花曇り

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花曇りの定義が、春の、桜の花が咲く頃の曇り空というならば、丁度今日のような空を花曇りと言うのだろう。私が暮らす界隈には桜の花は咲かないが、李やアーモンドの花が綺麗に咲いているから。そんなことを思いながら窓の外を眺めた。

昨日から体調が宜しくない。昨晩夕食を終えた頃にピークがやってきて早々にベッドに潜りこんだ。私にとっては眠りが一番の薬。大抵の場合は眠るだけで元気が蘇る。だから朝になればまたいつもの元気な自分になると思っていたのに、身体が言うことを聞かぬ。それで今日は一日身体を休めることにした。それなのに。8時半になった途端、一斉に始まった騒音。窓の外を眺めてみたらあちらでもこちらでも庭師が庭の手入れをしているではないか。北と西と東に隣接した庭で庭師たちが草を刈ったり落ち葉を吹き飛ばしたり石畳をジェットで水洗いしたり。どれもこれも音が大きいものばかり。その作業をしている庭師たちは耳カバーをしているから。それほど苦でもないらしい。はーっと大きなため息をついてベッドに深く潜りこんだ。眠りに落ちそうにはないが、横たえて体を休めるだけだって良いと思いながら。浅い眠りだった。音が邪魔して完全に眠り落ちることがなかった。ところが正午になった途端、3か所の庭の作業がぴたりと止んだ。工事にしろ庭の手入れにしろ、作業をする人達は時間に厳密。身体を使う分だけ昼食時間が待ち遠しいに違いない。身体を使う分だけ昼食が美味しいに違いない。
数日前、久し振りに旧市街のジェラート屋さんに入った。私の気に入りの店のひとつで、春夏と足しげく通う店だ。春めいてきたせいもあり、冬の間ガラガラだった店内も、美味しいジェラートを買い求める客で賑わっていた。その中に若い母親と小さな子供。母親は持ち帰り用の大きな器にジェラートを詰めて貰う為にあれとこれとなんて言いながら店の人と話をしていた。彼女の子供は3歳くらいの男の子。あまりに可愛い顔なので女の子かと見間違うほどだった。その彼が、私のところにやってきて訊く。何て名前なの? それで私が自分の名前を教えると、初めて聞く名前だったに違いなく、彼は口をあんぐりと空けて言葉を失った。その様子を見ていた母親が、日本の名前なのよと彼に教えると、なーんだ、そうなのか、なんて言うので、居合わせた大人たちが顔を見合わせて笑った。それから彼は次から次へと話をした。どんなものが好きとか、どんなことをしたいとか。とてもお喋りが上手で、聞き耳を立てていた大人の笑みを誘った。そのうち母親が買い物を終えて、さあ、帰ろうと声を掛けると、彼は私の手をぎゅっと握り、私の名前を呼んだ。先ほどあれほど驚いた私の名前を。また会おうねなんて言って何度も後ろを振り返りながら店を出て行ったけど、案外本当にまたこの店で会えるのかもしれない。お喋りが上手な男の子。きっとどこへ行っても人気者なのだろう。それにしてもジェラートの季節到来。沢山でなくて良いのだ。冷たいジェラートをほんの少し。さあ、此れからジェラートの店の前を素通りするのが難しい。良い季節の証拠である。もうひとつの証拠は夏時間。今週末には夏時間が始まる。

一日身体を横たえて元気復活。こうでなくては。元気が一番。




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