それは来たるべき音──cero、3年ぶりの新作『POLY LIFE MULTI SOUL』ハイレゾ配信
R&Bやネオ・ソウル、現代ジャズのグルーヴをふんだんに吸収し、ある意味で新たなこの国のポップ・ミュージックの指針を作った前作『Obscure Ride』──同作はある意味で2010年代後半のこの国のインディ・ロックの多様なリズムの実験を牽引する作品のひとつとなった。そして3年ぶりのceroの新作『POLY LIFE MULTI SOUL』は追随するフォロアーがまだ見ぬ、はるか先のポップ・ミュージックの未来を指し示す作品になった。そう、それはまさに掛け値無しの傑作と言えるだろう。昨今のアフリカや南米のフォークロアな感覚も持ったハイブリッドなポップスが持つマルチ・カルチャラルなリズム感、そして髙城の歌と日本詞、そこに連なるコーラス・ワーク、これらが渾然一体となって、cero印の新たなポップ・ミュージックを作り出している。OTOTOYでは本作をハイレゾ配信を行うとともに、本作を作り出した3人にインタヴューを多なった。さまざまな音楽性が散りばめられた本作は、細かなニュアンスやアレンジメントの響き、リズムの刻みと、ハイレゾで聴くことでさらなる発見や驚き、感動がありますよ!
待望のニュー・アルバムをハイレゾ配信
cero / POLY LIFE MULTI SOUL (24bit/48kHz)
【配信形態】
ALAC、FLAC、WAV(24bit/48kHz) / AAC
>>>ハイレゾとは?
【配信価格】
単曲 300円(税込) / アルバム 2.400円(税込)
【収録曲】
1. Modern Steps
2. 魚の骨 鳥の羽根
3. ベッテン・フォールズ
4. 薄闇の花
5. 溯行
6. 夜になると鮭は
7. Buzzle Bee Ride
8. Double Exposure
9. レテの子
10. Waters
11. TWNKL
12. Poly Life Multi Soul
POLY LIFE MULTI SOUL特設サイト
http://kakubarhythm.com/special/polylifemultisoul/
INTERVIEW : cero
2016年よりライヴでもサポート・メンバーとして参加している古川麦、小田朋美、角銅真実らとともに作り上げたという新作『POLY LIFE MULTI SOUL』。『Obscure Ride』で大幅に取り入れたR&B〜現代ジャズのリズムなどをひとつ基礎として、さらにはジャズやワールド・ミュージックなどなど、さまざまな刺激的なリズムの冒険を貪欲に取り込んで見せている。端的にいえば、もちろんそのグルーヴの複雑さは、『Obscure Ride』よりも格段に増している。が、これが聴き辛いというと全くそうではない。アレンジやアンサンブル、音色、髙城のヴォーカル、そして本作でさらに大きな要素となったコーラス・ワークといった要素が、複雑化したリズム・ワークを包み、これまで同様の、ceroが導き出す新たなポップ・ミュージックのアップデートした“かたち”として提示している。とにかく、新たな音楽と出会ったときのあの驚き、その楽しさ、これにかなうものはないと再度確認させてくれる、清々しい作品だ。
インタヴュー・文 : 河村祐介
写真 : 沼田学
すごい斬新なところに入っていく
──前作のアルバムがジャズやR&Bを捉えた、ある種「北米」的なアルバムだとすると、今作はそこにさらにアフロ・ポリリズム的なるものが入っていて、感触としてはハイブリットな「南米」なのかな、という印象というか妄想をしてしまいました。まずリズム、そこではわりとエグいことをやっているのにポップなものとして聴かせる1つの大きなファクターとしてコーラスがあると思いました。このふたつが今の南米のハイブリッドなポップスみたいなものに感覚が似ている気がした、というのが率直な感想です。そこで、前作のファンクやジャズなどとは違ったポリリズムやその他の方向性に触れた契機というのはどこにあるのでしょうか。
荒内 : まず、2015年に『Obscure Ride』をリリースしたぐらいの時期、ヨーロッパのほうでいわゆるロバート・グラスパーのフォロワーみたいな音楽が増えた時期だったと思うんです。ビート・ミュージックやヒップホップ、R&Bに影響された現代のジャズ的なもの、そこにまずはリスナーとして少し飽きてしまったところがあって。好きなんですが似たものが多いな、と。ある意味でケンドリックの『To Pimp a Butterfly』、この作品がひとつジャズとヒップホップというところで世間的にもひとつ仕上がったという感じがして。
