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ニッカ党御用達の銘柄といえば、このフロムザバレルなしに語ることは出来ません。
2015年9月1日から値上げとなってしまいましたが、今回の終売ラッシュ、大変革を乗り切ったことは、それだけこのウイスキーが内外から評価されているということでしょう。 
変なクセのない甘くまろやかな味わい、それでいて50%を越える飲みごたえは、今夜も晩酌ウイスキーとして世の飲み手の心を癒していることと思います。 

NIKKA WHISKY
FROM THE BARREL
500ml 51.4%
No,6/14E421054

評価:★★★★★(5)

香り:甘酸っぱい熟成したモルトとグレーンのアロマ。ドライフルーツ、メープルシロップ、チャーオークの程よいウッディネス。 表面を漂うように香っている。
次第に荒さ、特にスワリングすると若い原酒のえぐみ、穀物由来の香ばしさ、アルコールも感じる。時間が経過すると冒頭の熟成香が弱くなってしまう。

味:少々粉っぽさはあるが、ねっとりと滑らかな口当たり。
度数に反して刺激は少なく、バニラウェハース、カラメリゼ、中間から余韻にかけては天津甘栗を思わせる香ばしさと甘さ。 鼻抜けはカラメルの甘さと微かな樽香、余韻は少々べたつきがあり、舌と喉の奥をコーティングする甘い余韻。

加水は冒頭の熟成香が弱くなってしまうため、オススメしない。
ハイボールにすると甘くまろやかでスムーズな飲み口から、後半に樽香が感じられる。
多少濃く作っても上述の飲み口からスイスイ飲めてしまうが、しいて言えばハイボールだからこそ得られる変化が無いのがもどかしい。
度数は高いが、個人的にはストレートで飲みたい1本。


1985年に発売された異色のウイスキー、フロムザバレル。
ブレンデットウイスキーで50%Overの仕様と、その独特なボトルフォルムは、今をもってもまさに異色で、コアなファンも多いボトルです。
そのフロムザバレルの売りは、マリッジ(再貯蔵)の行程とハイプルーフボトリング。
マリッジは、原酒をブレンドした後で樽に再貯蔵して一定期間原酒をなじませることで、ブレンドした原酒が混ざり合ってよりまろやかで一体感のある味わいが生まれるというもの。
そこから加水調整程度の樽出し51.4%でのボトリングで、より多くの香味成分を残した・・・というのがメーカー側のPRです。

ウイスキー飲み始めの頃は、この説明を見て「おおー手間暇かけてこだわってるなぁ!」と感動したのですが、冷静に考えてみると、マリッジはブレンド全般を見ると割と通常の行程と言えます。
ハイプルーフ仕様もウイスキー全体を見れば、これまた特別なものではありません。
補足をするならば、この価格帯のウイスキーでマリッジの行程までやって樽出しハイプルーフというのは、特別と言える話。低価格帯のブレンデットは、タンクにどばーっとやって寝かせた後で40%でボトリングが一般的ですからね。

フロムザバレルは国内のみならず海外でも評価が高いボトルです。
以前海外のサイトで見たコメントも、
「こんな高品質でハイプルーフなウイスキーが、この価格(海外では約60ユーロですが・・・)で買えるんだぜ!信じられないよ!」
グラスにノーズを突っ込むと花畑のような華やかな香りが広がるんだ!」
など、総じて高評価。
フランスのメゾンドウイスキーでは、日本で販売されていない3リッターサイズが展開され、コンテストではインターナショナルスピリッツチャレンジ2015で最高賞のトロフィー、ウイスキーマガジン社主催のWWA2009では響21年らを破ってベストジャパニーズブレンデットを受賞したこともある。
9月1日の500円値上げを考慮してもなお、この価格帯においては大変出来の良いボトルだと思います。


余談:フロムザバレル(ニッカ製品)のロットナンバーについて。
ボトルやラベルに印字されているナンバリングの解読です。
これは人づてに聞いただけの話ですので、自分が検証したわけではありません。
正しい情報をお持ちの方が居たら是非教えてください。

今回のロットナンバー:6/14E421054

6/ 製品分類
14 ボトリングした月を2倍したもの。
E Aから数えて5番目。西暦の下一桁。
42 ボトリングした日付の2倍。
1054 不明

つまり2015年7月21日のボトリングということになるようです。
過去のものは桁数が少なかったり(ただし読み方は同じ)、2009年以前はラベルに印字されていたようです。