ミツメ『Ghosts』に宿る「不在」の存在感はどこから──DJ MINODAと訊く新作
『A LONG DAY』から3年ぶり、通算5作目となるスタジオ・アルバム『Ghosts』をリリースしたミツメ。実験的な音像とポップなメロディを絶妙なバランスで結び、それを両輪としながら、颯爽と2019年の春を駆け抜けるそんな作品だ。OTOTOYでは本作の配信とともに、彼らと親交の深い、DJのMINODAを交えてインタヴューを敢行した。
INTERVIEW : ミツメ
つかもうと思うと、すっと消え、そしてまた現れる。ミツメの新作『Ghosts』には、そのタイトルが良き塩梅で雄弁にサウンドを物語る。ポップなメロディとともにある川辺素による歌声はもちろん、そこかしこからジワリと沸き立つサウンドの閃きは瞬く間に耳を絡め取って進んでいく。本人たちが語る、アンビエントの影響、その包み込むような音像は柔らかく、さまざまな楽器の音、ノイズや電子音が方々から手を出しいたずらをする。赤子のくすぐりのような淡いサウンドの刺激たちがメロディと共犯関係を結んで中毒性すら生み出す。サウンドの実験性とポップなメロディ、この両輪をなめらかに回しながらふわりと空気に消えていく、そんな塩梅の良さが際立つアルバムとなっている。
OTOTOYでは本作の道先案内人をひとり指名した。DJのMINODAだ。1990年代よりテクノ / ハウスのシーンで活躍し、当時よりムードマンらとともにパーティ〈SLOWMOTION〉を主催し、アンダーグラウンド・ディープ・ハウス・シーンで活躍してきた。そんなDJとしての審美眼を持つ彼が2010年代の中頃を超える頃、このミツメやceroのメンバーなどとの交流からインディ・ロック・シーンとDJカルチャーを結ぶキーパーソンと言えそうな動きも見せてくる。いや、ただの熱心なファンという言い方もある。最近では〈SLOWMOTION〉のDJクルーとして、cero主宰の〈Traffic〉に出演、または現在のホームグラウンドとも言える東高円寺〈GRASSROOTS〉にて行っている〈MSJ〉など、ときにそうしたバンド・メンバーをDJとして招くなどもしている。何を隠そう、著者も彼を通じてミツメのサウンドに出会ったひとりだったりもする。そんな彼に登場願い、鼎談とインタヴューの中間となるような、しかしサウンドの本質を突く、そんな記事が完成した。
インタヴュー : MINODA(SLOWMOTION / MSJ)
文・構成 : 河村祐介
写真 : 西村満
まずはアルバム・リリースの祝杯から……
──今回、ミノダさんに対談というかインタヴュワーをお願いしたいのが、僕自身、ミノダさんからミツメの音楽を知ったという経緯もあって。よろしくお願いします。
ミノダ : まずはアルバム・リリースおめでとうございます!の乾杯しますかね。
乾杯!
──なんなんだこの画(笑)。まずは、なれ初めっていつなんですか?
ミノダ : 思い出そうと思ってたんだけど、あんまり思い出せなくて。
須田洋次郎(Dr / 以下、須田) : カメラマンの(松岡)一徹さんの〈テルメギャラリー〉でやったときじゃないですか?
ミノダ : あのときはもう好きで、あのアコースティック・ライヴ行けなくて、悔しくて(笑)。思い出せないんだよね。〈FEVER〉の3マンをやったときかな。
nakayaan(Ba): なつやすみバンドと、森は生きているかな。
ミノダ : あのときだと思う、それ。
大竹雅生(Gt,Syn / 以下、大竹) ミツメはDJやってましたね。3組ともライヴもやってDJもやってた。
川辺素(Vo,Gt / 以下、川辺) : そういうイベントだったのか。
ミノダ : あの日、タイコクラブから帰ってきた日でヘロヘロで、でもいままで見たことないから、どうしてもミツメみたくて。
川辺 : それ以前に音源とかで知っててくれたんですか?