──なるほど。個人的なリスナー体験として、ひとつ区切りがついたという感じなんですね。
荒内 : そこで、リスナーとして”他に面白い音楽がないのかな”といろいろ聴いていて、ワールド・ミュージック的なものをさらに探求していくようになったんです──僕は特にアフリカのものが多くて、あとは南米ものももちろん。そこに加えてもうひとつあった流れが、マイルスから続く日本のジャズの流れというもの。それを振り返ることがあって、菊地雅章さん、ティポグラフィカ、もしくはティポグラフィカの残党の方たちの諸作品、菊地成孔さんのDATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDEN、水谷(浩章)さんのphonoliteとかも……このあたりの音源は、リアルタイムでも聴いていたんですが、振り返ることも多かったですね。それで、こうした作品から感じるリズムの面白さ──日本のこうしたジャズが組み込んでいったポリリズムと南米とかアフリカのものに対する自分のリスナーとしての興味が合致してきて──こうしたものが面白いと思うようになったということが、こうしたポリリズムなんかを取り入れるきっかけですね。
──荒内さんが持ってきたアイディアで、さらに皆さんと共同構築していくというところで、本作が形作られてきたと。
荒内 : そうですね。さきほど出たような音楽へのリスナーとしての興味が結果的には「魚の骨、鳥の羽根」という曲に繋がっていったなかな、と。それが2016年の夏です。
──他のおふたりは、この新たなceroの側面をどう感じました?
髙城 : 「すごい斬新なところに入っていくんだな」という気持ちと、でも振り返ってみればすでに『Obscure Ride』で、そんなceroの面は少し出せてたかなというか。例えば、前作の「Elephant Ghost」や「Wayang Park Banquet」に「魚の骨、鳥の羽根」に続いていきそうな音楽性の芽を感じてはいたので、「その音楽性を押し出していく」という方向にシフトしていくんだなと。こうして全く新しいところへ行く、というよりかは、さらに『Obscure Ride』の一面的だった部分を押し出していく方向なのかな、という印象を持ちましたね。
橋本 : 「曲を聴いてすばらしいな」と思ったがゆえに「これをこのまま進行してもらっていっていいのかな」と感じましたね。やっぱり、今回の楽曲たちは、生半可に今までの手癖でできるような曲ではなかったので。そこを押し出していくのが次のceroのアルバムへの道なのかなと思うんで。実は、各々のソロ・プロジェクトという選択肢も出てきている時期の途中だったので、「せっかくのアイディアをceroでやってくれていいの?」みたいな部分はあったかも。でも、持ち込んでやってくれるなら、ありがたいし、それならば僕らもついてかなきゃと。
好き勝手やるというところとはちょっと違うんです
──なるほど。それはライヴの編成の変化の時期とも重なる訳ですね。
荒内 : そうですね。
──それは新しく変わったことでできるようになったことがあったからなのか、変化のコンセプトがあってあえてそのメンバーを選んだのかどちらなのでしょうか。
荒内 : 契機としては、2016年に夏の野音(5月21日)の編成ですね。パーカッションに松井泉(YOUR SONG IS GOOD)さんに参加してもらったり、コーラスにSmooth Ace(岡村玄、重住ひろこ)という男女ふたり組を入れたりと、結構大所帯でやったんですね。この野音でやったようなものを、普段のライヴでもできるようなコンパクトな編成に出来ないかな…… というところから編成が変わっていきました。でも、いざやってみると、これまでの楽曲をやるときに、ceroの3人に「バックミュージシャンが加わる」という感覚の関係になりそうだという危惧もあって。そのへんもあって、せっかく才能豊かな人たちを集めているので、それぞれの特性を活かせるような楽曲作りしていくという方向に、少しずつシフトしていこうと。すでに本作のスタートとなるような「魚の骨、鳥の羽根」という曲が、編成が変わったときにはあったので、「じゃあ、新しい作品はこの路線でいいんじゃないか」にまとまったというか。
──なるほど。先ほどのリスナーとしての話で言うと、アフロであるとか、南米ものとかはお三方で共有されていたのでしょうか? それとも、荒内さんだけが聴いていたのでしょうか?
