フジロックいく人も、行かない人、これぐらい聴かなきゃ! エイフェックス・ツイン過去名盤一挙配信開始!
え、エイフェックス・ツインったら、コレでコレもんでしょう、え、聴いたことないの? とか言われちゃうマスト音源満載の過去音源が一挙OTOTOYでも配信開始です。具体的に言うと名門〈WARP〉に残してきたエイフェックス・ツイン名義の1990年代から2000年代初頭にかけての作品群。しかも、7月に行われるフジロックでは、2日目、7月29日(土)のヘッドライナーとしてひさびさの来日ライヴ! ということで、この作品群とともに、かなりの駆け足でそのキャリアでおさらいします。また今回の過去作配信開始に合わせて、これまでOTOTOYで配信していた2010年代の作品(ハイレゾ配信)にライナーPDFが付属するようになりました(すでに購入済みという方はアプリや再ダウンロードでどうぞ)。そして今回配信を開始した過去アルバム4作品もライナーPDF付きでお届けします。またアルバム未収録の、1990年代のシングルたちもロスレス形式で配信開始です。
WARP移籍までのエイフェックス・ツイン(面倒なら読み飛ばしちゃっても!)
とりあえず抑えておきたい〈WARP〉移籍までのエイフェックス・ツインの動向を乱暴ですがざーっと紹介。イングランド西部の田舎町、コーンウォール出身のリチャード・D・ジェイムス。彼は1980年代後半からちょくちょくと打ち込みで音楽を作り始めていたようですが、エイフェックス・ツイン名義で発表した「Digeridoo」で、思いっきりテクノ・シーンにて脚光を浴びるわけです。元祖ハードコア・テクノと呼ばれるこの曲ですが、この曲のヒットでベルギーのエレクトロニック・ミュージックの名門〈R&S〉との契約にいたります。そんな〈R&S〉がアンビエント〜リスニング系のテクノをリリースするサブ・レーベルとしてはじめた〈Apollo〉より、1992年に1stアルバム『Selected Ambient Works 85-92』をリリース。これが一気にアーティストとしての評価を確かなものにするわけです。特にこのアルバムはリスニング・スタイルのテクノの象徴的な存在となりました。当時、ダンス・カルチャーの盛り上がりで出てきたDJ用のチージーなダンス・ヒットの爆発的な広がり(これもこれで音楽の進化のなかでは重要なんですが)の傍で、リスニング・スタイルのテクノがじょじょに盛り上がりを見せます。
それまでシカゴ・ハウスと一緒くたに紹介されてきたデトロイト・テクノの再評価&第2世代(カール・クレイヴ、リッチー・ホウティンなど)の台頭があったり、さらにはそこへと共鳴するリチャード周辺も含めたブリティッシュ・テクノの動き(カーク・ディジョージオ、ザ・ブラック・ドッグ、グローバル・コミニケーションなど)、さらにこうした動きと連帯するオランダ勢(ステフェン・ロバーツなど)などなどの動きが活発化。電子音楽の新たな可能性やイマジネーションの発露を求めてリスニング系のサウンドにも注目が集まるわけです。
そして1992年にはこうした動きに触発された、もしくは後押しするシリーズが〈WARP〉にてスタートします。1980年代末にはLFOやナイトメアーズ・オン・ワックスなどをヒットさせエレクトロニック・ダンス・ミュージックのクリエティヴィティをプレゼンしていた〈WARP〉。さらに踏み込んでこうしたリスニング系テクノをコンセプチャルに展開する「Artificial Intelligence(以下、AI)」シリーズをスタートさせました。そこには当時はまだR&Sに所属していたリチャードも、契約にひっからないように別名義のダイス・マン〜ポリゴン・ウィンドウ名義で参加。1993年、ポリゴン・ウィンドウ名義で『Surfing On Sine Waves』をリリース。〈WARP〉との関係を深め、そして1993年には大人の事情を清算し、シングル「ON」をリリースして、晴れて〈WARP〉のアーティスト・ラインナップにエイフェックス・ツインが加わるのです。で、余談ですが、このAIシリーズの最大の成功者といえば、当時はまだ無名のアーティストであったオウテカだったりしますね。これまた余談ですが、これらのサウンドはインテリジェント・テクノと呼ばれたりで、これはこれで頭でっかちじゃあないかと批判を浴びたりもします。でも、AIシリーズの1stコンピのジャケットに写るCGのチルアウトな男、よくよく見ると左手からは煙がもくもくと出ていて、あ、実はそもそもの発想はスモーカーズ・デライトな音楽だったんじゃないかと、じゃあ、全然頭でっかちじゃないじゃん。