ミノダ : そうそう。「TOKYO ACOUSTIC SESSION」の「煙突」とかすごい好きで。でも、アーティスト写真をはじめてみたときは、川辺くんがスカした感じで、なんか格好つけたバンドだなと(笑)。俺はその写真だけだと「嫌い」って思ってて(笑)。本当に音を聴いたらよくて。
nakayaan : アコーティスティック・セッションももう7年前だよね。
須田 : もうバンドが10年なんで、バンド史を考えても結構早いときから僕らのことを見てくれていたということですね。
ミノダ : 単純にDJとかをナカヤンにお願いしたりとか、そういう感じもあったりね。
川辺 : 韓国にも一緒にいきましたよね。
ミノダ : 呼ばれてないのについっていったりね。
──完全にグルーピーじゃないですか(笑)。しかもギャルじゃなくておじさん。
nakayaan : 一緒に飛行機で行って楽しかったですね。
ミノダ : マオくんとナカヤンの部屋に転がり込むっていうね(笑)。
──いや、それ昔のたちの悪いバンギャル、完全にグルーピーじゃないですか(笑)。
ミノダ : すっごい俺のいびきがうるさかったらしくて朝方顔にバスタイトルをかぶせられて……ぬれたやつじゃなかったから生きてたけど(笑)。すごい3人とも音楽が詳しくて、DJも最近はみんなやってて、みんなものすごい珍盤を持ってて、バイナルでDJやってて。洋次郎くんはDJやってて、新しいUKの音とかも買ってる感じですよね。
須田 : たまに使いますね。最近のイギリスのフォークから、アフロビートが入り口のジャズ・ファンクとか。おもしろいというか、自分の頭もDJで整理されるし、お誘いがあったらできるだけやるようにしていますね。
川辺 : 最近すごい増えてて、気がつくと週に2回とか3回やってない?
須田 : そんなにはやってないよ(笑)。月に2回~3回。
ミノダ : 俺よりやっているよね(笑)。
『Ghosts』と不在、そしてポール・オースター
──そろそろ『Ghosts』の話に移っていこうと思うんですが。
ミノダ : とりあえず、タイトルがすごいなっていう。これまでタイトルも曖昧な感じのものが多かったけど、今回のタイトルはすごいなっていう。“Ghost”じゃなくて“Ghosts”になると急にミツメっぽくなるなと。複数形になると急に曖昧になる言葉というか。
川辺 : タイトルはマオくん(大竹雅生)の発案で。
大竹 : その前にテーマとして“不在”というのがあって。ジャケットの写真が象徴的ですけど、なにもいないけど、なにかがいるような感覚というか、。なにかがそこにいないことによって、逆に存在を感じるというような。それがテーマとして出た後に「タイトルなににしよう?」ということをみんなで話したときに、このタイトルを提案しました。
ミノダ : このタイトル見たとき、思いついたのがポール・オースターの小説で。
大竹 : ああ、すごい好きです。
ミノダ : あの人も不在をテーマにした小説が多いじゃないですか……。
大竹 : ちょっとそれもあって。ポール・オースターの『幽霊たち』が好きなので、ちょっとそれもありました。あの小説は自分自身すらも透明な存在という感覚があって。
ミノダ : 誰が主役だかわからない小説だし。
須田 : でも、この話はいままで今回の作品のインタヴューのなかではじめて出た話ですね。マオはたしかにそういうこと言ってたよね。メンバ ーのなかでもその話は通っていた話というか。
大竹 : あえて言うほどでもないかなと思って。
ミノダ : 「不在」というテーマはどこから来たの?
