コンパスボックス ノーネーム 48.9% リミテッドエディション
COMPASS BOX
"No Name"
Limited Edition
Release of 15000 bottles
700ml 48.9%
グラス:オープンナップスピリッツ アンビアント
場所:BAR ハリーズ高岡
時期:不明(3ヶ月以内)
暫定評価:★★★★★★(6-7)
味:とろりとした口当たり。強いピートフレーバーと、ヨードを伴うアイラモルトの個性。ほのかにアプリコット、レモンキャンディ、中間に乾いた麦感やナッツ、ドライな刺激が感じられるが全体の中でも一つのアクセントに留まる。余韻は焚き木の燃えかすを思わせるスモーキーさに、ひとつまみのオークチップ、ほろ苦く長く続く。
多少荒さはあるが、単にピーティーなだけではなく程よい熟成感が感じられるバランスのいいアイラタイプウイスキー。ボトラーズリリースのアイラモルトの若年化が進む昨今において注目すべき構成。作られた90年代アードベッグ。
コンパスボックス社の上位グレードに位置付けられるリミテッドエディション、ノーネーム。試飲でこれはなかなか美味いアイラ系ブレンドだと感じたのですが、しかし値段を見ると相応に高く。。。最近の相場ならそうだよなーと購入意欲は大幅にトーンダウンしていたのですが、いつの間にか並行品で納得のいく価格(税込12000円代)のものが入っており、BAR飲みして再度確認して見ることにしました。
ノーネームはコンパスボックス社がリリースしてきたウイスキーの中で、最もピーティーで個性が強いことから、名前なんかいらないでしょと「No name」と名付けられたそうです。
その個性の素となる原酒について、正式に蒸留所名まで明かされていませんが、使われたとされる原酒の99%以上は、ヒントというより蒸留所名同然で公開されており、その8割以上がアイラモルト、ほぼバーボン樽熟成のアードベッグという構成になっています。
【構成原酒】
■アイラ島のPIER ROAD にある蒸留所(アメリカンオークバレル)-75.5%
→アードベッグ
■アイラ島のPORT ASKAIG 村近くにある蒸留所(アメリカンオークバレル)-10.6%
→カリラ
■ハイランド地方のBRORA 村近くにある蒸留所(ホッグスヘッド)-13.4%
→おそらくクライヌリッシュ
■ハイランドモルトのブレンド(フレンチオーク)-0.5%
→手持ちの原酒か、ブレンド用バルクか。
熟成年数は不明ですが、香味から感じる印象で平均15年程度。おそらく10年弱のアードベッグに、20年オーバーのカリラやクライヌリッシュを加え、アードベッグらしさを残しつつバランスと熟成感を出しているのではないかと思います。
もちろん単一蒸留所のそれと比べると、多少の違和感はありますが、それ以上にバッテッドモルトの利点を上手く活かした構成。コンパスボックス社としては、パワフルなスモーキーさを売りにしていますが、個人的にはそれ以外の要素として、1世代前のアードベッグに通じるニュアンスが印象的でした。
以前リリースされたカリラベースのフレイミングハートも熟成感がありつつ多彩な香味で印象深く、この手のリリースを主とするコンパスボックス社のノウハウが感じられるようです。
以下雑談。
アードベッグといえば、漫画レモンハートで「アードベッグ17年と、ウイスキーの樽材で燻製したスモークサーモン」が描かれていた回がありました。
この日は三郎丸蒸留所を見学した後、地元高岡でBAR飲み。お手製の"樽材を使った地元産サクラマスの冷燻"が持ち込まれており、レモンハートに習ってノーネームで合わせてみました。
スモーキーで肉質の強さと濃厚な旨味が広がるサクラマスに、ノーネームのピーティーさがマッチ。サーモンではなくサクラマス、オールドアードベッグではなくノーネーム。図らずも、味わい深い組み合わせとなったのです。
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