1990年代初頭のエイフェックス・ツインことリチャード・D・ジェームスといえば、このことも書いておきましょう。彼が1991年に設立した自主レーベル〈REPHLEX〉。こちらではAFXやコースティック・ウィンドウなどなどさまざまな名義でミステリアスな大量のリリースを行ないつつ、μ-ZIQやスクエアプッシャーなどなど、彼のフォロアーとも言える異才を送り出すのでした。またそうしたアーティストたち、さらにはリチャードの同郷のルーク・ヴァイパートとともに、オリジナリティ溢れるブリティッシュ・テクノの一群を形成。エレクトロニカやブレイクコア、ジャングル、ベース・ミュージックにいたるまでさまざまなエレクトロニック・ミュージックのカッティング・エッジな部分を担うわけです。
アンビエント・ワークス(1994年)
WARP移籍第1弾シングル(アルバム未収録)
Aphex Twin / On
オリジナル・リリース : 1993年
スタイル : テクノ
【Track List】 01. On
02. 73-Yips
03. D-Scape
04. Xepha
【配信形態 / 価格】
16bit/44.1kHz WAV / ALAC / FLAC : シングルまとめ購入 823円(税込) / 単曲 257円(税込)
AAC : シングルまとめ購入 617円(税込) / 単曲 205円(税込)
アンビエント・テクノの大名盤
Aphex Twin / Selected Ambient Works Volume II
オリジナル・リリース : 1994年
スタイル : アンビエント
【Track List】 01. #1
02. #2
03. #3
04. #4
05. #5
06. #6
07. #7
08. #8
09. #9
10. #10 他全24曲収録
【配信形態 / 価格】
16bit/44.1kHz WAV / ALAC / FLAC : アルバムまとめ購入 2,469円(税込) / 単曲 257円(税込)
AAC : アルバムまとめ購入 1,851円(税込) / 単曲 205円(税込)
アルバムまとめ購入でライナーノーツPDF付き
おそらく〈WARP〉としてはエイフェックス・ツイン名義でのリリースは待望と言える状況だったんじゃないかと。これが1993年にはじまります。最初のシングルとしてリリースされた「ON」。はい、こちらも初期の名曲ですね。リチャードらしい、美しいメランコリックなメロディ、そして歪んだエレクトロ・ビート。異形さと美しさが混在する、ザッツ・エイフェックス・ツインなサウンドですね。 と、続いてリリースされたのが1stの『Selected Ambient Works 85-92』の続編(?)とも言える『Selected Ambient Works Volume II』。「ON」路線のインテリジェント・テクノ路線かと思いきや、CD2枚に及ぶアンビエント・テクノ大作に。明晰夢的な? 夢のなかで鳴っていた音楽と本人を再現と当時は語っていた模様ですが、まさにそんな感覚の幻想的でメランコリック、神秘的でアブストラクトなサウンドに仕上がっております。これがまた後続のアンビエント・テクノに多大な影響を与えました。この時期はインテリジェンス・テクノと呼ばれたリスニング系のテクノの盛り上がりがさらに一歩進み、アンビエント・テクノが爆発的な広がりを見せていました(象徴的な本作のリリースもあいまって、アンビエント・サマーなんて呼ばれてましたね)。それもあってか、当時(いまも)凡庸な「ふわーん」とか「どよーん」とか鳴っているだけの、なんとなくなアンビエント・テクノも大量にリリースされていましたが、そうした凡庸さに対して、まさに本作は天才が差し出したトドメの1発といった感じ。その完璧なまでのオリジナリティの前では、凡庸なアンビエント・テクノが霞んでしまうんですよね。そんな凄みがひしひしと感じられる作品です。とりあえずは当時唯一楽曲名がついていた「Blue Calx」(11曲目)あたりで打ちのめされてください。
エイフェックスの「顔」がはじまるよ
衝撃のインダストリアル・エレクトロ with 笑い声
Aphex Twin / Ventolin
オリジナル・リリース : 1995年
スタイル : インダストリアル、レフトフィールド、ブレイクビーツ
【Track List】 01. Ventolin (Salbutamol Mix)
02. Ventolin (Praze-An-Beeble Mix)
03. Ventolin (Marazanvose Mix)