nakayaan : ジャケットとアーティスト写真をやってくれていたトヤマタクロウくんの写真の存在はあったかな。
川辺 : そういう話をタクロウに言ったら「普段撮っている写真もそういうスタンスがある」という話になって、すでに発売されてた写真集のなかにタクロウくんが気に入っている写真があって、あまり大きく印刷されてないやつなんだけど……というのを見せてもらったら、すごいいいなと思って。それがジャケットになったんですよね。
須田 : 写真はレコーディングの初日にタクロウくんが持ってきてくれて、「これにしよう」という話になって。逆にタイトルは、ミックスも終わって、あとはマスタリングというときに「決めなきゃ」という感じで、最後に決めたって感じかな。
ミノダ : タクロウくんとは密なんですね。
須田 : 彼とバンドは、一緒にいる時間も長くて。ライヴのときに都内はもちろんですけど、海外遠征とかも同行してくれていて。感覚的にも好きなものが近いと思うし。「これがいいよね」と自分たちと一緒に感動ができるというか。
追求したレイヤー感と、そこで生まれたサウンド
ミノダ : 音の部分に話をはじめると、すごいいいアルバムでした。
川辺 : よかった。
ミノダ : 音に関しては柔らかいというか、まろやかというか、そういう感覚でずっと聴いてられる音だなと思って。そういう音のイメージみたいなものは、どうやって作ったのかなと。
大竹 : まろやかにしようというのは、あまりなかったかもしれないです。
須田 : 過去に比べてまろやかになったという感じですか?
ミノダ : そうですね。今回ギターの音とちょっと「キンキン」するような音もありつつ、そういう音色もあまりうるさく感じないというか。
大竹 : 今回はいろいろな音が何層にも重なっているレイヤー感を出したいというのがあって。
──メロディを追っていると、変なところから変な音が現れてみたいなことが多いですよね。
ミノダ : しかもそれがむちゃくちゃ微妙な音なんだよね。「アレ? そこだけ? おいしい音なのにそこしか使わないんだ」みたいな音が入ってたり。テクノとかハウスってそういうのあって「おいしい音が1音だけ入ってる」みたいな。あとはリズムがタイトでシンプルで、それ故に際立つというか。
須田 : ミツメのバンドとしての生々しさみたいなところは、今回はリズムの部分で出るアルバムだとは感じていたし、そういうところが出せると良いなとは思ってて。作業場でのデモ作りのとき、当初からウワモノは前作に比べてもけっこうダビングを重ねていく方向性なんだろうなというのは感じてて。それは細かくメンバーと話して方向性を決めていくという感じではないんですが、一緒に作業をはじめるとそうなっていく感じで。作業としてはパソコンに楽器をレコーディングしながらデモを作っていくという段階で、やっていると「こういう方向になっていくんだな」と感じていくものなんです。そのなかで、今回のアルバムは抽象的というか、音のレイヤーが重なって、包み込むような感覚でシンセが多く使われそうだなというのはあって。リズムに関しては、どちらかというとそうした音の属性のなかで隠し要素みたいな感じの魅力があるものになるなと、そうするとバンドとしての表現に幅が出るのかなと思っていて。ビートとしてはシンプルで、ところどころで細かい音をリズムに入れていったりというのはイメージとしてあったかもしれないですね。
nakayaan : 活動を続けていて、リズムが次第にシンプルになっていくというのはありますね。「どういうウワモノの音に、どういうベースがのると良いバランスになるのか?」それがなんとなくでもわかってきた感覚もあって。今回は音使いも複雑で、たくさんレイヤーを重ねる雰囲気が出てて、なおさらベースラインはシンプルにいこうと。そんななかでおもしろいことができたらいいなという感じで。だからほんのちょっとした工夫を重ねて、改良していくという。
ミノダ : それは自然にそういう方向にリズム隊のふたりで話し合って、そういう方向にいくんですか?
