グレンスコシア 18年 2017~ 46%
GLEN SCOTIA
AGED 18 YEARS
CLASSIC CAMPBELTOWN MALT
AROMATIC & SPICE
Cask type American Oak
Finish Cask Oloroso Sherry Butts
700ml 46%
グラス:テイスティンググラス
時期:不明
場所:新宿ウイスキーサロン
評価:★★★★★★(6)
香り:華やかなオーク香。ファイバーパイナップル、バニラや洋梨を思わせるオーキーなアロマがあり、合わせて若干焦げた炭のようなピート香。奥には干し草、ホワイトペッパー、微かにタイムのようなハーブ香を伴う。
味:オーキーでスムーズ。おしろい系の麦芽風味に香り同様に華やかなドライフルーツ。また熟したバナナ、薄めたキャラメルを思わせるような粘性のある甘味もあり、じわじわとビターでスパイシー。余韻にかけてはそれまでの樽感主体の味から分離したようで線が細い。刺激とともにニッキやガラムマサラのようなスパイス香、銀杏を思わせる苦味や灰っぽさのある微かなスモーキーフレーバーが感じられる。
香味ともトップにあるのはバーボンオークやリフィルホグスヘッド系のアメリカンオークの華やかさ。多少コクのある甘味を伴うのがフィニッシュの樽由来だろうか。露骨なシェリー感は感じられない。そこからやや野暮ったい癖のある麦芽風味と軽いピートという構成。樽感だけ見れば極めてまともで・・・綺麗に仕上げてあるのだが、樽と酒質が混ざりきらないような浮わついた印象も、ある意味でらしさである。
キャンベルタウンに残る、2つ(グレンガイルを1とカウントすると3つ)の蒸留所のうちのひとつ。栄枯盛衰を経験済みなキャンベルタウンにおいてスプリングバンクも中々波乱万丈ですが、グレンスコシアはそれ以上。というのもここ5~6年程度の間、ラインナップがグレンスコシアほど大きく切り替わった蒸留所は、そうないと言えるからです。
2013年、それまでブレンド中心だったグレンスコシアの原酒をシングルモルトブランドとして売り込む大きな方針転換があり、緑に青に紫と、派手な色使いの特徴的な5種類のオフィシャルラインナップ(10、12、16、18、21年)が形成。前年比500%の成長と言う野心的な目標が掲げられたのが、この年のことです。
その目標が達成されたかは定かではありませんが、状況が変わったのが2014年。現在の親会社であるロッホローモンドグループがグレンスコシアを買収したのです。
新しいマネージャーの配属とともに、方針も切り替わったのか、上記のリリースは終売となり・・・。2015年頃からNASダブルカスク、15年、ビクトリアーナの3種類に集約され、次いで18年、25年が2017年に、そして限定品の45年が2019年にリリースされて現在に至っています。
個人的に2015年にリリースされた3種は一通り試しましたが、樽使い、原酒構成としても定まっていない印象が拭えませんでした。
そもそも、強烈ではないが癖(個性)は独特のものがある一方で、スプリングバンク等と違って酒質のキャパシティの少ない印象のあるグレンスコシアが、ダブルカスクにしろ15年にしろあれこれ樽香を付与しても、あるいはビクトリアーナのように熟成感のあるフルーティーなタイプをベースにして、幅広い熟成年数の原酒をブレンドしても・・・それらがいまいち馴染んでいなかったように記憶しています。
もはや好みの問題とも言えますが、なにか事情でもあるのか、と思っていた中でリリースされた18 年は、近年多くのモルトで見られる王道的な構成かつ、グレンスコシアの中で最も親しみやすいと言える構成でした。
強めのアメリカンオークフレーバー、オロロソシェリーカスクフィニッシュといいつつ、そこまでシェリー感はなくコクを与える程度。華やかでフルーティーで、仄かにスパイシーな、バランスの良い仕上がり。まさにド定番系の流行ファッションに身を包んできたという感じです。
ただ、ベース部分にある個性は同じなので、どんなに着飾っても前半と後半の落差が変わらないのが、この蒸留所のさだめなのか。悲しいけど・・・これ、グレンスコシアなのよね。
「オッ、ハイランドモル・・・あれ?」となるような、そんなキャラクターを個性として愛してほしい1本です。