04. Ventolin (Plain-An-Gwarry Mix)
05. Ventolin (The Coppice Mix)
06. Ventolin (Crowsmengegus Mix)
【配信形態 / 価格】
16bit/44.1kHz WAV / ALAC / FLAC : シングルまとめ購入 1234円(税込) / 単曲 257円(税込)
AAC : シングルまとめ購入 926円(税込) / 単曲 205円(税込)
混沌のエイフェックス・ワールドのはじまり
Aphex Twin / ...I Care Because You Do
オリジナル・リリース : 1995年
スタイル : アンビエント
【Track List】 01. Acrid Avid Jam Shred
02. The Waxen Pith
03. Wax The Nip
04. Icct Hedral
05. Ventolin (Video Edit)
06. Come On You Slags
07. Start As You Mean To Go On
08. Wet Tip Hen Ax
09. Mookid
10. Alberto Balsam
【配信形態 / 価格】
16bit/44.1kHz WAV / ALAC / FLAC : アルバムまとめ購入 2057円(税込) / 単曲 257円(税込)
AAC : アルバムまとめ購入 1543円(税込) / 単曲 205円(税込)
アルバムまとめ購入でライナーノーツPDF付き
フィリップ・グラスとの競演
Aphex Twin / Donkey Rhubarb
オリジナル・リリース : 1995年
スタイル : テクノ、現代音楽
【Track List】 01. Donkey Rhubarb
02. Vaz Deferenz
03. Icct Hedral (Phillip Glass Orchestration)
04. Pancake Lizard
【配信形態 / 価格】
16bit/44.1kHz WAV / ALAC / FLAC : シングルまとめ購入 823円(税込) / 単曲 257円(税込)
AAC : 617円(税込) / 単曲 205円(税込)
と、2ndアルバムでまさに他に並ぶもののいないアンビエント・テクノの金字塔的なサウンドを作りだし、神秘的な天才といったイメージを世に知らしめたリチャードさん。そんなイメージから一転で、1995年、このあたりから、現在のエイフェックス・ツインに近いイメージというか、悪童感というかユーモアとさまざまな要素が混在する混沌とした作風を出してきます。神秘的な2ndに続いてリリースしたのは、ゲラゲラと笑いながら、鉄の塊を打ち付けるかのごとくビートが暴れるインダストリアル・ヒップホップな「Ventolin」。「On」や「Selected Ambient Works Volume II」で展開されたメランコリックで美しいエイフェックス・ツインの音はなりをひそめ、悪夢的なサウンドを展開します。この流れでリリースされたのはエイフェックス名義としては3rdにあたる『...I Care Because You Do』をリリース。ジャケットには自身の似顔絵を採用。ある意味で「顔」を売るロックのスター・システムへのカウンターとして、サウンドだけを優先させ、匿名性がある種の美徳としてあったテクノのシーンにおいて、このジャケットは衝撃的なもの。逆に言えばそれまでの「ミステリアスな天才」として崇めていたメディアの反応も逆手にとったものともいえるでしょう。彼の活動には、この後、こうした毒っ気のあるユーモアが顕在化してきます。サウンド的には「Ventolin」のような楽曲もそうなんですが暴力的なビートにしろ、穏やかなダウンテンポにしろ、さまざまなビートの冒険が繰り広げられ、どこか浮世離れしたメランコリックなメロディの楽曲と、ノイジーな楽曲も混在しております。またミニマル・ミュージック、現代音楽の大家、フィリップ・グラスとのコラボレート曲「Icct Hedral」も収録。
ちなみに本作の前に〈WARP〉スタッフが流出させてお蔵入りしたという「Melodies From Mars」というアルバムがあったようですが、こちらはエイフェックス流モンド / ラウンジ・ミュージックやイージー・リスニングを牧歌的に展開している感覚のアルバムでした。便利な世の中です、ネットを探せてばどこかで聴けるのぜひ。『...I Care Because You Do』にもメロディの音色などはラウンジ・ミュージック的な感覚も残っていますな。