荒内 : 俺は最近の南米ものもすごく好きで。髙城君も好きだと思うけど。共通してブラジルの音楽は、もちろん昔から好きで。そこに加えて、俺はアフリカものも聴くというところが強いのかも。そのあたりは3人とも完全には共通してなくて、ちょっとずつバラバラだよね。
──元からリスナーとして好きなものではあったけど、『Obscure Ride』で参照していたマイブームの熱が冷めるというかちょっと刺激がなくなって、そこに同時に今のリズムへの探求心が上がってきたというのがお三方にはあった、ということでしょうか。
髙城 : そうですね。荒内君が作ってきた楽曲を理解する上で、まずは自分がこれまで聴いていたなかで、なんとなく聴き流してたけど、よくよく聴いてみたらそういう構造を持っていた楽曲を探すというか、新曲への理解を深めるものはないか、と改めて聴いたりしてましたね。それこそ、さっき言ってたphonolitetとかは荒内君から以前に教えてもらって聴いたりとかはしていて。
──とはいえ、荒内さんが楽曲を作るにしても、そこにセッションというかそれぞれが持ち込む要素が作品を構築する上では大事だったという感じですか?
荒内 : そうですね。基本的にデモは3人とも作り込んでいくんですけども、それぞれ持ってくるのは、特にリズムが際立って派手な曲とかは、リズムの仕組みとコード感、あとは歌──基本的な車でいうフレームとエンジンとタイヤくらいで「後のデザインはみんなでしましょう」みたいな。でも、曲作りに関して言うと、いわゆるセッションとは少し異なっていて「フレームとかエンジンとかタイヤに沿ったパーツを各自でデザインして作りましょう」みたいな方向性はあった。ほんと、好き勝手やるというところとはちょっと違うんです。
複層的なリズムというのと、男女混声
──全体としてコーラスというのがフィーチャーされている、と思ったんですけど、そこもやはりサポート・メンバーの方達と作っていく上で徐々に構築されていったということでしょうか。
髙城 : そうですね。さっきいった野音から始まるアイデアで、まずは複層的なリズムというのと、男女混声というのが搭載されたバンドを新しく作り直したいというのがありました。ceroでははじめての試みで、だからコーラス練みたいなことがあったんです。レコーディングする上で、リズム・パート練をスタジオの中でやってもらいつつ、外ではコーラス練みたいなことしたりとか。なんだか文化祭みたいな感じで(笑)。そういう作り方をしたのは初めてだったんですよね。
荒内 : あとは管楽器がなくなったということも大きいですね。
髙城 : そうだね。それをコーラスを置き換えるようになって。
荒内 : 今までで一番の大所帯なんですけど、楽器の種類でいうとドラム、ベース、ギター、キーボード、歌ですから。大所帯なんですが、シンプルといえばシンプルなんですよね。そこでホーンの代わりに、例えばシンセばっかりが引っ張っていくと、同じような面ばかりが出てしまう。そこでサポート・メンバーが得意なことで、さらに上物として機能するものとしてコーラスというものが出てきたんだと思います。
──今回、歌詞は髙城さんがほぼ書かれてるということなんですけども、目指すべき世界観というのは決まっていたのでしょうか。
髙城 : いつも何かゴールを設定して書いている訳ではなくて…… たまたま重なって出てきたワードを1曲か2曲書いた時点で、例えば今回でいえば”川”という言葉が2つの曲に入ってたりすると「偶然だけどリンクがはれるな」みたいな感じで。そういうリンクをはっていって、3曲目にも”川”というワードを入れよう、という感じになっていってどんどんアルバムを通してネットができあがっていってふたつの何かを機縁にしていく、というのがこれまでの方法としてあったんで、そこは特に変わらず。だから、最初に何か大きい絵があるわけではなく、もっとミクロのキーワード単位くらいです。
──橋本さんは、ギタリストとして今回の関わりは?
