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シングルモルトあかし 4年 2018-2022 ヘビリーピーテッド 62% for KFWS

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EIGASHIMA DISTILLERY 
SINGLE MALT AKASHI
Heavily Peated 
Aged 4 years 
Distilled 2018 
Bottled 2022 
Cask type Bourbon Barrel #101855 
For Kyoto Fine Wine & Spirits 
500ml 62% 

評価:★★★★★★(6)

香り:フレッシュでスモーキーなトップノート。表層的にはピートと柑橘系のニュアンスが主体で好ましい香り立ち。そこからハーブ、焦がした針葉樹、微かに古い酒蔵のようなアロマが混ざり、度数相応の鼻腔への刺激も感じられる。

味:口当たりはオイリーでややビター、スモーキーで角のとれた麦芽風味。続いてバーボンオーク由来のバニラと麩菓子の甘さ、グレープフルーツ、オレンジオイルのような質感、奥には針葉樹や根菜を思わせるニュアンス。
余韻はピーティーでほろ苦くスパイシー。強いスモーキーさとハーブのよう青みがかった要素がが鼻腔に抜けて長く続く。

素性のいい麦芽風味に力強いピートフレーバーが特徴の1本。造り手の違い、意識の違いがこうも味わいに影響するのか。雑味が多く樽のノリも悪いかつての姿はなく、柑橘系の要素と樽感も良い塩梅で感じられる。決して洗練された味わいではないが、そこに江井ヶ嶋らしさ、個性を感じることが出来るとも言える。
江井ヶ嶋蒸溜所、新時代の始まり。是非先入観を捨てて飲んで欲しい。

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京都の酒販&インポーター、Kyoto Fine Wine & Spirits社(KFWS)からリリースされたプライベートボトル。実は、自分もちょっとお手伝いさせて貰いました。
同社のPBは、先日のWDC向けボトルをはじめ、多少価格は高くとも、高品質で間違いのないモノをリリースしていることで知られており、言い換えるとKFWSは愛好家からの信頼の厚いブランドであると言えます。
さながら一昔前のシルバーシールみたいな位置付けですね。

それ故、KFWS向けリリースで、江井ヶ嶋蒸溜所のあかしがラインナップされた時の愛好家の反応は…想像に難くないと思います。
少なくとも2010年代までは愛好家からほとんど評価されることがなかった、あの“あかし”です。
今回のリリースは、蒸留所とKFWSの繋ぎから関わらせてもらっているのですが、元を辿ればKFWSの2人もまた、いやいやくりりんさん、江井ヶ嶋ですよ?と、信用半分疑問半分といった反応でした。

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それが、現地で原酒をテイスティングしてから、「あれ、これ良いじゃない」と評価が変わります。本リリースを飲んだ愛好家の、SNS等での反応も総じて同様。
自分は、三郎丸蒸留所の原酒交換リリースであるFAR EAST OF PEATや、T&T TOYAMAのLAST PIECEのブレンド等を通じて、江井ヶ嶋蒸留所の酒質の変化、進化を知っていましたが、やはり最初は同じようなリアクションをしました。

何故こうも、多くの愛好家が同じような反応をするのか。
それは、以前のシングルモルトあかしは単純に美味しくない、という表現が正しくないとすれば、雑味が多く決して洗練された酒質ではない、雑味が多いが複雑と言うわけではなく妙にシャープで樽感と馴染みが悪い、全体的に何かしらのこだわりを感じさせる味わいではない、ということ。
現蒸留所長に伺ったその理由は、端的に言えば、雑に造った酒は雑な味にしかならない、ということでした。

かつて江井ヶ嶋蒸溜所は、そもそもの企業名・江井ヶ嶋酒造の通り日本酒をメインに作っていましたが、醸造酒を作らない夏場に製造スタッフを遊ばせない為に蒸留酒も作っていました(現在はウイスキーは通年製造)。そのため、意識は高くなく、言うならば安かろう悪かろうな、あるいは桶売り前提のようなスタンスでウイスキー造りが行われてきました。
一例となる出来事として2010年ごろ、自分が江井ヶ嶋蒸溜所を訪問した際、スタッフが麦芽のフェノール値を把握しておらず、「商社が勝手に持ってくる物で作ってるからわからない」なんて説明を受けたこともあるくらいです。

