2013/9/18~9/24の注目の2作品をレビュー!!
今週もたくさんの新譜が入荷しました! 全部は聴いていられない! そんなあなたのために、このコーナーでは、OTOTOY編集部がオススメする今週の推薦盤を2~3枚ピックアップし、ライターによるレビューとともにご紹介いたします。 音源を試聴しながらレビューを読んで、ゆったりとした時間をおたのしみください。あなたとすてきな音楽の出会いがありますよう。
Nightmares on Wax『Feelin' Good (Bonus Track Version)』
Nightmares on Wax / Feelin' Good (Bonus Track Version)
【配信形式】
mp3、WAV
【価格】
mp3 単曲 200円 / まとめ購入 1,500円
WAV 単曲 250円 / まとめ購入 2,000円
この音だよな。セクシーで太めのダビー・ベース、アーシーなヒップホップのビーツ、ス ウィートなソウル・フィーリング…WARP最古参の20年、 いやそろそろ25年選手か、ナイト メアズ・オン・ワックスの新譜は、まぁ、相も変わらず、その人の音だ。イビザに制作拠 点を移した前作 『Thought so...』から、5年ぶりの新作は『Feelin' Good』。まさにそ んなタイトルに相当しい。彼のファンには新作も相変わらず最高だということだけ言って おけば良いだろう。そうしたら、ニヤリと笑っ て、買ってくれるだろう? けど、彼のことを知らない人もいるだろうから、やっぱり説明をしておこう。ジャズやソ ウル、レゲエ、ヒップホップが溶け込んだ、じんわりとスピー カーから涌き出るインス ト・ブレイクビーツ。それが彼のトレードマークだ。KLFがアンビエント・ミュージック にて提唱した“チルアウト”という 概念を、ヒップホップのブレイクビーツとUKらしい ベース・カルチャーの低音の下で新たに展開させた人だ そう、そういう音なのだ。だから、ここには励ますような歌詞はないし、びしびしと胸が 高鳴るギターや激しいドラムもないし、青春のギスギスした激 情も気の効いたメロディ もファンタジーもない。心が躍るファンクネスと温かなフィーリングが穏やかに続く。雑 多な生活の中で感じるリラックスした リズムがここにある。まぁ、気に入らなかったら いいや、こういう音を欲している、そんな生活のリズムの人間もいることぐらい頭の片隅 に入れといて くれ。もし気に入ったらのなら、たまにはこっちにきて、太陽の下もいい な、そのへんのソファーの上でこれを聴きながらダベろうじゃないか。いや、 まぁ、そ ういうことなので、まずは聴いてみるといい。そうそう。そういうことだ。(text by 河村祐介)
NaotoHiroki&Karatesystems『Travel Sounds』
NaotoHiroki&Karatesystems / Travel Sounds
【配信形式】
mp3
【価格】
mp3 単曲 250円 / まとめ購入 2,000円
2000年代のJ-POPシーンを賑わせ、多くのヒット・ソングを生み出してきたORANGE RANGE。同バンドから、彼らの楽曲の作曲を手がけるギターのNAOTOとヴォーカルHIROKIによるユニット・プロジェクトが始動、NaotoHiroki&Karatesystemsがそれである。この2人が手を組むのだからORANGE RANGEをより濃くした音楽が展開されているのだろうと予想していた。しかし彼らのデビュー・アルバム『Travel Sounds』は、そんな決めつけを嘲笑うかのように、打ち込みを多用し、バンドの枠を超えたサウンドとなっている。ORANGE RANGEではクラブ・ミュージックやエレクトロ的な音楽をJ-POPに落とし込んでいたが、このユニットではそのNAOTOの音楽的趣向をそのままに深化。また、“ワールド・コラボレーション”をコンセプトにした今作は、レゲエ界の重鎮、リー“スクラッチ”ペリーやヒップホップ・グループ、ジュラシック5のメンバーAkil 、日本からはMONGOL800のヴォーカル、上江洲清作や元スーパーカーの中村弘二など国内のみならず世界中の様々なアーティストとコラボレーションするという驚きの展開。エレクトロニカやダブ、レゲエ、インド音楽、そして沖縄音楽などあらゆるジャンルをミックスした作品となった。 1曲目に収録されている「LOVE&PEACE 」では「君と僕を分けるフェンスを取り除いて手を合わそう」と歌われているが、まさにこのアルバムは国境もジャンルも関係なくボーダーレスに表現されており、彼らの平和への思いが作品のスタイルを通しても感じられる。(text by 鶯巣大介)