『...I Care Because You Do』の後には、「Icct Hedral」のオーケストラ・ヴァージョン(アルバムとは別ヴァージョン)をリカットしたシングル「Donkey Rhubarb」をリリース。こちらのタイトル曲ではガムラン的な旋律がくせになる、アッパッパーでポップな新境地を。さらにこの曲のMVでは、『...I Care Because You Do』の顔がついたピンクのくまちゃんのぬいぐるみが踊り、喧嘩をするというもの。これはクリス・カニンガムとのコラボや、いまだに続けられる自身の「顔」を徹底的にいじり倒す芸風をスタートさせたと言えるでしょう。ちなみにここに収録されている「Pancake Lizard」では、次作でフィーチャーされるストリングスとエイフェックスっぽいビートの融合がなされており、次作への「予告」を感じさせます。
モンド、ドリルンベース、さらに顔
「マッシュ〜ポーテイト〜」ドリルンベースことはじめのまとめ
Aphex Twin / Hangable Auto Bulb
オリジナル・リリース : 2005年(アナログ・オリジナル・リリースは1995年)
スタイル : ジャングル
【Track List】 01. Children Talking
02. Hangable Auto Bulb
03. Laughable Butane Bub
04. Bit
05. Custodian Discount
06. Wabby Legs
07. Every Day
08. Arched Maid Via RDJ
【配信形態 / 価格】
16bit/44.1kHz WAV / ALAC / FLAC : シングルまとめ購入 1,646円(税込) / 単曲 257円(税込)
AAC : 1,234円(税込) / 単曲 205円(税込)
ドリルンベース・ミーツ・モンドの意外とポップな作品
Aphex Twin / Richard D. James Album
オリジナル・リリース : 1996年
スタイル : ジャングル、イージー・リスニング
【Track List】 01. 4
02. Cornish Acid
03. Peek 82454201
04. Fingerbib
05. Carn Marth
06. To Cure A Weakling Child
07. Goon Gumpas
08. Yellow Calx
09. Girl/Boy Song
10. Logan Rock Witch
【配信形態 / 価格】
16bit/44.1kHz WAV / ALAC / FLAC : シングルまとめ購入 2,057円(税込) / 単曲 257円(税込)
AAC : 1,543円(税込) / 単曲 205円(税込)
アルバムまとめ購入でライナーノーツPDF付き
と、『...I Care Because You Do』で顔芸、音楽的にはいわゆるテクノっぽいサウンドから、ラウンジ・ミュージック的な感覚を取り入れていたリチャード氏ですが、そんなムードとともに、このあたりでその後の彼の代名詞とも言えるビートを展開します。そう、ドリルンベースです(それにしても他に名前のつけようはなかったんでしょうか)。1990年代初頭のアンダーグラウンドなレイヴ / ダンス・シーンで生まれたブレイクビーツ・テクノがさらに発展。そうして生まれたジャングル〜ドラムンベースが、1990年代中頃になるとUKではメジャー・シーンにも食い込むほどの勢いになっておりました。ドリルンベースとは、そんなジャングル〜ドラムンベースをメタメタに切り刻み、痙攣するような高速変拍子ブレイクビーツが怒涛の勢いで突き進むサウンドです(ある種のドラムンベースのカウンター / パロディとも)。こうした音楽性にフォーカスした作品として、『...I Care Because You Do』前後の1995年にごく少数の限定版で「Hangable Auto Bulb」というシリーズをAFX名義で2枚リリースします(タイトルは初期に出していたシングル・シリーズ「Analog Bubblebath」のアナグラム)。その後、これは2005年に上記の『Hangable Auto Bulb』としてまとめられてリリースされるわけです。
ちなみにこのドリンベースに関しては、その圧倒的なオリジナリティでエイフェックス印のサウンドを作ったものの、彼がオリジネイターという訳ではなく、彼の朋友であるルーク・ヴァイバートの作品(プラグ名義)やリチャードが〈Rephlex〉から送り出したμ-ZIQことマイク・パラディナス、当時は新人のスクエアプッシャーなどの影響が大きい模様。