そうなると、様々なことがおざなりになっていくものです。
一方で、2016年に現蒸留所長の中村裕司氏が着任され、現場の問題点を把握し、上層部に伝え、その改善に着手したことで、特に2018年ごろの酒質から明確に違いが現れてきます。
具体的に何をやったかと言えば、錆びて汚れた配管やタンクなどの交換・整備、清掃の徹底、発酵等の造りのノウハウ部分の見直しです。
中村氏は元々日本酒側の人間であるためウイスキーは未経験でしたが、だからこそこの設備、この造りではいけないと気づけたと言います。
そして「お前ら、そんなウイスキー作ってて家族に恥ずかしくないんか、一緒に飲みたいウイスキー造ってるって言えるんか」とスタッフに檄を飛ばした意識改革は、同氏の酒造りに対する熱い想いを感じさせるエピソードとなっています。

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なお、同社がウイスキー製造免許を取得して100年に当たる2019年は、ポットスチルの交換も実施。古いポットスチルは、現在蒸留所正面にオブジェとして設置されています。
変更といっても、サイズも形状も変更されていませんが、2019年以降の仕込みは雑味が減ってさらに酒質が良くなったことから、確実に効果はあったこの交換。逆に言えば、2018年蒸留の原酒はまだ発展途上であると言えます。

ですが、蒸留における心臓部であるポットスチルが変更されていない2018年蒸留原酒に見られる旧世代からの進化こそ、中村所長がもたらした同蒸留所の変革と新時代の始まりを、最も感じられる要素だと私は感じています。
成分分析した場合も、数値上の特性が良いのは間違いなく2019年でしょう。記録に残る2019年、記憶に残る2018年と言ったところでしょうか。
本リリースはピーテッド仕様なのも良いですね。アイラのイメージから、やはり海辺のモルトにはピートが似合う。アイラ海峡、あかし海峡、なんか似てるし(笑)

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本リリースは昨年の発売で既に完売していますが、今回の樽が必ずしも特別な樽だった訳ではなく、2018年の中では平均的なものから好みに合う成長の原酒を選んだという感じ。
この時テイスティングした原酒のサンプルのクオリティは総じて安定しており、その証拠に、現在流通しているスタンダード品であるシングルモルト・ホワイトオークあかし(3〜4年熟成原酒がメイン、500ml 46%)の味わいも、確実に向上しています。

ただし江井ヶ嶋蒸留所のハウススタイルは、実はバーボン樽でもピートでもなく、ノンピートから極ライトピートでシェリー樽熟成にあります。
今回のボトルはその点では少し外れたものですが、今後リリースされるいくつかの他社PBはシェリー系で、そのキャラクターが良い具合にマッチしていることから、また違った驚きを愛好家にもたらしてくれると期待しています。
新時代の到来からまだ5年あまり、原酒の成熟はこれからですが、地ウイスキーからクラフトウイスキーへ、あかしの遂げた進化を本リリース、あるいはいずれかのボトルで感じてもらえたらと思います。

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カリラ 14年 2008-2022 バーボンバレル for Wu Dram Clan 52.4%

カテゴリ:
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CAOL ILA 
Wu Dram Clan 
Aged 14 years 
Distilled 2008/03 
Bottled 2022/03 
Cask type Bourbon Barrel #304738 
700ml 52.4% 

評価:★★★★★★(6)

トップノートはややドライ、バーボン樽由来のオーキーな黄色系果実、合わせてスモーキーで、焦げ感を伴うピート香。ヨードや塩気を伴い、シャープで力強い。
味わいも同様で、アイラ要素を強く感じさせる構成。熟成を経たことによる樽由来のフルーティーさに対して、ピートフレーバーや麦芽風味など、全体的に多少粗さが残っており、それが風強く波立つ海を連想させ、海の要素を際立てている。
余韻はウッディな華やかさもややエッジが立って、スパイシーでほろ苦いフィニッシュ。

クリアでスモーキーで、ほのかな甘さと共にシャープで適度な粗さがある。オフィシャル路線から外れておらず、むしろシングルカスクとしてのバーボン樽の個性と、カリラらしさのしっかりある、ボトラーズリリースらしい1本、
飲み頃という意味では、最初のピーク。まだまだ熟成の余地も残されているが、これ以上熟成し、20年、30年となると、1990年代以降のカリラは樽感が強くなり異なるキャラクターとなるため、個性も楽しめる美味しさとしては10~15年程度が適齢なのかもしれない。

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80年代、90年代、2000年代、傾向の違いはあれど、いつの世代の原酒も流通があり、大外ししたリリースも少なく大概は美味い、まさに安定のカリラ。
ラフロイグ、ボウモア、アードベッグ、ラガヴーリンと、オフィシャルからの原酒提供が止まってボトラーズリリースがほとんどなくなり。時期によっては流通がなく、あってもシークレットアイラ名義という昨今の市場において、変わらない存在感は行きつけの店で頼む「いつもの」のような安心感すらあります。

