、近年のジャパニーズウイスキーブームもあって、倍率は30倍程度にまで増えていると聞きます。
今から10年前、本格的にウイスキーにハマった頃の自分は、日頃の感謝を込めた旅行のプレゼントとして父親を連れて参加。
それから10年の間、公私とも本当に色々ありましたが。。。まあ個人的な苦労話はさておき、ウイスキーの経験値としては、この1本を味わい尽くすための準備が充分できたのではないかと自負しています。
(2009年、イベント当日に配布された、余市のニューメイク。厳密に言うと蒸留時期が半年ほど違うものだが、この飲み比べのために10年間飲まずにとっておいた。ボディが厚く、香ばしい麦芽風味に酸のしっかりあるタイプで、ピートレベルはライトピート。ここにアメリカンオークの新樽由来の風味が合わさることで、樽由来の甘味と苦味に加え、調理加工した柑橘類のような甘酸っぱさを伴う香味へと繋がったと考えられる。)
ベースとなっている原酒は上記の通り。樽は250リットルの新樽ですが、この樽の焼き具合(あるいはウイスキーと接する部分の木目の違い)と、倉庫内の熟成場所の違いからくる微妙な差が積み重なって、10年間で樽毎の大きな味わいの違いをもたらしています。
どれくらい異なるかというと、同じ年度の仕込みであっても、もっとガッツリ新樽のチャーオークフレーバーが効いたものがあれば、自分の樽のようにバランス寄りでフルーティーさを伴うタイプもある。あるいは、あまり樽感が乗り切らず、若々しいあタックの強さがメインに出ているものもある。
今回のボトルは、あと2年くらいは熟成させたかったという気持ちもありますが、現時点で普通に美味しいボトルですし、酒質とのバランスもとれています。
ウイスキー仲間からは概ね好評で、交換で使った分を除いても既に2本目に突入している消費速度(笑)。こういう原酒に育ってくれた、巡り合わせに感謝したい。
何より、自分の分身とも思える樽が、自分が生きている環境とは異なる場所に存在して、現在進行形で成長しているという感覚は、なかなか特別感のあるものでした。
現在は当時と異なり、クラフト蒸留所のビジネスで共同オーナー制度等も珍しくなくなりましたが、ニッカさんにも是非継続してほしい、魅力溢れる企画だと思います。
また、いつか参加してみたいですね。
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