こうした路線が結実、そしてリリースされたのが4th『Richard D. James Album』です。はい、またもやジャケットには不敵に笑う顔。不思議の国のアリスの世界でなり響くドラムンベースとでも言いましょうか、スッカスカにディフォルメされた高速リズム、ある種の毒々しいユーモアを感じるメルヘンチックなメロディでアルバムはスタートします。穏やかなラウンジ・ミュージックのムードのなかを進むアルバムは、オーケストラとドリルンベースが融合、優雅さと悪童感が同居する「Girl/Boy Song」でクライマックスを迎えます。33分というプレイ・タイムも含めて、ある意味でエイフェックス・ツイン史上最もポップでまとまったアルバムではないでしょうか。またメロディのセンスなどは、当時、ひとつの流れとなっていたモンド / ラウンジ・ミュージックのリヴァイヴァルとも共振した感触もあります。ちなみに当時、リチャードはその手の音に入れ込んでいたようで、自身の〈Rephlex〉からそうしたサウンドの真打とも言えるジェントル・ピープルというアーティストをリリース。この手の音の傾倒には、μ-ZIQことマイクの影響も強かったようで、彼とはマイク&リッチーという名義で、まじめにふざけたイージー・リスニング・アルバム『Expert Knob Twiddlers』をリリースもしております。
クリス・カニンガムとの狂演、そして伝説へ
スラッシュ・メタル&ドリルンベース、そして顔、顔、顔
Aphex Twin / Come To Daddy
オリジナル・リリース : 1997年
スタイル : ジャングル
【Track List】 01. Come To Daddy (Pappy Mix)
02. Flim
03. Come to Daddy (Little Lord Faulteroy Mix)
04. Bucephalus Bouncing Ball
05. To Cure A Weakling Child (Contour Regard)
06. Funny Little Man
07. Come To Daddy (Mummy Mix)
08. Z-US
【配信形態 / 価格】
16bit/44.1kHz WAV / ALAC / FLAC : シングルまとめ購入 1,699円(税込) / 単曲 257円(税込)
AAC : 1,234円(税込) / 単曲 205円(税込)
クリス・カニンガムとの最恐タッグ再び
Aphex Twin / Windowlicker
オリジナル・リリース : 1999年
スタイル : エレクトロ
【Track List】 01. Windowlicker
02. Formula
03. Nannou
【配信形態 / 価格】
16bit/44.1kHz WAV / ALAC / FLAC : シングルまとめ購入 617円(税込) / 単曲 257円(税込)
AAC : シングルまとめ購入 463円(税込) / 単曲 205円(税込)
『Richard D. James Album』の後、若干のブランク。その後に、さらに「顔」が増殖した悪夢的なイメージを、鬼才クリス・カニンガムと作り上げます。まずはスラッシュ・メタルとドリルンベースがダーティにミックスされた「Come To Daddy」。こちらの映像は、あの「顔」をした悪ガキどもに追いかけ回されるし、貞子もびっくりなヌメヌメの巨大なエイフェクス顔の怪物がテレビから出てくるは、とにかく「おばあちゃんにげて〜」と叫びたくなる、完全にひねくれ切ったユーモア・センスが爆発するホラー・テイスト。そしてもう1作は1999年の「Windowlicker」。US西海岸のギャングスタ・ラップのMVかと思いきや、長すぎ〜なリムジンであの顔の貴公子が登場、おねえちゃんたちと戯れたり、マイケル・ジャクソンばりのキレキレのダンスを踊ったりとこれまたどうかしているとしか思えない映像センス。そして最後はみんなあの「顔」に……。ちなみに本作はエイフェックス・ツインの1990年代最後を飾る作品なわけですが、MVに目が行きがちですが音も重要。エレクトロをエデット、変容させたようなヌメったビートはかなりオリジナリティと中毒性を備えたもの。たとえば「ON」と聴き比べても相当の進化を感じます。そしてサウンド全体としては、ある種のメロウさ(これはギャングスタ・ラップへのオマージュ?)はどこか最近のインディR&Bにもつながるような感触ありませんか? 言い過ぎ?