nakayaan : 普通のバンドってレコーディングのときのDTMって、誰かがまとめてひとりでやるようなイメージじゃないですか? 僕らの場合は「せーの」でそれぞれがDTMが作るというやり方なんですよ。知らない人が見たら、かなり異様な作り方じゃないかなと思います。「せーの」でループして、みんなで同じグルーヴを延々と聴いたりして、判断して、いろんな方法で試して組んでいくという感じで。試行錯誤して……わけわかんなくなることもありますけどね(笑)。
須田 : 川辺のメロディと、シンプルなギターのコードがわかるようなトラックがループされてて、そこにドラムだったらパットを叩きながら入力して。あとはそれぞれの楽器がつないであって、演奏しながら録っていって、それがまずはバンドとしてのデモになるんですね。それがまとまってきて良い感じだと思えたらスタジオに行って、それぞれの楽器を鳴らして先に進めて行くというような感じですね。
──なんか簡素なループに全員で音を試行錯誤しながら重ねて行くって、ダンス・ミュージックみたいな作り方ですよね。
ミノダ : そうそう。
大竹 : そういう共通点はあるかもですね。
アルバム『Ghosts』が生まれるまでの道のり
──今回のアルバムの制作期間自体はどのくらいかかっているんでしょうか?
川辺 : 「エスパー」のシングルを作っている時期にできていたに向けた曲がまずあって、シングル「セダン」に向けて作った曲があって。さらにアルバムを作るところで締切を設けてギリギリまでで沢山制作する、というような作り方をして。だから古い曲だと2016年の10月ぐらいの曲が一番古いですね。僕の弾き語りの段階だけの曲から言ったら。その後でアレンジも定期的に集まってやって、シングルとか別のリリースを並行しながら作っていって、ライヴもやって、最後に2018年の10月末からアルバムに向けてギュッと密度の濃い、アルバム・レコーディング自体に向けた作業をするという感じですね。
須田 : 10月ぐらいまで作業場でデモのアレンジを進めていく作業をして、10月末に締め切って、11月はスタジオで生のバンドの音としてアレンジを詰めていく作業をしていって。12月1日からレコーディング開始という感じでしたね。
川辺 : その10月の時点で、もともとあった20曲から11曲まで絞るという感じで。その時点では、各楽曲とも8割ぐらい見えているデモというものですね。そこから先に詰めていく作業は決まった9曲をバンドで詰めていくという感じですね。作曲ということで言えば、時期的にはバラバラなアルバムかな。曲順まで決めてからレコーディングに向けてアレンジを作っていったので。それはアルバム全体の聴きやすさにつながってきているなと思いますね。
ミノダ : 今回アナログも出すし、アナログの曲順のイメージって、CDと違うじゃないですか? 両サイドのそれぞれのはじまりと終わり、特にB面の1曲目とかでアナログのイメージが変わると思うんですけど。
大竹 : これはアナログが先ですね。アナログ・ファーストで曲順は作ってますね。
須田 : 実は、「セダン」でぱーっと明るくB面がはじまる予定だったんですけど、それはアナログ作るときに大エラーが起きて「なめらかな日々」からB面がはじまることになって。でも結果的には、すでにアナログで出ている「セダン」ではなく、音がいいと言われる外周にまだアナログ化されていない「なめらかな日々」がきたことは良かったのかなと(笑)。
ミノダ : アルバムの印象としては、あとはギターがすごいなという。1曲目からなんの音なんだろうっていうギターの音が……。
大竹 : 実はあんまりギターはメインじゃなかったんですよ。
ミノダ : 琴みたいな、シンセみたいな。
大竹 : ああ、それはシンセですね。
ミノダ : そうなんだ(笑)。
大竹 : あれはYAMAHAのシンセですね。
須田 : わかりづらい感じでアルバム通して全体的に入っているのかも。シンセのなかでも「ハープ」っていうモードの音を使ったり。パーカッションっぽい音もシンセに入っている音源だったり。だいたいその音はマオがひとりで入れていて。
大竹 : ほぼ1台のシンセから出てますね。
須田 : エマーソン北村さんが使っているDX-100ですね。
──あの、ショート・キーボードの。
須田 : そうですね。
ミノダ : エマさんのアルバムってRPGのBGMっていう感じがあって。たしかにこのアルバムにもそれを感じていて。
大竹 : FM音源なので、そういう時代性があるのかもしれません。
須田 : たぶん、ギターとかベースとかわかりやすい音以外で「なんだろう」っていうような音はほとんどそのシンセで作ってる。
ミノダ : ちなみにマオくんと、川辺くんのギターのバランス的にはどんな感じなんですか? 今回の作品。
川辺 : 僕は最初のデモの時点で弾いていたアコギが残っているぐらいで、ほとんどマオくんがやってて。彼の頭のなかだけに完成形がイメージされているギターが多いという感じですね。
須田 : 最初アレンジ作業がはじまったときは「ギター・オーケストラになりそうだな」ってなったのを今思い出しました。でも、そうしたらシンセを使うような曲もだんだん増えてきて。
ミノダ : 「ゴースト・ダンス」に入ってくる「さー」って感じの音はどうやって作ってるんですか?
