歩きながら考えること

随分日が短くなった。もっとも連日雨なので日没も何もあったものではない。朝から晩まで重い雲が垂れ込めていて一日中何となく暗い。そして夕方7時頃には更に暗さが増して8時にはすっかり夜となる。少し前までは晩の9時を過ぎても薄明るくて家に帰るのが勿体無く感じたと言うのに。それにしてもこの涼しさは快適だ。汗ばむこともなければ暑くて眠れないなどと言うこともない。ひとつ良いことが無くなったら、ひとつ別の良いことを探せばよい。それがどんな小さなことだって良いから。残念がってばかりしていたら傍にある良いことも見えない。そんなことに気がつくまで随分の時間を要したけれど、気がつくことが出来たのは私にとって大変な幸運であった。あの時私は人生って案外悪くないものだ、と泣きながら笑った。これまでに学んだことは沢山ある。声を大にしていうような凄いことはあまり無い。それよりも、なんだ、そんなことか、と人に言われそうなことばかり。でもそんなちっぽけなこと達は私の宝物になっている。私の宝物はそれだけではない。例えば私と関わった数々の人達。通り過ぎていった人もいれば強く弱く今も繋がっている人達もいる。どの人も私には意味ある存在でひとつやふたつの忘れられない思い出がある。ボローニャの町を歩きながら時々、幸運とか宝とか私を取り囲む人たちのことに思いを巡らす。

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hiro_bl

なんだかとても懐かしい気分になるような写真が続いていてうれしいです。
僕はこんなに素敵な街に住んでいたのかと思うと、
本当のことだったのか、夢だったのか、ちょっと分からなくなる時があります。

camera-oscura

ボローニャの中でここは好きな通りの一つです。
少し取り残された様な感じでずっとここにあるのが良いです。
そして、ここを通る時はいつもyspringmindさんを思い出します。

大庭綺有

こんにちは。
関東地方では夕方はもう6時を過ぎるとうす暗くなり、空は墨色に染まります。車のほか、自転車もライトがつき、肌寒い風ともにちょっと寂しい気分です。
今回も「あぁ、確かにそうよね」と頷くことばかり。視点が近しいことが嬉しくなりました。なにごとも本当に面白くできていて、失うものがあれば得るものもある。片方にばかりよることはないのだ、とワタクシも思います。
ある友人がこう言ったことがあります。「疎遠になった人がいることは恥ずかしいことじゃないよ。そのとき貴方に必要だった人、なんだから」と。それは通り過ぎていった人なんですよね。なにかをワタクシに残して。
そんなことを考えながら拝見しました。
  • URL
  • 2009/09/18 04:06
  • Edit

yspringmind

hiroさんにとっては懐かしい場所ばかりでしょう。夢ではありません。確かにこの町に暮らしていたんですよ。私は予定外にこの町に来たことを昔はひどく悔やみましたが、今はその全く反対でここに辿り着くことが出来たことをとても感謝しています。

yspringmind

camera-oscuraさん、町のど真ん中にこんな風に置き去りにされた感じの場所が幾つもあるのがボローニャですね。出来れば何時までもそのままでいて欲しいです。それにしてもここを通るときに私のことを思い出してもらえるのは大変な光栄です。

yspringmind

大庭綺有さん、こんにちは。夏が終わった頃の日没後って本当に寂しい気分になりますね。そんなメランコリーな気分になっているうちにボローニャはあっという間に秋が深まり気がつくと暗い冬になるのです。だから今を楽しんでおかなくては、と思うのですよ。疎遠になった人もそうでない人も同じくらい意味があるのだと思います。少なくとも私には単に通過してしまった人は独りもいません。それこそ仰るとおり、何かを私に残して。

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