孤高の天才へ、そして沈黙
Aphex Twin / Drukqs
オリジナル・リリース : 2001年
スタイル : アンビエント、ドリルンベース、イージー・リスニング、レフトフィールド
【Track List】 01. Jynweythek
02. Vordhosbn
03. Kladfvgbung Mischk
04. Omgyjya-Switch7
05. Strotha Tynhe
06. Gwety Mernans
07. Bbydhyonchord
08. Cock/ver10
09. Avril 14th
10. Mt Saint Michel + Saint Michaels Mount 他全30曲収録
【配信形態 / 価格】
16bit/44.1kHz WAV / ALAC / FLAC : アルバムまとめ購入 2,469円(税込) / 単曲 257円(税込)
AAC : アルバムまとめ購入 1,851円(税込) / 単曲 205円(税込)
アルバムまとめ購入でライナーノーツPDF付き
としばしのブランク。彼が1990年代に振りまいたさまざまな電子音楽の冒険は、2000年代をまわったこの頃のエレクトロニカに大きな影響を与えます。とはいえ、エイフェックス・ツインは我が道を行くといった感じで、当時の微細な音色のエデットによるエレクトロニカには目もくれず、どこか暗いムードの孤高の作品『Drukqs』を2001年にリリース。アルバムとしてまとまっていた感のある『Richard D. James Album』に比べると、どこか気まぐれで断片的なアルバムですね。ピアノを取り入れ、生楽器の空間的な音響感をフィーチャーした楽曲など新機軸的な楽曲もあれば、どこか『Selected Ambient Works Volume II』を想起させるメランコリックなアンビエントもあったり。そしてこの巨大な謎かけ、分厚い問題集のような『Drukqs』を残して、エイフェックス・ツインはしばしの冬眠、しばしじゃないや、13年の眠りにつきます……。
ブランクから怒涛のリリース・ラッシュ、そしてフジロックで来日!
集大成的な復活作
Aphex Twin / Syro(24bit/44.1kHz)
オリジナル・リリース : 2014年
スタイル : テクノ、ドリルンベース、イージー・リスニング
【Track List】 01. minipops 67 [120.2][source field mix]
02. XMAS_EVET10 [120][thanaton3 mix]
03. produk 29 [101]
04. 4 bit 9d api+e+6 [126.26]
05. 180db_ [130]
06. CIRCLONT6A [141.98][syrobonkus mix]
07. fz pseudotimestretch+e+3 [138.85]
08. CIRCLONT14 [152.97][shrymoming mix]
09. syro u473t8+e [141.98][piezoluminescence mix]
10. PAPAT4 [155][pineal mix] 他全16曲収録
【配信形態 / 価格】
24bit/44.1kHz WAV / ALAC / FLAC : アルバムまとめ購入 2571円(税込) / 単曲 288円(税込)
AAC : アルバムまとめ購入 2571円(税込) / 単曲 288円(税込)
アルバムまとめ購入でライナーノーツPDFが付属
13年ぶりといっても、AFX名義のシングル連続リリース(過去の曲とも)、それをまとめた『Chosen Lords』を2006年にリリース。あとはそうっとThe Tuss名義でアルバムをリリースしていたようです。2014年の夏、コースティック・ウィンドウ名義のお蔵入りLPが突如ホワイト盤で発掘されたりと、なにやらエイフェックス界隈が探しいぞと思ったら、秋にはまさかの13年ぶりの作品をリリース。本作を聴いたときに感じた、なんだか懐かしい「ああ、エイフェックス・ツインが帰ってきた」という感じ、でもこうした過去作と比べて聴き直してみると、全く違うんですよね。完全にアップデートされたサウンド。とはいえ、テクノ、エレクトロ、ドリルンベース、そして彼らしいメランコリックなメロディとストレートに自身のサウンドの集大成的なアプローチをしっかりと展開。そして、ここからまた快進撃がはじまります。
生楽器でもエイフェックス
