カニエやビョークをプロデュースする若き異才、アルカをハイレゾで――クラブものまとめ連載、Beats & Pieces Vol.5
さて、OTOTOYで配信中のクラブ~レフトフィールドもの1ヶ月まとめ連載、そろそろはじまって半年がたちました! ぜひとも今後もご贔屓に。今回はエイフェックス・ツイン、フライング・ロータスときて、まさに祭状態でハイレゾが盛り上がりつつあるのですが、ここにきて脅威の新人がリリース。しかもハイレゾ配信です! その正体はカニエ・ウェストとビョークにプロデューサーとして抜擢されたアルカ。そして彼による待望の新作『Xen』には、ザ・サイン・マガジン・ドットコム監修のデジタル・ブックレットが付属。今回はそんなアルカを中心に、10月リリースの作品をまとめてドンです!
デジタル・ライナーノーツ「THE SIGN BOOK VOL.2」付き音源がリリース
Arca / Xen(24bit/44.1kHz)+THE SIGN BOOK VOL.2
【配信フォーマット / 価格】
ALAC / FLAC / WAV(24bit/44.1kHz) : 単曲 250円 / まとめ購入 2,571円
【Track List】
01. Now You Know / 02. Held Apart / 03. Xen / 04. Sad Bitch / 05. Sisters / 06. Slit Thru / 07. Failed / 08. Family Violence / 09. Thievery / 10. Lonely Thugg / 11. Fish / 12. Wound / 13. Bullet Chained / 14. Tongue / 15. Promise
◉THE SIGN BOOK VOL.2とは?
ザ・サイン・マガジン・ドットコム監修によるデジタル・ブックレット。ライター、小林祥晴、竹内正太郎、小林雅明による、アルカのサウンド、それを取り巻くシーンを解析した8ページにもおよぶレヴューが収録されています。
エイフェックス・ツインとも比較される若き異才
河村 : ということで、今回はまず、アルカをフィーチャーします。
浜 : まずはアルカといえば、カニエ・ウェストですよね。彼のプロデュースで一気に名前が広がったというか。
河村 : そうそう、『イーザス』の4曲ほどをプロデュースしているんだよね。細かいことは、配信パッケージに付属する、〈The Sign Magazine〉とのコラボ電子ブックレット「THE SIGN BOOK VOL.2」を読んでほしいんだけど。
浜 : たしかにニューエイジぽいシンセとリヴァーブ感とか、それでもゴシック&インダストリアルな感じは彼の音っぽいですよね。
河村 : とてつもなく豪華な人達が名を連ねているからどこまでやっているかはわからないけど、彼が関わっていることは間違いないらしい。で、アルバムは全体的にどことなくインダストリアルなんだよね。テクノなどを聴いていて“インダストリアル”に行くというのがアンダーグラウンドでは話題になってて、個人的には「カニエまで!?」と驚いたけど。
浜 : カニエのプロデュース前の彼といえば、トランスジェンダーなクィア・ラッパーの先駆け、Mykki Blancoのこの音もやってるんですよね。
河村 : そうそう。このあたりの仕事が認められてカニエのコラボレーター、マシュー・ウィリアムズからお声がかかったのだとか。
浜 : 彼はもともとベネゼエラの出身で、ハイティーンになってからNYの大学に行き、そこから活動をはじめたようですね。ベネゼエラ時代も別名義で活動してたみたいですけど。
河村 : Nuuroって名義でわりと南米っぽいポップなテクノ~ゲットー・ベースっぽいユニットやってたみたいね。で、この後のあるプロデュース仕事が、彼のアーティストとしての名声を上げていくんだよね。
浜 : FKAツイッグス!
