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値上げ値上げで気が滅入るところに、さらにショックな「終売のお知らせ」がニッカからも入ってきました。 
対象銘柄はシングルモルト余市、宮城峡、そしてG&Gなど一部のブレンデット。 
酒屋等への通達は先日の値上げ発表とほぼ同時に行われていたようで、そこから情報が広まっているため「うん、知ってる」って人も多いと思います。
あと結構前からウワサもありましたし。20年が終売になるとかも含めて。

ただ、あまりにも規模がでかかったことや、詳細が不明であったため、終売という単語だけが一人歩きし、陰謀論も含めてガセネタ的な話も一部広まっている状況。確かにノンエイジの余市、宮城峡は先日"休売"の通知がされていたところに終売通知ですから、話が違うじゃないかと。
真相を確かめるべく、ニッカが出した終売通知を入手したりしてウラも取りました。後はいつ公開するかと様子をみてましたが、知恵袋にも質問が出たり、FB、Twitterでも話題になり始めましたので、ぼちぼち公開します。

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(終売の対象となった余市20年。ドラマ開始直後にイヤな予感がして買ったもの。やはり正解でした。)

以下が一般市場向けのウイスキーラインナップ、終売リストとなります。 
今回終売の対象となる商品は49品目。多いなって感じで実際内訳見ても多いんですが・・・同時に終売となるブランデーや業務店舗用の商品も含まれているため、ウイスキーのみで49品目ではありません。


【終売となるウイスキーリスト】
シングルモルト余市20年 (700ml 52%)
シングルモルト余市15年 (700ml 45%)
シングルモルト余市12年 (700ml 45%)
シングルモルト余市10年 (700ml 45%)
シングルモルト余市10年 (180ml 45%)
シングルモルト余市 (500ml 43%)
シングルモルト余市 (180ml 43%)
シングルモルト宮城峡15年 (700ml 45%)
シングルモルト宮城峡12年 (700ml 45%)
シングルモルト宮城峡10年 (700ml 45%)
シングルモルト宮城峡10年 (180ml 45%)
シングルモルト宮城峡 (500ml 43%)
竹鶴ピュアモルト21年 (180ml 43%)
竹鶴ピュアモルト17年 (180ml 43%)
ピュアモルトホワイト (500ml 43%)
鶴17年 (700ml 43%)
ブラックニッカスペシャル (1920ml 42% 六角ボトル)
ブラックニッカ8年 (700ml 40%)
オールモルト (1920ml 40%)
モルトクラブ (4L 40% ペットボトル)
モルトクラブ (2.7L 40% ペットボトル)
モルトクラブ (1920ml 40%)
モルトクラブ (700ml 40%)
ハイニッカ (4L 39% ペットボトル)
ハイニッカ (2.7L 39% ペットボトル)
ハイニッカ (1920ml 39% ペットボトル)
ハイニッカ (1920ml 39%)
ハイニッカ (1440ml 39%)
G&G白 (750ml 43%)
ザ・ブレンド (660m 45%)
ザ・ブレンド 神戸 (660ml 45%)
ニッカウイスキー 博多 (700ml 43%)

以上。 2015年8月31日の出荷をもって終売。
終売周知
※注意:本件はアサヒビールから酒販関係者への通達であり、一般に向けた発表(ニュースリリース等)がされたものではありません。 

シングルモルトラインナップに、一部の地方限定品、低価格帯の大型ボトルの一部、さらに往年のニッカファンには特別な銘柄のひとつでもあるG&G・・・ずいぶん大幅な商品整理です。 
最終出荷は2015年8月31日。ですが、関係者経由で聞いた限り、今後も該当商品(特にシングルモルト)のまとまった量の出荷は予定されていないそうです。

理由は「最大限の生産体制で取り組んできたものの、一部商品の品切れ、出荷調整などのため、お客様各位に迷惑をかけているため。そして、終売により商品アイテムを集約することで、原酒供給の安定化と、製造効率を高めて"竹鶴"などの主力商品を増産するため。」とのこと。

まず原酒の確保。これは至上命題です。今使い切ってしまっては将来的な生産が出来なくなりますのでどうにかバランスをとろうとしているのでしょう。
そしてサントリー以上にニッカが抱える大きな問題が生産能力、ボトリング能力の問題。
ニッカのラインナップは一時期より少なくなったものの、かなり多様なモノがあります。
それが魅力でもありましたが、他方で人気が無いからそういう生産の仕方が出来たとも言えます。そしてブームが来た結果、ボトリング設備がフル稼働しても一般市場の需要に追いつかず、限定商品の出荷も重なって、ラインナップすべての生産が追いついていないことは市場を見ても明らかでした。
今後は6月のブラックニッカディープブレンドをはじめ、後述する新商品のボトリングもありますから、既存製品にリソースを割けないのでしょう。
値上げの裏で終売、消費者、ファンからすれば複雑なところですが、選択と集中が必要だったのは理解できます。
このダブルパンチに憤る気持ちがあるかもしれませんが、決まってしまったことは仕方ありません。 

また、今回の終売通知は、言い換えればニッカのシングルモルトラインナップが全滅するということでもあります。(蒸留所限定品は残るようですが。)
オイオイ、世界的にシングルモルトブームが起こっているなかでそりゃないだろう。という感じですが、今後はノンエイジの余市、宮城峡が、構成・仕様を新たにしてリリースされるそうです。 

※9月1日以降のニューリリースについて情報を更新しました(6/12日追記)
【速報】 9月1日新発売の「余市」と「宮城峡」の詳細について
http://whiskywarehouse.blog.jp/archives/1030603271.html


(8月2日更新)
シングルモルト余市(45%) 先行試飲サンプル テイスティング記事。
http://whiskywarehouse.blog.jp/archives/1035737486.html
シングルモルト宮城峡(45%) 先行試飲サンプル テイスティング記事。
http://whiskywarehouse.blog.jp/archives/1035892652.html

それにしても、2015年はジャパニーズウイスキーにとって大変革の年になりそうです。
世界のウイスキー愛好家が注目するニッカのシングルモルトがノンエイジのみってのは少々悲しい気もしますが、原酒の選択と集中で幅広いビンテージから構成されることで、素晴らしい出来のモルトウイスキーとなることを期待しています。
※9月1日以降のラインナップと今回の値上げ・終売についてまとめました。(5/27更新)