というか最近のアイラモルトの市場、新規発売された10年以上熟成の蒸留所名表記のボトラーズリリースって、本当にカリラくらいしかないんですよね。
最近だと、30年オーバーの熟成がCoDカリラの32年や、 BARカスクストレングスの20周年記念ボトルでリリースされているところ。ただ、この2種は味わいというより価格的になかなか手が出ないボトル。一方で、10年熟成程度なら現実的だし、面白いモノもいくつかあります。

例えば、以下のワットウイスキーのカリラは、熟成を経て角がとれた酒質からアイラ要素をメインに楽しめるボトルですし、その逆としてフルーティーさが欲しい場合は、今回のボトルを筆頭に、バーボンバレル熟成のものを狙ってみると良いと思います。

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カリラ 32年 1990-2022 51.5% for Wu DRAM Clan
今年WDCがリリースした、MHDオフィシャル扱いのカリラ・シングルカスク。このオフィシャル相当のボトルが国内に流通するということだけでも十分凄いが…現在の市場のオフィシャル30年オーバーというだけあって、勿論価格も凄い。

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カリラ 11年 ワットウイスキー 2011−2022 ホグスヘッド 58.4% 

わかりやすいフルーティーさではなく、樽感は淡く、その分ヨードとピートからなる”アイラらしさ“を味わえる点がポイント。ハイボール向き。
いやいや、そんなことしなくても、カリラはオフィシャル12年が充分美味しいじゃないか。という意見も聞こえてきそうですが、ことピートに関しては加水じゃダメなんです。確かにバランスや飲みやすさとしては、オフィシャル現行のカリラや、その他アイラモルトも悪く無いクオリティがありますし、個人的にも普段はそれで十分です。
カリラ以外だと、キルホーマンのマキヤーベイの最新ロットとか飲んでみてください。凄いレベル上がってます。

ですが、加水やフィルタリング、あるいは複数樽バッティングでエッジの丸まったピートや麦感じゃなくて、カスクストレングスでバチっと効いたボトルが飲みたくなる時もあるのです。
そんなシングルカスク/カスクストレングスリリースにいつまでも居てくれるカリラの偉大さに感謝しつつ、今日の記事の結びとします。
ほんと、このまま安定してリリースされ続けて欲しいものです。

グレンロセス 36年 1986-2022 Wu Dram Clan 45.6% #2125

カテゴリ:
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GLENROTHES 
Wu Dram Clan 
Aged 36 years 
Distilled 1986/03 
Bottled 2022/11 
Cas type Bourbon Hogshead #2125 
700ml 45.6% 

評価:★★★★★★★(7)

トップノートははっきりとした華やかさ、アップルタルトや熟した黄桃から、ナッツ、かすかに干し草を思わせる枯れたウッディネスへと移る。
口当たりは軽やかだが、徐々にねっとりとした黄色系の果実、濃縮したオークフレーバーが麦芽風味の残滓を伴って広がる。余韻は華やか、黄色系果実を思わせる甘酸っぱさ、かすかに古典的内陸モルトを思わせる麦芽風味を伴い、染みこむように長く続く。

アメリカンホワイトオーク・ホグスヘッド樽で熟成した、長熟グレンロセスの真骨頂とも言える溢れんばかりの華やかさ、フルーティーさ、そして枯れたようなニュアンスが特徴の1本。度数は45%台まで落ちているが、枯れ感が強くならず、華やかさとフルーティーさを強調したような味わいは、この時代の酒質が麦芽風味が厚かったことと、樽から良い形で影響を受けた結果だろう。
香味の傾向としては、ボトラーズのブランドは違うが、Old&Rareのプラチナシリーズあたりに有りそうなクオリティ。選定者のこだわりを感じる1本である。

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1980〜90年代蒸留で、30年オーバーの熟成。という当たり前の事実を、年齢的な理由から認めたくない昨今。
そんなオッサンちっくな、時間の流れに取り残された心情だけなら良いのですが、もう一つ認めたくないのがボトラーズの原酒事情。
80年代は多くの蒸留所が閉鎖したように、スコッチ業界全体で生産量を調整していた時期にあたり、そこに現在の世界的なウイスキー需要増がダブルパンチとなって、原酒自体の入手が困難で価格も青天井状態…と、難儀な状況となっています。

しかし言うても冬の時代、谷間の世代の80年代。だったらオールドを買えば良いのではないか、という意見もあります。
確かに、1980年代のスコッチモルトは、黄金時代とされた60年代、71、72、76と当たり銘柄で話題になる70年代からすれば、閉鎖蒸留年以外であまり話題にならない世代です。(あるのはクライヌリッシュの82くらい。アイラはボウモア以外安定していますが…。)