河村 : それとフリーのミックスとしてリリースした『&&&&&&&』。
ジェシー・カンダの映像
浜 : この頃から重要な要素としてジェシー・カンダとのコラボがありますよね。ヴィジュアル面で彼のサウンドを完成させてます。
河村 : そうそう、サウンド的にも『Xen』の青写真とも言えるようなアルバムだと思うんだけど、ベース・ミュージックとかビート・ミュージックとか、インダストリアルなエレクトロニクスとか、その混沌として謎めいた音。これと、このジェシー・カンダの謎の虫みたいな生命体とか、ヌメヌメした赤ちゃんっぽい映像とかがひとつ結びついたよね。
浜 : このドギツい質感が、ネットで一気に話題になりましたよね。
河村 : 彼らは10代の頃からのよき理解者同士って感じみたいだね。彼らふたりでMoMAでインスタレーションをしたり、すでにアートの世界でも認められているみたいだよね。この前の来日のときにふたりと話せる機会があって。
浜 : え、河村さん会ったんですか?
河村 : そうそう。両方とも気さくなお兄ちゃんだったよ。ジェシーにいたっては、日本人の血が入っていて、普通に日本語が通じるという。
浜 : え、そうなんですか?
河村 : だって、名前がカンダでしょ、あれ、“神田”さんだから。
浜 : なるほど、で、このふたりの才能をさらに外へプレゼンしたのがFKAツイッグスとのコラボですよね?
河村 : そうだよね、やっぱりこの「Water Me」のインパクトによって彼のイメージは確定したんじゃないかと思っているんだけど。『&&&&&&&』は、それを補完的に捉えるというか。ってか、この「Water Me」は、ふたりの才能がなければ完成しなかったような気もするしね。
浜 : 神経逆なで系の映像ですよね。この質感ってここ数年はわりとポピュラーですけど。やっぱりネットの登場で、ちょっとした刺激的なものじゃあ刺さらないってことなんでしょうね。
河村 : かもね。そのあたりは、このコーナーのFKAツイッグス特集でも触れたのでそちらをどうぞ! で、ここまでの流れで一気に彼に注目が集まったんだ。しかも、このときでまだ23歳だからね。
浜 : うわ、俺より年下だ…。
河村 : くそ若いんだよね~。しかも次はビョークのプロデュース決定って! で、そのアーティストとしての去就というか公式なデビュー・アルバムが注目されていたところでの、このリリースだからね。FKAツイッグスのアルバム含めてのタイミングだったけど、おもしろかった点が、レーベルが〈Mute〉だってところだよね。正直言って〈YONG TURKS〉あたりから出そうだったのに。
浜 : でも名門は名門ですよね。
河村 : もちろん。エレクトロニック・ミュージックの名門ですよ。あとはキャブスとかニッツアー・エブとか、エレクトロニック・ボディとかのインダストリアル系は、アルカの音楽性にちょっと近いものがあるよね、レーベルのカラー的に。ロックはもちろんだけど、最近だとラスター・ノートンのダイアモンド・ヴァージョンも出してたり。
浜 : そうっすね。しかもビョークの新作の共同プロデュースもアルバム・リリースの直前でニュースになったから、もう「いましかない」っていうタイミングで出たわけですよ。
河村 : しかも、その音楽性が比較されることの多いエイフェックス・ツインのリリースが、14年振りってこれまたすごいタイミングですよね。
アルカ、エレクトロニック・ミュージックの未来、その音楽性は?