Aphex Twin / Computer Controlled Acoustic Instruments pt2 EP(24bit/44.1kHz)
オリジナル・リリース : 2015年
スタイル : レフトフィールド
【Track List】 01. diskhat ALL prepared1mixed 13
02. snar2
03. diskhat1
04. piano un1 arpej
05. DISKPREPT4
06. hat 2b 2012b
07. disk aud1_12
08. 0035 1-Audio
09. disk prep calrec2 barn dance [slo]
10. DISKPREPT1 他全13曲収録
【配信形態 / 価格】
24bit/44.1kHz WAV / ALAC / FLAC : アルバムまとめ購入 2,057円(税込) / 単曲 288円(税込)
AAC : アルバムまとめ購入 2,057円(税込) / 単曲 288円(税込)
アルバムまとめ購入でライナーノーツPDFが付属
ひさびさのAFX名義はアシッド!
Aphex Twin / orphaned deejay selek 2006-2008(24bit/44.1kHz)
オリジナル・リリース : 2015年
スタイル : アシッド・ハウス
【Track List】 01. serge fenix Rendered 2
02. dmx acid test
03. oberheim blacet1b
04. bonus EMT beats
05. simple slamming b 2
06. midi pipe1c sds3time cube/klonedrm
07. NEOTEKT72
08. r8m neotek beat
【配信形態 / 価格】
24bit/44.1kHz WAV / ALAC / FLAC : アルバムまとめ購入 2,057円(税込) / 単曲 288円(税込)
AAC : アルバムまとめ購入 2,057円(税込) / 単曲 288円(税込)
アルバムまとめ購入でライナーノーツPDFが付属
意外にストレートにテクノやってます
Aphex Twin / Cheetah EP(24bit/44.1kHz)
オリジナル・リリース : 2016年
スタイル : テクノ
【Track List】 01. CHEETAHT2 [Ld spectrum]
02. CHEETAHT7b
03. CHEETA1b ms800
04. CHEETA2 ms800
05. CIRKLON3 [ Колхозная mix ]
06. CIRKLON 1
【配信形態 / 価格】
24bit/44.1kHz WAV / ALAC / FLAC : アルバムまとめ購入 1,800円(税込) / 単曲 288円(税込)
AAC : アルバムまとめ購入 1,800円(税込) / 単曲 288円(税込)
アルバムまとめ購入でライナーノーツPDFが付属
と、このあたりからは最近のことなので手短に。13年ぶりの新作から半年も経たずに、どこか『Drukqs』の生楽器系のサウンドを彷彿とさせる『Computer Controlled Acoustic Instruments pt2 EP』をリリース。この作品は電子音ではなく、そのタイトル以外のなにものでもないと思うのですが、でも完全にエイフェックス・ツインの音なんですよね。不思議……。そして間髪入れずにひさびさのAFX名義で、発掘音源(と言われている)悪童アシッド・ハウス集『orphaned deejay selek 2006-2008』をリリース。そして、幻のシンセをタイトルに冠して、わりとストレートにテクノに挑戦した『Cheetah EP』を昨年リリースしました。
ということで、ザーッと振り返ってみましたが、とにかくこれだけいろいろあると、フジロックのライヴも行ってみなくちゃわからないし、ピンポイントで「コレを予習に」っていう作品がないんですね。予習といえば、先日、イギリスで行われたフェスの映像をぜひ。さっき気づいんだけど、アンビエントの楽曲をのぞいて、ムード的にはなんだか「Digeridoo」もあれば、最近の作品の感じもあったりで、でもこれがまた、やっぱりエイフェックス・ツインの音でしかないんですよね。ということで伝説を見逃すな&過去の伝説もチェックしてね! っていうところで本稿はお開き!