橋本 : まず僕がceroに入ったのもギタリスト然としたプレイスタイルではなく、シンセやパッドのような音をギターで出したり変わり種をやっていて、それをceroがおもしろがってくれて採用という形になって。でも『Obscure Ride』では、ギタリスト然としたプレイが求められるようになって、そこはいままであまりやってなかったから「ヤバイ」と思ったんですけど(笑)。レコーディングが終わって、ツアーを1周したときにやっとそういったプレイのコツが掴めてきたという感じで。今回のアルバムもコツはまだ掴めていないのですが、バランスで言えば元々のギタリストっぽくないプレイも挟み込めるようになってきていて。そういう楽曲を作ってきてくれるからなんですけど、自分としてはこれからライヴも良い塩梅で楽しめるかなと思っています。『Obscure Ride』のときは生真面目にやっていたので…… 今も真面目ですけど(笑)。
──バランス的には以前のような感覚もありというか。
橋本 : そうですね。「こういう音作りが楽しくてやってたな」というのを久しぶりに思い出した感じです。
パワー・バランスをとっていく作業がいろんなところで
──ホーンが無くなったという部分で、ホーンが担っていたひとつの帯域がすっぽりなくなるというか、そのあたりレコーディングの音の録りとかで変わった部分はありますか?
髙城 : その分シンセが占める率が高くなりがちだったので、そこを結構荒内君なんかは意識的にセーブしているシーンはよく見たかな。入れたくなっちゃうところだけれども。だから作品全体のレコーディングで、パワー・バランスをとっていく作業というのはいろんなところで見られたかな。例えばポリリズムで走っている2つのリズムのどっちかがいっぽうが重くなってしまうと、こっちが弱くなってしまうとか、電子的な楽器とアナログな楽器との配分でシンセが強くなりすぎてしまうのも、流行り物感みたいなのが出てしまうからどうなのかとか。それでいて、あまりに太鼓太鼓したものが強くなるとトライバルな面が出過ぎて、最終的に都市的なものとして聴かれたいから、それはサウンドとして違うとか。そのあたり、かなり天秤にいちいちかけて均等になるように目指すというシーンを制作中にいくつか見ました。
──アレンジに加えて、ミキシングでバランスをとっていたということでしょうか? 例えば、リズムの遊びが過ぎる部分はヴォーカルとかコーラス、メロディを前に出すとか、そんなアレンジやミキシングの妙みたいなもので楽曲の空気感を調整しているような感覚は聴いててもありますね。
荒内 : そうですね。アレンジメントでもそうですし、ミキシングでも結構そこは気を使いました。特に「夜になると鮭は」という橋本君の曲では髙城君が朗読を入れたことによってすごい聴きやすくなったというか。トラックだけ聴くとほんとかっこいいんだけど、だいぶアブストラクトですよね。「このトラックだけ来ちゃうとアルバム全体が難解な印象になるかもな」という危惧もあって。言葉、朗読という、ある意味でかなりの異物が入ることによって、意味はそっちが織りなすから、楽曲としてはバランスは取れますよね。
──その意味では「魚の骨、鳥の羽根」とかの構築感というのは聴いていて、ある種のコラージュ・ミュージックっぽい感じがあっておもしかったです。「あれ、次に何が出てくるのかな」というのを絶えず追いかけていくのが、おもしろくて。それはポリリズムの「こっち追ってたら、なんだこんなリズムが走ってる」的な部分と合わさったおもしろさがあって。そこは部分はずっと試行錯誤されていたのでしょうか。
荒内 : そうですね。
──今回はポスト・プロダクション的ないじるというのは録りと比べてどういった割合だったのでしょうか。
髙城 : 今回レコーディング・エンジニアをお願いした奥田(泰次)さんは、細かく録った後の加工はいろいろやってると思うんですよね。僕らの方で、それをひとつづつ検証している訳ではないですけど。とにかく今回はその部分を自分たちでやってないというのは大きいですね。とはいえ、結構な分量でポストプロダクション的なことはやってくれていたんじゃないかなという音ができてくるんですよね。ラフ・ミックスからミックスに上がってきたときにちゃんと化粧された感じというか。でも、出てくる音が、とてもいい塩梅なんですよね。そうやって出てくるものが、考えてたもの、演奏していたときの感覚と全く違うものが出てきてびっくりという感じではなく。
──なるほど。では、今回は奥田さんにほぼミキシングは投げました? 録りもですか?