浜 : まずは、ジェシー・カンダとのコラボMVがリリース前に発表されてましたね。
河村 : もう、アルカ+ジェシー・カンダ・ワールド全開って感じだね。今作のこの曲はちょっとリズムがデジタル・クンビアっぽくて、音楽的にはまた広がったイメージの楽曲だよね。
浜 : とはいえ、前のNuuro名義のサウンドを考えると南米系のビートは彼のなかにあるものですよね。
河村 : だろうね。でも、今回の作品はアルバムとしての統一感を出すために取捨選択した部分もあると思うよ。
浜 : 結構シンプルですよね。でもドラムがノイジーだったり。あとはメロディが結構強調されているような感じもしますね。
河村 : インダストリアルな雰囲気は、サウンド・コンセプトとしては存在してるよね。細かいサウンド・テクスチャーはメタリックな感じ。
浜 : この感覚は最近のベース・ミュージックとかテクノとか、もっとレフトフィールドな電子音楽の波に通じるところはありますよね。あとはロウ・ハウスとか。
河村 : そうだね。レーベルでいうと、アンディ・ストットとかの〈Modern Love〉とか、ロウ・ハウスをリリースしているNYの〈L.I.E.S〉とか、あとはドイツの〈PAN〉とかそういうレーベルからリリースしている作品に近い感覚はあると思う。あとはピンチが立ち上げた〈CO.LD〉とかのダブステップの感じとかね。
浜 : 音質的にはそうですよね。ヒップホップ・プロデューサー的な感覚の音ではなくて、エイフェックス・ツインなどの、エレクトロニカとかIDM系の質感に近いですね。もちろん、メロディとかリズムがそこまで強くないから、ダンス系ではないけど。
河村 : なんとなく、トリップホップ・リヴァイヴァルみたいなものにも通じるダウンビート感覚もあるよね。たとえば、この前出たザ・バグのアルバムのヒリヒリした感じはちょっと近いよね。
浜 : そうっすね。でも間違いなくチルアウトではないっていうか。
河村 : ヒリヒリしてるんだけど、メランコリック。そういった意味でもエイフェックスっぽいけど、エイフェックスのメランコリアはもっと乾いてて、チャイルディッシュというか、こちらはもっとセクシャルな部分も含めて情念みたいな感じはあるなと。
浜 : ある意味でブルージーというか。
河村 : そうそう。でも、この電子音の表現、妙なメランコリアもあれば、もっとズタズタでメタリックなところもあったりに部分は、ワンオートリックス・ポイント・ネヴァーとかジェームス・フェラーロとかにも近いと思う。
浜 : 明確なつながりはないですけど、〈Hyperdub〉が最近やっているアンビエントとか電子音楽方面の感じにも結構近いと思いました。
河村 : まぁ、とにかくエレクトロニック・ミュージックの”時代の音”って感じだよね。エイフェックス・ツインの新作はある意味で、彼以上でも彼以下でもないというか「彼の音」で、実際他の音楽に広がっていく感じがなかったのに対して、本作に関しては、もちろん彼の才能をすごく感じるんだけど、同時にいまの“時代の音”っていう感じがする。具体的に言えば、このダーク&メタリックな音像。シーンをとりまくこの流れが一発でわかるというか、逆に言えばアルカの音が気にいったら、いまの電子音の流れをバンバン聞いてほしいなっていう感じっすわ。
今月の10枚――インディR&Bの王子、カインドネスのメロウ・グルーヴに腰砕け
Kindness / Otherness
河村 : まずは、カインドネス。
浜 : インディR&Bのアーティストですね! 色男!! 最高!!!
河村 : 本当にこの手のシンガーもの=インディR&Bものが、いっぱい出てきてるよね。この手の音としては、今年後半の本命だよね。
浜 : メロウかつファンキー、すばらしいですね。アレンジもいいんですよね。ブラッド・オレンジこと旧友デヴォンテ・ハインズも参加していて。
河村 : この辺は、日本のインディ・ロック系でもひとつ参照元になっているけど、AORとか、日本のシティ・ポップが好きな人もいけるんじゃないかと思うんだけどね。とても心地良い、身を委ねておきたい音楽って感じだよね。
Atari Teenage Riot / Modern Liars(24bit/44.1kHz)
浜 : そしてATRのシングルがハイレゾできましたね。しかもかなり豪華なリミックス陣! クラクソンズにファック・ボタンズ、アンディ・ウェザオール。
河村 : わりと、ATRって独立独歩で他の連中とあまり交わらないイメージがあったから意外だったな。簡単に説明しとくと、クラクソンズは2000年代中頃に”ニューレイヴ”なんて呼ばれた、エレクトロニックなダンス・ロックを牽引したバンド。今回は、わりとストレートにディープ・ハウス調のミックスを提供してておもしろいよね。アンディ・ウェザオールはご存知のように、アシッド・ハウス時代からUKのテクノ/ハウスを牽引するDJ。プライマル・スクリームなどのセカンド・サマー・オブ・ラヴの余波を受けて、スター・バンドにしたDJ。今回は最近の彼らしい緩やかなエレクトロ・ハウスにミックス。でも個人的には、ファック・ボタンのインダストリアルなミックスがいまの気分かな。
浜 : この手のシングルはリミックスだけつまんで買ってもいいので、いま流れがかきているクラブもののハイレゾのお試しで、ぜひとも聴いてほしいですね。
Ibeyi / Oya
河村 : 次は新人である、イベイ。
浜 : 土臭いアフロ・ポップという感じですね。賛美歌みたいなコーラスがミスマッチでおもしろいですね。
河村 : 〈XL〉からの新人、双子姉妹デュオ、イベイ。フランス~キューバ出身の姉妹デュオによるデュオ。アデルとかヴァンパイア・ウィークエンド、M.I.A.を送り出した〈XL〉が、今後一番力を入れるユニットではないかと。
浜 : 資料によれば「キューバの伝説的バンド、ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブで活躍したパーカッショニストのミゲル“アンガ”ディアスを父親に持ち、その才能を存分に受け継いだエキゾチックな19歳の美人双子」って! 音楽優等生感プンプンですね。
河村 : 「River」のツンのめったアフリカのドラムがかっこいいね。ヴォーカルもちょっと声、ビョークに似てない?