川辺 : あれは最後の頃、1日中やってたよね。
大竹 : あの音はヴォーカル録っている裏で「なにか重ねたいな」ってギリギリに入れたやつですね。
ミノダ : 今回のアルバムはあの音みたいに後ろにかすかに重なって鳴っているみたいな多いよね。
大竹 : そういうのは結構いれてますね。
ミノダ : やっぱりそこにはこだわりが?
大竹 : 音像的には重層的なレイヤー感、アンビエント的な立体感を取り入れたいというのがあって。あとは単純に入っている音が多すぎて、ミックスのときにどれも大きくすると、収拾がつかなくなってしまうので(笑)。エンジニアとも時間を掛けて細かく調整していきましたね。今回のアルバムはミックスで出来ていったという感じの部分もはある。
川辺 : ミックスで変わった曲は結構多かったと思う。
nakayaan : 「エックス」 っていう曲とかは、ミックスで奥行き感が出たり。
須田 : ドラムにショート・デレイがかけてあったり、ミックスでさらに要素を重ねていった感じはありますね。パッとその音を聴いたときの印象っていうのには、隠し味として影響があるだろうなと思いますね。
ミノダ : 「ふたり」のギター・ソロはいいよね。
大竹 : あれはミニマル・ミュージック感、ライヒ的な感じで入れたくて。
そして話は歌詞へ
須田 : ここまでつっこんだサウンドの話は他の取材でしてないからおもしろいですね。
ミノダ : よかった!(笑) 前にレコード買うとかいうラジオ企画のときに、川辺くんとナカヤンについていったよね。
須田 : ナカヤンから「師匠助けて」って(笑)。
nakayaan : たしか「Time Machine Radio」の企画だよね、各年代のレコードをっていう。レコード屋にいって、最後はミックスするっていう。楽しくレコード屋さんを回った感じでしたね。
ミノダ : そのときに、川辺くんが「ミツメってバンドはどんなバンドですか?」っていう質問されて「素朴な楽曲をやっているバンドです」って言ったのがすごい気になってて……「素朴?」っていう。で、今回も素朴でかわいいって思ってて。あと歌詞とか見ると、後悔してる感じの印象を受けて、どういう感覚で詩を作ってるのかなと。
川辺 : タクロウくんと最初にジャケットの話をする前に、綺麗な雪山のイメージがまずあったんですよ。綺麗な雪山を見ると、春に思いをはせられたり、昼間吹雪いてないときはすごいきれいな感じがあるけど、夜に足を踏み入れると死にかけたりとか、すごい自然の厳しさがあって……なんかそういうような二面性のイメージがあって。でも、綺麗な雪山だけを描写しつつ、その怖さとか二面性が見えるような質感のアルバムにしたいなっていう話をしてたんですよ。それは漠然とあって。さらにサウンドがあがってきたときに、そういうことをイメージしながら歌詞は作ったんですけどね。
ミノダ : なるほどそういうイメージ。
川辺 : あと大きくインスピレーションを与えてもらった作品で芥川龍之介の「早春」というすごい短い短編があるんですけど。それは主人公が博物館で彼女を待っているんですけど、待っている間は時間をすごく長く感じる…… あと5分待ってこなかったら帰ろう……ということに葛藤して、30分ぐらい待って、結局帰るんですよ。その女性とは、それっきりになってしまうんですけど。10年後ぐらいに共通の男友だちと会ったときに、わりと最近、写真でその女性を見たことを告げられるんですね。ちょっとふくよかになって、子供も3人いるということも含めて知るんです。それだけの話なんですけど、そこにある時間の感覚って伸びたり縮んだりしているじゃないですか。待っているときの30分は永遠のように感じることもあれば、何十倍も過ぎてる時間でも、あっという間に感じることもある。そういう時間の伸び縮みは結構おもしろいなと思って。雪山が質感のイメージとしてあって、時間の流れというのが主題テーマとして全体的にあったというのが歌詞ですね。