髙城 : そうですね。ほぼ100%ですね。
荒内 : ラフ・ミックスとか録りの時点で奥田さんに音楽的な世間話とかをして、少しずつヴァイブスを調整していきましたね(笑)。例えば「これだと、やっぱりワールド・ミュージック的な感じですよね…… あまりそういう感じじゃなくて、もうちょっとR&B的にしたいんですよね」とか。終始、そんな感じでした。
髙城 奥田さんはそういうのキャッチするのがうまい人で。
──ワールドっぽい構造のものでも、ストレートなワールド感じゃなくてエキゾチックなものというのような感覚が、意図としてあったということですよね?
髙城 : うん。
”変態” のひとこで済ますのはやめてくれって本当に思いますね
──なるほど。このアルバムを終えて、ライヴからの影響、もしくは今後ライヴで表現していきたいものというのはありますか?
髙城 : 最終的に出来上がったもののコラージュ・ミュージックっぽさもあるんだけど、実を言うと結構一発録りでこなしている楽曲が多くて。つまり、それはライヴでそのまま再現可能なデザインがされているというのがひとつ特徴としてあるんです。そういう分析的にコラージュ音楽っぽく聴くこともできるし、ひとつの塊として聴かせることもできて。こういうことがやっぱり面白いと思うので、アルバムとライヴの両方を見てもらったらひとつの完成形が出来上がるのではないか、という気がしています。
──なるほど。前作の延長線上にはありつつも、割と別の作品じゃないですか。そこで、リスナーがついてこられるかな、という危惧はなかったですか?
荒内 : 前に髙城君が言っていたんですけど、そこはやっぱりお客さんを信用するしかない、と。「魚の骨、鳥の羽根」のPVをあげて、エゴサを久し振りにしたんですけど、世間はそんな馬鹿じゃない、というか、こういう物もちゃんと分かろうとする人も沢山いるっていうのはわかりましたしね。そこを「どうせわかんないだろう」と言って、もっと簡単に簡単にとやっていくと、音楽性のデフレスパイラルというか、本当に地獄みたいになっていくっていう。多少は「難しいと思われるかな」というところは勿論ありますけど、難解に聴かせないようにちゃんと手筈を踏んでいったら、ちゃんと伝わるんだろうな、というところに自信もありますし、そこを信頼するしかないな、と思っています。
髙城 : エゴサの件で思い出しました。1個だけ僕が思うのは難解なものとか変わったものを”変態” のひとこで済ますのはやめてくれって本当に思いますね。もちろんそれはわからないものをわかろうと咀嚼してくれている段階でにあるのはわかるんですけど(笑)。もう一歩踏み込んで欲しいなと思うときはちょっとあるかも。
──でも、まさにceroは「音楽はこんなにおもしろいんだよ」というのを絶えず自分たちの目線で咀嚼して、ポップスとして提示していって、というのが続いているバンドだと思っていて。今回、その本気度がまさに詰まっていると言うか。
髙城 : その辺は健康的でありたいな、と思います。
──マスタリング等、今回はどうでしたか?
髙城 : マスタリングは、「街の報せ」の時に超有名なトム・コインというエンジニアにマスタリングしてもらって。それは自分のこれまでの作品の中で、一番気持ち良く納得のいくようなものになっていて、すごいなと思っていたら、そのすぐ後に亡くなられたんですよね。だから「街の報せ」は、ほぼほぼ遺作群の1つと言っていいようなギリギリ間に合ったようなタイミングだったんですよ。だから今回は晩年のトム・コインの共同作業者、パートナーでもあったランディ・メリルにお願いしましたね。何回か往復はしたよね。
荒内 : おもしろいなと思ったのは、最初に上がってきたヴァージョンは、トム・コインのパートナーだからR&Bとかヒップホップ的な音作りなのかな、と思ったら全く逆のロック的な音作りだったんですよ。でも、そういうところ、もしかしたらこの作品の音楽性をを聴いて、"これ結構オルタナだな、変種のロックだな"という解釈をしたのかなと思って。でも「いや、今回目指しているのは違うんだよ」というので何回かやりとりしましたね。。
髙城 : その捉え方も面白いんだけど「今回俺たちがプレゼンテーションしたいのはそこじゃないんですよね」というのは何回もやりましたね。
──例えば10年前に比べると、cero以外にも、わりとこうしたポップ・ミュージックに他の要素を混ぜ込んで行くようなバンドが増えた感じに思うんですがいかがでしょうか?
