アベラワー18年 ダブルカスクマチュアード 43% 2018年リニューアル
ABERLOUR
18 YEARS OLD
Double Cask Matured
Release to 2018~
500ml 43%
グラス:テイスティンググラス
場所:新宿ウイスキーサロン
時期:開封後1ヶ月程度
評価:★★★★★★(6)
香り:華やかなオーキーさと合わせて、黒砂糖や香ばしいかりん糖、揚げ菓子を思わせる甘さ。合わせてダークフルーツを思わせるアクセント。微かに焦げたオークのエキスが混じる。
味:スウィートで柔らかいコクと香ばしさ、黒飴、ドライプルーン、カステラの茶色い部分を思わせる香ばしさ。香り同様のフレーバー構成だが、味わいの方が香ばしさを強く感じる。
余韻はシーズニングシェリーのダークフルーツシロップのような甘味とアメリカンオークの華やかさがほのかに混じり、長く続く。
シーズニングシェリー樽と、アメリカンオーク樽(バーボン樽)の組み合わせを思わせるフレーバー構成だが、酒質由来の要素かシェリー樽由来か、香ばしい甘さが香味ともに混じっている点が特徴的。そこから余韻にかけてオーキーな要素も顔を出すものの、基本的にはシェリー樽ベースの香味が主体。バランス良く作られたオフィシャルシェリー系モルトのひとつ。
最近、リニューアル後のロットが正規品として出回り始めたアベラワー・ダブルマチュアード。リニューアル後も12年、16年、18年とエイジング表記のラインナップはそのままですが、18年だけ500ml仕様に変わっています。
構成はシェリー樽熟成原酒と、バーボン樽熟成のバッティング。リニューアル前はどれも緩い加水オフィシャルという印象でしたが、16年と18年を飲んで、以前のロットに比べてシェリー感が増したというか、アメリカンオーク以外にスパニッシュオークも混じって樽感が強くなったような印象を受けました。
使われているシェリー樽の比率だけでなく、系統が変わったのでしょうか。そういえば2000年から2001年はアベラワーを所有していたシーバス社がペルノリカール社の傘下に入った年でもあり、樽の調達先など傾向が変わっていたもおかしくありません。
(アベラワー・ダブルマチュアードの新旧デザイン。16年と18年は新ボトル。12年は旧ボトル。新ボトルはラベルのデザインと、ボトルの加工が異なる。ただし18年は旧世代のデザインを踏襲しており、あまり変わった印象を受けない。)
デザインについては、直近のリニューアルで、ボトル正面にABELOUR DISTILLERYの加工が直接入り、小さくなったラベルと合わせて逆にかっこよくなったと思います。
ただ、今日のレビューアイテムである18年に限って言えば、価格がお求め安くなったように見えて、700mlに換算すると値上がりという、消費者心理としては複雑なリニューアル。12年、16年にあるボトル加工も18年には採用されておらず、なんだかちょっと残念な感じがあります。
ただ、飲んでみると中身はそう悪くない。むしろ先に述べたようにシェリー比率が高めで、これはこれで近年の1万円程度のシェリー系ウイスキーの中ではとしては良い方なんじゃないかと思ってしまいます。
実質的な値上げはシェリー樽の比率が増えたためかもしれません。このテイスティングをしたのはマッカラン18年を飲んだ日で、相対的にそう感じてしまったのかもしれませんが、厚みも適度にあって硫黄感もなく、オークフレーバーを隠し味にしてダークフルーツ系の甘味と香ばしさが合わさった、良くできたオフィシャルです。
ちなみにシェリー樽受難の昨今、ミドルエイジのシェリー系オフィシャルといえば
・グレンドロナック18年
・アラン18年
・アベラワー18年
この中から、どういう系統が好みかで選んでいくのがオススメです。
個人的にイチオシはアランですが、このアベラワーも中々。ドロナックは中身が20年以上なので鯖読みしちゃってますが、飲み比べると濃厚タイプでは現行品の中でも一強状態。やはり熟成年数は偉大か。。。
なおグレンリベット18年もシェリー樽由来のニュアンスがありますが、リニューアルでシェリー感が減ってしまいましたし、ファークラスとマッカランはまあちょっと、うん。タムデューもボトルは良いんですが。。。樽の質の問題か、熟成感がまだ足りない。
後はロッホローモンド系が年々良くなって来ているので、そろそろケミカルフルーツシェリー路線を作ってくれることを期待しています。
コメント
コメント一覧 (8)
シェリー樽受難は悲しいですね。
少し背伸びして、2-4万円くらいのシェリーウイスキーを購入しようと考えています。
くりりんさんのオススメがあれが教えていただけないでしょうか。
よろしくお願いします。
コメントありがとうございます。
シェリー樽はやはり特に難しいですね。昔の品質と比較すると・・・という条件ですが、風味の傾向が違ってしまっていますので。
さて、シェリー系というと、こってりシェリー系になるかと思いますが、基本この手のリリースはボトラーズやオフィシャルの限定リリースに限られていて、通常ラインナップでは非常に限られているんですよね。
まず間違いないのが、グレンドロナック18年です。2万円を下回りますが、中身は21年オーバーで、熟成感のあるシェリーモルトとしては、これが今の市場で一番レベルが高い。あとはアラン18年くらいでしょう。
濃厚さでいうとグレンゴイン25年もありますが、ちょっとこれに3万円出すかという問題・・・。まだデヴェロン30年に3万円の方が納得できるレベルですし。
シングルモルトスコッチから離れてアイリッシュのレッドブレストや、ボトラーズリリースのブレンデッドモルト(長期熟成でシェリー感が強いものが複数)などを選択肢に入れるのも手だと思います。
あまり答えになっておらず、申し訳ありませんが、3万円前後のシェリー系なら限定品狙い。そうでなければ1万円台のドロナック18年などが現実的でオススメという解になります。
また、連続投稿してしまったかもしれません。申し訳ありません。
アラン18年はニューラベルになってからおいしくなったと伺っていたので、気になっていました。
むむむ。悩みますが、くりりんさんの意見を参考に考えてみます!
