OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.280 映画にならないレゲエの中心にいた男の話──キング・タビー
OTOTOY編集者の週替わりプレイリスト&コラム(毎週金曜日更新)
映画にならないレゲエの中心にいた男の話──キング・タビー
もう、なにも考えたくないくらい暑いですが、そいうえば1ヶ月程前に訳出されたフランスのレゲエ専門誌「ナッティ・ドレッド」の元編集長、音楽ジャーナリストのティボー・エレンガルト著『キング・タビー――ダブの創始者、そしてレゲエの中心にいた男』(鈴木孝弥訳)。こちら縁あって発売前に献本いただきつつ、500P近い本ですが気づいたらそのおもしろさに読みふけってしまい、1週間ほどで読了しました。詳しくはOTOTOYの書評コーナーの『オトトイ読んだ』で書くつもりですが、本著は「ダブの創設者」と紹介されるキング・タビーなる人物。もちろんその説明は正しいのですが本著を読むと、さらに60年代末から80年代末に彼が何者かに銃殺されるまでの約20年にわたって、ジャマイカのキングストンのレゲエ・カルチャー=サウンドシステム・シーンの発展において重要な人物であったことがわかります。下手をしたらダブの発明もそのなかのひとつの出来事くらいだったのかとすら。キングストンのタフなストリートの暴力の話なども含めて、レゲエのカルチャーに情況がわかるそんな本でもあります (某映画が描けていない同時代の話がここにあるというか)。ということでキング・タビー仕事、主に本人がミックスに関わったと言われている1974年までのものと、OTOTOYにも少しあるので射殺される直前にリリースとなったグレゴリー・アイザックスなどダンスホール期の作品でまとめてみました。