OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.265
OTOTOY編集者の週替わりプレイリスト&コラム(毎週金曜日更新)
ロスレスだけの名盤探訪、プライマル・スクリームのリミックス
ということでソニー音源のロスレス配信がOTOTOYでスタートして約2ヶ月、圧縮音源が随時ロスレスへと変更になっています (2024年3月22日現在で全体1/3ほど)。ソニーの膨大なカタログ、有名作はコレまでも新作としてのリリースもしくはリマスターにてハイレゾとして配信しているんですが、なかには「あの有名アーティスト、歴史的名盤もあるのに圧縮音源の配信だけ?」というアーティストがいます。ということで、ソニーのカタログでハイレゾがほとんどない=ロスレス配信がメインとなるアーティストをご紹介ということで、今日はプライマル・スクリームを。特にロスレス・データとなると、海外の配信ストアもなく、当時のシングルCD、もしくは後年リリースの「Expanded Edition」なリイシューを捜さないと……という音源ですが、OTOTOYではほぼ単曲でも買えますのでDJなどでお探しの方はぜひという。
もはや「ダンスとロックを~」という言葉も白々しくなるような、セカンド・サマー・オブ・ラヴの熱狂を封じ込めた1991年の大名盤『Screamadelica』。前作に収録の “I'm Losing More Than I'll Ever Have” を大胆にブレイクビーツ・ハウスへと転換した “Loaded” をはじめ、アルバム本編前後のシングルの多くは、アンドリュー・ウェザオール、もしくウェザオールとともに〈ボーイズ・オウン〉ポッセだったテリー・ファーリーなどがリミックス。その他では808ステイトのグラハム・マッセイなどがリミックスしています。そのあたりは『The Screamadelica 12" Singles』を1枚買ってしまうのがオススメです (『Screamadelica』の、「ダンスとロックの~」という枕言葉の、当時の現場での熱狂のリアリティは、アルバム本編よりも、時期的にここにあるような気がします)。
ウェザオールに関しては、その後コンスタントに各アルバムからのシングルにリミックスを提供しており (セイバーズ・オブ・パラダイスやトゥ・ローン・スウォーズメン名義含む)、2013年の『More Light』の “2013” のリミックスまでコンスタントに手がけていて、その信頼っぷりがわかるのではないでしょうか。
『Screamadelica』の次作、『Give Out But Don't Give Up』のシングル「Jailbird」では、おそらく彼らを見いだしたウェザオールの推挙だと思いますが、まだ世間的にはブレイク前で、改名前のダスト・ブラザーズ名義でケミカル・ブラザーズ (その後、ケミカル名義でも2度リミックス) が、またポーティスヘッドなどがリミックスしていたり。で、字数もつきてきたのでまとめますが、『Give Out But Don't Give Up』から『Riot City Blues』まで、「Expanded Edition」としてシングルのリミックスやライヴ音源などがまとめて、ロスレス配信されてますのでリミックスだけ単曲で引くというのもありでしょう。
プライマル・スクリームとリミックスといえばアルバム『Vanishing Point』のエイドリアン・シャーウッドによるダブ・アルバム『Echo Dek』がありますが、ある意味でその前段とも言えるシングル「The Big Man And The Scream Team Meet The Barmy Army Uptown」があります。こちら1996年のUEFA欧州選手権の際にリリースされた、『トレインスポッティング』の作者として知られるアーヴィン・ウォルシュと、エイドリアン・シャーウッドとのタッグ。アルバムなどに未収の作品ですが、『Vanishing Point』の「Expanded Edition」に収録されていますよ。