休暇はお終い
- 2025/01/06 17:06
- Category: bologna生活・習慣
今日も空は鼠色。雨こそ降らぬが湿気っていて、地面が黒く光っている。気温は9度とさほど低くないけれど、この湿度で寒く感じる。湿度のせいで寒く感じるということを、私はボローニャに暮らすようになって初めて知った。アメリカの海の街からボローニャに引っ越して、ボローニャ郊外の酷い田舎に暮らしていた時期があった。10月になるなり湿度が増して12月は霧が濃くて先が見えなくなったほどだ。寒い寒いという私に知人たちはいつも言った。寒くないよ、湿度のせいで寒く感じるだけだよ。事実気温はさほど低くなくて、成程、湿度で寒く感じるなんてことがあるのだな、イタリアでは、と思ったものだった。あの頃を思えば今日の湿度なんて大したことは無い。あの頃を思えばなんてことは無いと思えることが沢山ある。そのくらいあの頃は何もかもが受け入れがたかったのだと気づいて、それがもう過去のことになったことを嬉しく思う。過去よりも今の方がいいこと。それはなんて素晴らしいことなのだろう。
エピファニアの祝日の今日、君は今日から仕事だね、頑張れよ、と、そんなメッセージが友人から届いた。ベルギーの友人だ。どうやらベルギーは祝日ではないらしい。キリスト教の祝日だからてっきり欧州何処もが祝日だと思っていたので驚いた。ふふん、仕事は明日からよ。今日はイタリアは祝日なの。そんな返事を送り返した。17日間の冬期休暇。此れは私の人生の中で一番長い冬期休暇。本当に有り難いと思っている。私には必要だったのだ。色んなことから離れて、静かな海のような心になる必要。そして身の回りを色々整理して、自分がどうしたいのかとか、どうしたらいいのかとか、見えなかった色々が見え始めたことに、私は感謝をしている。
そんな今日は休暇最後の日。したいことは存分したが、そうだ、寝室の家具の位置を変えてみようかと思いつき、居間で寛いでいた相棒に応援を求め、重い家具を動かした。そうしたら、なかなか良かった。いいねえ、と相棒は言ったが、猫は不満そうだった。私とよく似て変化を好まない猫なのである。恐らく2日もすれば慣れるに違いないけれど、今日は寝室に足を踏み込むのも嫌らしい。
そうしているうちに、今度はベルギーの友人の妻からメッセージが届いた。2月にローマを訪れる予定だが、あなたも来ないかとの誘いだった。それは嬉しい誘いであり、出来れば休暇をとって飛んでいきたいけれど、うーん、ローマねえ。時間はまだあるから存分迷えばいいととのことだ。暫く迷ってみようと思う。返事をしないでいたら、妥協案があるとのメッセージが。フィレンツェで落ち合うのはどうかとのこと。うーん、フィレンツェかあ。これなら何とかなりそうな気がする。ということで、気分は既に2月に彼らと半年振りの再会である。愉しいことは幾つあっても構わない。特に今年はそんな年にしたいと思っているから。割とポジティブな返事を送り返してみたら、彼女は心を決めたらしい。それじゃ、2月に再会を楽しみにしている。そんな返事が直ぐに帰ってきた。遠くに暮らす友人達、だけど近い存在。有り難いと思う。フィレンツェで落ち合ったら、ちょっと美味しい昼食を。昨夏アントワープ滞在中に散々美味しいものを振舞ってくれた彼らに、今度は私がご馳走したいと思っている。フィレンツェには美味しい店が沢山あるから、きっと美味しくて愉しい昼食会になるに違いない。
休暇最後の3日間がどんより天気なのは残念だったが、明日は太陽が出るらしい。仕事始めに相応しい太陽。今日の分まで光を放ってほしいと思う。ところで猫は気付いているようだ。私が明日から日中留守にすることを。紐や小さな玉などの遊び道具を私の足元に持ってきては、私の足をつついて訴える。遊んで頂戴よ。はいはい、遊びましょう。暫くすると疲れて私が椅子に座ると、別の遊び道具を持ってきて私の足をつつく。ねえ、遊んで。はーい、遊びますか。朝からこんなことの繰り返し。休暇最後の一日は、こんな風にして過ぎてゆく。穏やかで尊い一日。