浜 : そうですか? ビョークというには声がきれい過ぎるかと。それは置いといて、曲も気持ちいいし、次回作も楽しみです。
河村 : アフロ的な要素といい、〈XL〉の今後のメインのラインになって大物になるんじゃないかとちょっと思います。
Caribou / Our Love
浜 : 次はカリブーのアルバム。少し前にエレクトロニック・ビートものとも言えるアルバム「ダフニ」を出してましたね。
河村 : 今回はその電子音楽の感じと、彼特有のドリーミーなポスト・ロック系のサウンドが融合している感じだよね。かなりエモーショナルな音だし。
浜 : カリブーはじわりじわりと人気ありますよね。ポストロックとエレクトロニカ、それとサイケ・ロックのいいところ取りというか。
河村 : それでいて、かなり音の質感はポップだしね。アーケイド・ファイアのストリングス・アレンジをしているオーウェン・パレットとか〈Hyperdub〉の歌姫で、去年かなりの高い評価を受けたジェシー・ランザなんかも歌っているね。このあたりは、例えばエイフェックスの新作を聞いた人で、あの、優しい感じのエレクトロみたいなのを求めている人はこの辺からいったらいい気がするね。次のボノボもチルアウトってことでなかなかいいですよ。
秋の夜長に、ビートメイカーによるチルアウト・トラックが豊作!
Bonobo / The North Borders Tour. ― Live.(24bit/44.1kHz)
浜 : これはツアーのライヴ音源をまとめたものみたいですね。アコギと電子音の混ざり具合から、懐かしいエレクトロニカの匂いがしますが、どの曲もスムーズでめちゃくちゃ聴きやすいですね。
河村 : 秋めいてくるとこの手のチルアウト・ダウンテンポものいいよね。これがまたハイレゾっていうのもいい。エレクトロニクスのダウンテンポ・バンドの、ライヴ音源はハイレゾと絶対に相性いいと思うからどんどん出てほしいな。
浜 : 〈Ninja Tune〉って、結構この手のダウンテンポの宝庫ですよね。ビートのおもしろい音源と、良質なチルアウトものも多いですよね。
河村 : ヨーロッパはこの手のチルアウト・ダウンテンポの伝統ってなんかあるんだよね。ビートメイカーが別名義でこういうチルアウトものを出したりとかあるし。聴けばみんな結構好きだったりするんだろうけど、良い意味で地味だからなかなか辿り着けないという人はぜひ。
Dorian Concept / Joined Ends(24bit/44.1kHz)
河村 : ハイレゾ、チルアウト、ビートメイカーものっていうことでいうとこちらもいい感じ。フライング・ロータスなんかのライヴ・バンドもやっているドリアン・コンセプトのニュー・アルバム。
浜 : 1曲目の目まぐるしいシーケンスから、幻想的な世界に誘われますね。ほんのりチェンバー・ポップ感もあっておもしろいなあ。
河村 : いわゆるビート・ミュージック系の人だけど、今作ではわりとサイケデリックな上物に特化してて、特に今回はミニマル・ミュージックっぽい感覚とかが濃いのかな。幻想的ってことでいえば、デイデラスの新作も結構、変な感じで良かった。
Daedelus / The Light Brigade
浜 : そうですね。こちらは幻想的といっても、なんか民俗音楽っぽい感じもありますね。サウンドがほこりっぽくてかっこいいです。
河村 : 南米のサイケデリック・フォークとか、なんかヨーロッパの古典音楽的な感覚もあって謎だよね。すごくいいんだけど、ぶっちゃけ、なかなかここにたどり着いてくれる人は少なそう。でも個人的には、この人のいままでのアルバムのなかでは一番好きかも。