個人的な感覚で言えば、80年代の内陸モルトは生産調整があったからか、出回った樽や麦芽品種の問題か、何か一つ原因というわけではないのでしょうが、麦感は出ているのですが果実味や華やかさ等に乏しく、特徴に欠ける原酒が多い、あまり勢いのない世代という印象でした。
また、グレンロセスに限れば、オフィシャルから蒸留年毎のリリースがあったこともあり、80年代のビンテージで10〜20年熟成品が珍しくありません。
味も当時は70年代に比べたら平凡だった結果、86年ビンテージなんて・・・といったら失礼ですが、少なくともブーム前からウイスキーを飲んでいたコアな愛好家にとっては、オールド買えばという意見も理解できてしまいます。

ですが今回のグレンロセスに限らず、80年代蒸留の30年熟成オーバーがここ数年ちらほら出て来ており、飲んでみると結構良いじゃん、みんな好きな味になってるじゃんと、あまり刺さらなかった10年前と比較して、その仕上がりの良さに驚かされます。
やはり長期熟成は偉大…というか、下地の酒質、麦芽風味があってこその熟成ですね。
今回のロセスも、ともすれば線が細く枯れ感が強くなりがちなところ、麦芽風味が残っていることで強い樽由来の要素を支え、勢いがなかったことが逆に染み込むような余韻に繋がった、この世代だからこその味わい。力強さはないがしみじみ美味い。

人間で言えば、トレンドを押さえた都会的なファッションに身を包んでいるが、中身は落ち着きのあるカッコ良いミドルエイジ。。。
同じ世代の生まれなだけに、思い入れもある80年代モルト。こんなところでダラダラ続いちゃいそうですが、書き出しはおじさん構文で始まったレビューですから、締めも同様に。
ではまた次のレビューで。

キャパドニック 22年 2000-2022 Wu Dram Clan 3rd Anniversary Collection 55.2%

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CAPERDONICH
Wu Dram Clan 3rd Anniversary Collection
Aged 22 years
Distilled 2000
Bottled 2022
Cask type Hogshead #29490 
700ml 55.2%

評価:★★★★★★(6)

香り立ちははっきりとした樽香、バニラや乾いた木材、新築家屋のようなアロマ。言い換えればバーボン的なニュアンスが感じられ、それがキャパドニックのソフトなモルティーさと混じり、スワリングしていると濃厚なフルーツ香へと変化する。

口に含むとバナナを思わせるクリーミーな甘さから、スライスアーモンド、焼き小麦菓子、ウッディなニュアンス。柔らかい麦芽風味を思わせるモルティーさを下地に、香り同様にはっきりとした樽由来の要素、エキスが口内に広がる。
余韻にかけては黄色系果実のほのかな酸味とウッディネス。華やかで甘いオーク香が鼻腔に抜け、ドライで長く続く。

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キャパドニックは基本的に線が細く、あるいはぼんやりとしている印象があり、特に2000年代のものはその傾向が強いと感じていました。
そこにホグスヘッド樽での熟成となると、まぁ軽やかな感じで後は華やかなオークフレーバー、ウッディな感じ・・・と予想していたのですが、このボトルは樽の系統が異なるのか、かなりはっきりと樽由来の要素が主張し、リッチな味わいを形成しています。

樽由来の要素を分解して考えると、バーボンの新樽系フレーバーと、オーソドックスなバーボン樽、つまりアメリカンオーク由来の黄色系フルーツ、オーキーな華やかさがそれぞれ混ざったと言える構成です。
濃厚さに繋がっているのは、前者のバーボン系フレーバー、新樽要素の存在。そこまで色が濃く出ているわけではないので、チャーリングしたものではないでしょう。 バーボンバレルをホグスヘッドへと組み替える際に、エキス分を多く残した樽材が使われたか、あるいはちょうどいいサイズの樽材が無かったとかで、樽材の一部が新樽に置き換わった樽なのではないかなと予想します。

こうした樽は頻繁に見られる訳ではありませんが、ボトラーズで内陸系原酒を飲んでいると、たまにこういうフレーバーのあるリリースに当たります。
中には、これほぼバーボンじゃんってレベルのものもありますが。今回はその新樽要素が、フルーティーさを後押しするように混ざり合う。注ぎたてはトップノートでバーボン系のフレーバーを強く拾いましたが、グラスの残り香からは、熟成したコニャックにも通じる甘さ、華やかさを感じる。濃厚な樽感が好みな方には、たまらない1本に仕上がっていると思います。