ミノダ : タイトルも時間っぽいのが多いよね。
川辺 : 各曲のタイトルは僕が決めているんですけど、アルバム・タイトルになったときに「“時間”にちなみ過ぎても」というのもあって。サウンド的にも「不在」という部分、その二面性だったり、より時間の不在感が出てくるようなサウンドの質感があると思ったので『Ghosts』っていうのがはまって。
ミノダ : 「ディレイ」と「ふたり」でうしろでなにかしゃべってるじゃないですか? あれは何を言っているんですか?
nakayaan : 「ディレイ」のアウトロは、歌詞を台詞みたいにしてしゃべってます。「ふたり」は2番のメロで低い声で繰り返し歌っている感じですね。これも歌詞ですね。
ミノダ : なんか気になって、ナカヤンなのかな、なに言っているのかなって…… また聴いちゃう。
nakayaan : 正解です(笑)。
ミノダ : 今回は中国の6カ所もあって、国内6カ所、すごいね。ツアー。
川辺 : 今回は台湾もあるんでよかったら追っかけてきてください。台中ですね。
須田 : 台中のおいしい料理で、鳥のおなかの中にがっちりニンニクが詰まっているみたいなスタミナ料理があるそうなので、それ一緒に行きましょう。
川辺 : 食べ物の話だ(笑)。
ミノダ : 食べたい!
ミツメ『Ghotst』はコチラで販売中
ミツメの過去作も配信中!
LIVE INFORMATION
日本国内、台湾、中国を巡るリリース・ツアー
mitsume tour Ghosts 2019
日本国内
2019年5月26日(日)
@札幌Bessie Hall
2019年6月15日(土)
@福岡INSA
2019年6月22日(土)
@仙台enn 2nd
2019年6月29日(土)
@名古屋CLUB UPSET
2019年6月30日(日)
@大阪umeda TRAD
2019年7月10日(水)
@恵比寿LIQUIDROOM
台湾
2019年6/8(土)
@台中Legacy
中国
2019年7月13日(土)
@杭州MAO LIVEHOUSE
2019年7月14日(日)
@上海MAO LIVEHOUSE
2019年7月16日(火)
@成都NU SPACE
2019年7月17日(水)
@北京OMNI SPACE
2019年7月19日(金)
@武漢 VOX LIVEHOUSE
2019年7月20日(土)
@深圳 B10 LIVE
2019年7月21日(日)
@香港 Hong Kong MOM Livehouse
詳細はバンドの公式サイトにて
http://mitsume.me/
PROFILE
ミツメ
2009年、東京にて結成。4人組のバンド。
オーソドックスなバンド編成ながら、各々が担当のパートにとらわれずに自由な楽曲を発表し続けている。
そのときの気分でいろいろなことにチャレンジしています。
大竹雅生 川辺素 須田洋次郎 nakayaan
ミツメ公式サイト
http://mitsume.me/