以前、くりりんさんが某美術館に持ってこられていたGMのグレンエルギンは、とてもおいしかったです。
こちらこそ返信遅くなりまして申し訳ありません。
(承認制なので、何を投稿したか見えないことから、連続投稿になっていてもこちらで整理しますので、問題ありません。)
アラン18年の現在のロットは、かなりのお値段以上ですね。
度数50%オーバーでという指定が入るとなかなか難しいですが、加水でもいいならアラン18年とドロナック18年以上の濃厚シェリー系はなかなか見当たりません。
フルーティーさを求めるなら、アラン。リッチなダークフルーツ系の熟成した味わいを求めるならドロナックで。
また、最近はBARの持ち帰りが出来るようになったところが多いですから、色濃いタイプをいくつか飲んでみて経験値を積んでも良いかもしれません。
そして名前とお顔が一致しておらず申し訳ないですが、あの日エルギンを飲まれた方ですか。GMエルギン1968のシェリー感を現行品で買おうと思うと、ちょっともうモノがないですね。それこそシングルモルトだと4万円出しても・・・。オールドだと、1990年代流通のファークラス30年とか、何とかなりそうなモノがいくつかありますが出物は市場状況次第なので。
7-8年前はあのエルギンが1万円ちょっと出せば普通に飲めたのです。自分はその当時の基準値のまま5年前にブログを始めていますが、まさかこの短期間でここまで状況が変わるとは思いませんでした(汗)
ドロナック、アランと両方購入したくなります(笑)
持ち帰りなんてやっているところがあるのですね。
最近は、なかなか飲みにも行けないので、持ち帰りもいいかもしれません。
あの日は、マスターのUさんと焼き鳥を食べに行っていたので、最後の方に少しだけ顔を出させてもらいました。
それ以前だと、Kさんがドンペリをあけたときにお会いさせていただいたことがあります。
その時、持ってこられていたシェリー酒もおいしかったですねー。
あれが一万ですか!!?信じられないですね...。
ウイスキーブームのせいで良質な原酒やシェリー樽が足りなくなってしまったのか、どちらにせよ残念です。
もう少し、早く生まれていればと後悔(?)しています。
90年代のファークラスの30年、ラベルが楕円形のものですかね。
コロナが落ち着いたら、酒屋めぐりでもしてみます。
なんとなくイメージ出来ました(笑)
持ち帰りもそうですし、サケトライで小瓶購入と言うのも手ですね。
最近では
シェアバー
https://www.saketry.com/the-sharebar/
という、協賛BARで提供されていたボトルの一部を販売するような試みもあります。(夢喰という酒屋でも同様の取り組みが行われています。)
ファークラスはボトル形状がダンピーで、ラベルが楕円(っぽく見えるけど、実際は四角)、ネック下に蝋付けっぽい熟成年数が書かれているヤツです。
酒屋にあるかはわかりませんが、こういうところを抑えていくしか、オールドタイプのシェリーには巡り合えないのが世知辛いですね。
その反面シェリー酒であれば結構モノがありますので、長熟のPXや、甘口オロロソ(クリーム)なども試してみてください。これからの時期だと、ソーダ割にしてレモン絞ったり、アイスにかけても美味ですよ!
コロナの中、こういう試みもいいですね。
シェリーじゃありませんが、ラフロイグ16年 200周年記念ボトルが気になりました。
あれ、四角なんですね!値段をみてみましたが、目玉がぶっとびました。
シェリー酒はペドロヒメネスのEL CANDADOを購入する予定です。
甘口オロロソもいいですねー。
アイスにかけるのが楽しみです。
コロナが収束しましたら、また美術館でお会いできればと思います。
また、ウイスキーについて色々と教えてください。
ラフ16年は免税向けで350mlサイズで販売されたもので、四角ではなかったと思いますが、ボトルサイズがハーフなんでちょっと感じがちがいますね。
シェアバーはボトルが日々更新されていっているので、思わぬ掘り出し物もあったりします。この前のソサイエティの余市やグレンエルギンはまさにですし、あとはミルトンダフのオールドもあの値段なら全然アリだと思います。
ペドロヒメネスのエルカンダドは安定して美味しいシェリーですね。長期熟成品に比べるとちょっとアルコール感はありますが、このエルカンダドをソーダで割って、レモンを絞る(ポッカレモンでも可)が最高に好きです。夏場は無限に飲めますね。
アイスがけは、是非。コンビニ販売の冷凍フルーツをレンジでチンして、ホットフルーツソースにし、アイス+PXプラス+ホットソースの組み合わせを試してみてください。まさに大人のデザートです。
新型コロナウイルス、本当に早く収束してほしいですね・・・。
また美術館でお会いしましょう!