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なお、WDC3周年記念の3種リリースでは、飲む前はキャパドニックとグレンバーギーが同じような感じなのでは・・・と予想していましたが、飲んでみると全く異なる方向性でした。
カスクチョイスの意図を探るべく、ラベルのセンターに描かれたWDCのセバスチャン氏にフォーカスすると、
「our Man from the Black Forest, in front of the public, always in the front row and creating the buzz. Seb is our food hunter for liquid pleasure - no spot on earth remains undiscovered.」と紹介されているのですが・・・これはどんな意味が込められているんでしょう(笑)。

面識がないので想像でしかありませんが、WDCはスコッチウイスキー以外に、アメリカンウイスキー、ラムやコニャックなども扱われていて、それらかは並々ならぬこだわりが感じられます。
それらにあるWDCのメンバーが求めていると思われる共通した要素が、このキャパドニックにも備わっています。
バーボンのようであり、モルトであり、コニャックのようでもある。WDCの品質第一主義の水準を満たした1杯を楽しんでみてください。

グレンバーギー 27年 1995-2022 Wu Dram Clan 3rd Anniversary Collection 57.7%

カテゴリ:
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GLENBURGIE
Wu Dram Clan 3rd Anniversary Collection
Aged 27 years
Distilled 1995
Bottled 2022
Cask type Hogshead #6688
700ml 57.7%

評価:★★★★★★★(7)

トップノートはウッディさが強く感じられるが、徐々に林檎のコンポートや桃の缶詰、微かにナッツやハーブのニュアンスを伴う、華やかで艶やかな香りが開いていく。
口当たりはややドライ寄りだが、香り同様フルーティーでオーキーな華やかさが含み香で広がり、余韻はトロピカルなフルーティーさと共に、乾いたウッディネスとスパイシーなフィニッシュが長く続く。

序盤は樽感が強く感じられるかもしれないが、長期熟成のグレンバーギーとバーボンホグスヘッド樽の組み合わせに予想されるフレーバーがしっかりと備わった、期待を裏切らない1本!

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ウイスキー界のマトリックス、あるいはブルーマン、そんな呼び名があるとかないとか、Wu Dram Clan 3rd Anniversary Collection。WDCのメンバーで、Kyoto Fine Wine & Spiritsのオーナーである王子さんがセンターを飾るグレンバーギーは、これまでのKFWSのリリースでも複数見られた、多くの愛好家が好むフルーティーさを備えた、飲み応えのあるリリースです。

グレンバーギーと言えばバランタインの構成原酒。ロングモーンやベンリアック、とマーティンなどと比べると、あまり話題になってこなかったモルトですが、感覚的には今から10年くらい前あたりから、ボトラーズリリースのグレンバーギーで20年熟成超のものがフルーティーで美味いと評価され、人気を確立していった印象があります。

一口にフルーティーと言っても、ある程度ウイスキーの経験値を得た愛好家であれば、内陸のノンピートモルト+バーボン樽やボグスヘッド樽の組み合わせは、こうなるだろうという予想が立てられるところ。その中でもグレンバーギーは、酒質の関係か、華やかでありつつフルーティーさがトロピカル寄りに出るというか、一層好ましい仕上がりとなることが多いモルトの一つです。

その証拠という訳ではありませんが、先日、とある方から突然ブラインドを出題され、ノージングだけでグレンバーギーと熟成年数等の各要素を絞り込めた。それくらい、際だった要素を発揮する樽が見られます。

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“グレンバーギー 32年 Old & Rare 1988-2020 43.6%
ノージングでバーギーと答えたら変態扱いされたが、近年でここまで華やかでフルーティーなのは限られる。枯れ感ある華やかさ。ドライアップルや白葡萄、濃縮したオーキーなフレーバーが余韻まで続く。ピークの終わりの美味い酒“

今回の1本にも、そうしたグレンバーギーに求める良さ、愛好家がフルーティータイプのモルトに求める要素、高い品質がしっかりと備わっていることは、テイスティングノートで記載の通りです。

なお、WDCにおける王子さんの紹介文は、日本から来たサムライで、“グルメで品質に妥協のない男”であることが書かれています。
「our Man from Japan, the samurai, fearless and always on our side. Quality is at the top of the list for Taksad. He is our gourmet and convinces with his sensory skills.」
ともすれば、今回の王子さんをセンターに置いた本リリースが、WDCのコンセプトたる「高品質であること」を体現したリリースというのは、あながち思い込みではないと思えるのです。

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