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AMAHAGAN
World Blended
The maid dragon of Kobayashi-san
700ml 47%

評価:★★★★★(5−6)

香り:注ぎたては鼻腔を刺激するドライな要素と、アプリコットやパイナップルを思わせる甘酸っぱさ。徐々にほろ苦いウッディネスに、アメリカンオークの華やかさとフレンチオーク系のバニラ香、複層的な樽香と微かなスモーキーさ。なんとも複雑なアロマ。

味:柔らかい口当たりから、グレーンのコクとソフトな甘さがあり、香り同様甘酸っぱさ、ややケミカルなパイン飴のようなフレーバーに乾いた麦芽、オールブラン。奥には白葡萄やナッツなどのフレーバーも。序盤はプレーンな味わいだが、それが複雑さを引き立てる。 余韻は口内をねっとりとした質感がコーティングし、序盤に感じられた甘酸っぱさが、スモーキーさとビターなウッディネス、ワインを思わせるタンニン、スパイシーなフィニッシュへと変わっていく。

AMAHAGAN系統の味わいをベースに、複数の原酒や樽の個性が混ざり合う、複雑なウイスキー。モルト:グレーン比率は6:4あたりか。特にハイランドモルトにワイン樽熟成のウイスキーとピートフレーバーが仕事をしているようだが、その複雑さ故、日によって、グラスによって、とにかく表情が変わるところがあり、なんとも奔放。これがブレンダーのコメントにある原作を意識した作りの結果か。
が、ハイボールにすると主張し合っていた個性が交わり、薄まり、すっきりとしてクリア、軽い酸味と麦芽風味ベースで非常に飲みやすい。

原作同様、序盤は深く考えずに楽しんでいくのが良いのかもしれない。酔った帰り道にドラゴンが居て、メイドになっていた??
冷静に考えてどういうことなん。。。いやこの可愛さなら良いのか。。。頭が。。。考えるな。。。感じるんだ。。。(何か盛られた模様

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ウイスキー界のコラボメーカー、長濱蒸溜所がリリースした、クール教信者作の漫画「小林さんちのメイドラゴン」とのタイアップリリース。原酒は長濱蒸溜所のモルト原酒と輸入ウイスキーのワールドブレンデッド。
先日は空挺ドラゴンズとのコラボリリースがありましたが、空挺ドラゴンズが肉料理に合うウイスキーをコンセプトとしたのに対して、今回のリリースは、原作の情景をイメージしてブレンドがされています。

メイドラゴンについては。。。異種族交流コメディ漫画なので、とりあえず見てくれとしか言えませんが。そのグラスの中身、何か混ぜられてないか?と、原作を知っている人なら若干疑ってしまうラベルに加え、裏ラベルのバーコードが竜形態のトールなのもこだわりを感じるポイント。
原酒の系統としては、ワイン樽原酒がかなりいい仕事というか、全体に厚みやフルーティーさ、そして余韻のビターなフレーバーを与えています。
また、長濱蒸溜所のモルトを熟成したものだけでなく、輸入ウイスキーを追加熟成したものを結構使っていると感じます。ピート原酒も存在は感じられつつフレーバーに幅が出る程度の塩梅で、万人向けながら複雑さを考察する楽しみもある1本です。

飲み方としては、テイスティングに記載した通りハイボールがオススメ。
深く考えると、え、それは良いのか見たいなツッコミどころや、色々深い設定がある原作ですが、そこまで考えなくても緩く、楽しく、可愛さも感じられるのがこのメイドラゴンが人気作となっている要因の一つだと思います。その意味でも、まずは軽く深く考えないでハイボールでグイっといってみるのがいいなと。




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さて、ここからちょっとマニアックな話。
今回のウイスキーですが、発売元であるBar レモンハートさんからテイスティングコメントの依頼を頂いており、去年の12月末の時点、ブレンドサンプルを頂いておりました。その時点のコメントは、販売ページや同社からのニュースリリース等で確認することが出来ますが、2つのコメントを比較すると、同じ要素はありつつも、異なるキャラクターを感じ取っていることが伝わるかと思います。

同じウイスキーをテイスティングしたとしても、コメントが完全に一致することはないのですが、よほど体調や環境の違い、年単位で時間が経過しない限り、味の方向性が大きくブレることはありません。
例えば、バーボン樽のウイスキーならばバーボン樽由来のオークフレーバーが、シェリー樽なら…という具合で、無から有は生まれないので、必ず同じ要素を拾うはずです。

ではなぜ違うのか、くりりんのテイスティングがガバガバだから…ではなく。
半年前のブレンドサンプル時点では、使用する原酒は樽から払い出されておらず、その時点の原酒でレシピが作成されていること。そしてレシピ決定からボトリングまでの約半年間、原酒が追加の熟成を経ているためです。
そうなんです、上記テイスティング時点から、原酒が成長し、変化しているのです。

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(長濱蒸溜所 AZAI FACTORYこと旧七尾小学校で樽詰めを待つワイン樽の数々。)

サンプル時点では繋ぎになる原酒の熟成が弱く、スコッチグレーンか、あるいはグレーン多めのスコッチブレンデッドバルクの線の細さが、樽感やピートなど、各原酒の個性を支え切れていなかった印象を受けます。最終的には落ち着いて、AMAHAGAN系統の味わいが強く出てくるのですが、注ぎたてはそのちぐはぐさが強く出て、なんだか危ういなと、そんな第一印象でした。

このグラス内の変化が、これはこれでメイドラゴン原作のストーリー展開にマッチしているなと思えたわけですが。
一方で、製品版では約半年の追熟で樽感が増し、原酒の個性も強まっただけでなく、全体的に角が取れて繋がりも出ています。ピートフレーバー、ワイン樽原酒由来と思われるフルーティーさとビターなウッディネス、グレーンの甘さ、南ハイランドモルトの個性的なフルーティーさと麦芽風味、これらがまとまっていないようでまとまっている。原作を思わせるはちゃめちゃさ、にぎやかさがある、不思議なバランスのウイスキーへと成長していました。

どちらが好みかという話ではありませんが、ウイスキーの面白さ、ブレンダーの難しさを改めて感じたリリースとなりました。
いやその変化を感じられるのはコメント協力した人だけだろと言われたら、そこは記事から感じ取ってとしか言えないのですが(笑)。
コラボリリースだと、どうしても色眼鏡的に見られがちかと思いますが、長濱蒸溜所のコラボは規模の小さな蒸溜所とは思えないほどレシピに様々なパターンがあって本格的。ちゃんとストーリーがあって、ただラベルを貼っただけのコラボに終わらない点がポイントなのです。

最後に、これはレモンハートの古谷さんへの私信となりますが。この度は、貴重なサンプルウイスキーのテイスティングをさせて頂き、また、コメント協力という表舞台に立つ機会も頂き、誠にありがとうございました。次のリリースも楽しみにしております。

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メイドラゴンウイスキーのハイボールを、尾っぽの豚肉のチャーシューと。悪くない組み合わせです。ラベルデザインは、トールの背後が何パターンかあったらさらに面白かったですね。魅力的なキャラが多い原作なので。後、酒の席でシラフな小林さんなんて小林さんじゃない(笑)。