荒内 : ジャズ界隈とかシティ・ポップ界隈じゃなくて、もっと近い、ceroのサポートメンバーだったりとかがやっているような音楽に、そこに日本語を乗せていくというのが結構新しいなと思っていて。これがおそらく1990年代とかだったら、なんかうまく乗ってないな、って感じてたかもしれないけど、それって多分慣れとか相対的な話だと思っていて。これは今度の僕らの音楽もそれに通じるんですけど、こういう音楽に日本語乗せてみるとなんか違和感があるな、と思っても慣れの問題で。ブラジルとかでビートルズ以降のサウンドにポルトガル語を乗せてオリジナリティを獲得していった、とか。そういう流れに今近いのかな、というのは感じています。
cero『POLY LIFE MULTI SOUL (24bit/48kHz)』のご購入はこちらから
【配信形態】
ALAC、FLAC、WAV(24bit/48kHz) / AAC
【配信価格】
単曲 300円(税込) / アルバム 2.400円(税込)
【配信ページ】
https://ototoy.jp/_/default/p/104521
RECOMMEND
GONNO × MASUMURA / In Circles
世界的なテクノ / ハウスのトラックメイカーでもあるGONNOと、森は生きているのドラマー、Kazuhiko Masumuraのコラボ作品。アフロビートと電子音のスリリングなせめぎ合い。
TONO / Aquario
アート・リンゼイ・プロデュースにネオ・トロピカリアな現在のブラジリアン・ハイブリット・ポップの代表格。
Rafael Martini Sextet Venezuela Symphonic Orchestra / suíte onírica
現代ブラジルで最も傑出した才能の一人とされるハファエル・マルチニがオーケストラとともに作り上げた作品。
LIVE INFORMATION
4th ALBUM『POLY LIFE MULTI SOUL』発売記念FREE LIVE
CROSSING
2018年5月19日(土)
@六本木ヒルズアリーナ
OPEN/START : 13:00 / 14:00
入場無料
LIVE : cero
DJ : MOODMAN, COMPUMA
FOOD / DRINK : 終日ONE / KONA BEER
INFO : POLY LIFE MULTI SOUL特設サイト
http://kakubarhythm.com/special/polylifemultisoul/
『POLY LIFE MULTI SOUL』 発売記念全国ワンマンツアー
2018年5月25日(金)
@広島CLUB QUATTRO
2018年5月27日(日)
@福岡 BEAT STATION
2018年5月28日(月)
@長崎 DRUM Be-7
2018年5月30日(水)
@高松DIME
2018年5月31日(木)
@京都磔磔
2018年6月4日(月)
@仙台 Rensa
2018年6月5日(火)
@盛岡 CLUB CHANGE WAVE
2018年6月7日(木)
@札幌 PENNY LANE24
2018年6月8日(金)
@札幌 PENNY LANE24
2018年6月13日(水)
@金沢EIGHT HALL
2018年6月14日(木)
@大阪BIGCAT
2018年6月15日(金)
@名古屋DIAMOND HALL
2018年6月17日(日)
@Zepp DiverCity
2018年6月18日(月)
@Zepp DiverCity
FUJI ROCK FESTIVAL 2018
2018年7月29日(日)苗場スキー場
※出演日は7/29(日)、出演ステージは後日発表となります。
詳しいツアー各地のチケット情報などはアーティスト公式ページより
http://cero-web.jp/
PROFILE
cero
髙城晶平 (vocal / guitar / flute)
荒内 佑 (keyboard / sampler / cho)
橋本 翼 (guitar / cho)
2004年結成。メンバーは髙城晶平、荒内佑、橋本翼の3人。これまで3枚のアルバムと3枚のシングル、DVDを2枚リリース。3人それぞれが作曲、アレンジ、プロデュースを手がけ、サポートメンバーを加えた編成でのライブ、楽曲制作においてコンダクトを執っている。今後のリリース、ライブが常に注目される音楽的快楽とストーリーテリングの巧みさを併せ持った、東京のバンドである。
>>cero アーティスト・ページ