OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.193
OTOTOY編集者の週替わりプレイリスト&コラム(毎週金曜日更新)
初期ダブステップの重要レーベル〈テンパ〉を振り返る
先日、ちらりと寄った某中古CD店でDJハッチャ『Dubstep Allstars Vol.1』というミックスCDを見つけました。20年ほど前に出たCDで、当時務めていた編集部でよく流れていたCD。なんですが手元になかったのもありつつ、「いま意外とこのへん?」という感じもあり懐かしさも相まって購入しました。たしかにいま聴くといろいろ逆に新鮮で……。2004年リリースで、当時「ダブステップがロンドンでキてるらしい」という話だったのですが、デジタル配信も未発達かつ、アンダーグラウンドなロンドンの12インチ・レベルの作品もまだそこまで国内のレコード店にはいっておらず……という状況で、当時のまだまだ謎の多かったダブステップ・シーンのアーティストや、サウンドの質感、DJミックスのスタイルなどまさに本場の空気を知るのにこのミックスCDシリーズが重要な資料でした。で、このミックスCDを出していたのが初期のダブステップを語る上で外せないレーベル〈TEMPA〉です。シングル・レベルでのリリースはもちろんですが、ストリートのダンス・ミュージックから、ひとつ音楽的に世に知られるきっかけになった2000年代のシーンをリプレゼントするような2アーティストのアルバムもリリースしてます。2005年のアンセムとなったシングル「Midnight Request Line」、そしてついで2006年にアルバム『Skream!』をリリースしたスクリーム、さらに2008年のこれまたアンセム「Night」を、シーンのオリジネイター、デジタル・ミスティックスのコキとリリース、さらには同年アルバム『Diary Of An Afro Warrior』をリリースしたベンガです。コード9率いる〈ハイパーダブ〉とその所属のブリアルのアルバムとともに、初期のダブステップ・シーンを象徴するアルバムということになるのではないでしょうか。ということで、今回はOTOTOYにある〈テンパ〉の2000年代のカタログから、当時のシーンを語る上で欠かせないアーティストたちの楽曲を集めてみました。