浜 : なんか… 枯れてますね。暗ーいボサノヴァとか、ショーロとかの入り口にもなりそう。
河村 : もはや、ビートメイカーっていうよりも完全にアコギのギタリストが作ったアンビエント・アルバムって感じだよね。エレクトロニクス感はすごく希薄だけど。かなり極上のチルアウト・アルバムっていう感じ。
INNER SCIENCE / Assembles 1-4
河村 : こっちもビート・メイカー経由のチルアウトということで日本人アーティスト、インナー・サイエンスのニュー・アルバム。
浜 : これはインナー・サイエンスのメインのスタイルとはまた違うようなことが書いてますね。簡単にいうと、実験的な電子音楽とコラージュ・ミュージックにフォーカスした作品だとか。
河村 : そうだね。でもこの前のアルバム『Self Figment』でもそうだったけど、ヒップホップ系のビート・メイカーなのに、シンセの使い方にすごくセンスのある人だから、こういうのも納得っていうか。この手のエレクトロニカっぽい作品でよくありがちな、綺麗なメロディとかコードとかでごまかすみたいなことができない分、電子音の音作りのセンスの良し悪しが浮き彫りになると思うんだけど、これはもちろん”良し”の部分が存分に発揮されてて、ザ・最高ですよ!
KODE9 & THE SPACEAPE / KILLING SEASON EP
浜 : お次は、コード9。今年10周年を迎えた〈Hyperdub〉のドン、コード9のシングルですね。10周年コンピの怒涛のリリースの合間に、正直唐突感はありますが。
河村 : 彼のファースト・アルバムにも参加していたスペースエイプっていうMC / シンガーがいるんだけど、彼が先日、闘病中のところ急逝してしまったんだよね。かなりやばい状態だったから、スペースエイプのためにこのシングルはリリースを早めたんだって。でもリリース直後になくなってしまって…。
浜 : そうなんですね。
河村 : これもいわゆるダブステップの音でもなくて、トラップとかヒップホップのいまのリズムを取り込んだシングルで、スペースエイプの声も相変わらずかっこいいからすごい残念だよね。OTOTOYでの配信がないんだけど、このコンビによる2006年のファースト・アルバム『Memories Of The Future』はいま聴いても傑作なのでぜひとも聴いてほしいな。ダブステップがアルバム・サイズの表現にも耐えうると証明したって感じの作品ですので追悼のためにもぜひとも!
Scott Walker + Sunn O))) / Soused
浜 : うぉーー、来たーーー! 床が揺れるようなドゥーム感と、スコット・ウォーカーによるメタル・パーカッション、かなり相性いいですね!
河村 : さすが、浜くんはアヴァンギャルドだな。ということで、ちょっと暗くなった心にさらに追い討ちをかけそうな大暗黒大会。
浜 : ベテラン、スコット・ウォーカーと、ドゥーム・メタル・バンドのサン・O)))のコラボレーション・アルバム。
河村 : もう、これはダーク&ヘヴィーだな……。おどろおどろしい……。もう、スピーカーからお化けが出てきそうだよ。スコット・ウォーカーの暗黒卿っぷりもはんぱないよな。「沈み込む」っていう言葉がこれほどまでに似合う音楽はないよな。
浜 : 最高じゃないですか! って、ことで、今月といえば、これに加えてフライング・ロータスとエイフェックス・ツインの新作がハイレゾでリリースされてヒットしまくりましたね。
河村 : 今回はすごかったね。わりとハイレゾとこの手のエレクトロニック・ミュージックは読んで字のごとく「音を聴く」ことにわりと特化したジャンルだから、ぜひとももっといい感じにこの楽しみ方が広がってほしいな。