OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.37
OTOTOY編集者の週替わりプレイリスト&コラム(毎週金曜日更新)
シャムキャッツの10年を振り返り
東京を中心に活動している4人組ロック・バンド、シャムキャッツ。2009年、インディー・シーンに大きな衝撃を与えた1stフル・アルバム『はしけ』でデビューを果たした彼らも今年でデビュー10周年を迎えた。つい先日、新EP『はなたば』をリリースしたばかりだが、振り返って見ると彼らは年に1回、必ずアルバムもしくはEPのリリースをしてきた。ということで、彼らの10年(枚)を振り返っていこう。
まずは1stフル・アルバム『はしけ』。彼らのゆるさと遊び心が詰まった作品だ。そして初の1stミニ・アルバム『GUM』。サニーデイ・サービスやくるりのアートワークも手掛ける小田島等のジャケットが印象的なこの作品だが、サイケデリックなローファイ感や、様々な楽器を取り入れた、ユーモラスな作品になっている。〈P-VINE〉から初のリリースとなった『たからじま』は、爽快なロックンロールがなるエネルギッシュな1枚。
そしてシャムキャッツが大きな変貌を遂げた意欲作『AFTER HOURS』とその続編的に作られた『TAKE CARE』。これまで以上に“音”にこだわりながら、ネオアコを感じさせるコンセプト・アルバム。架空の物語を展開させてアルバム1枚を作り上げてしまう、彼らのストーリーテラーぶりには驚いたのを記憶している。
この2枚によってその存在感を確固たるものにさせた彼らは、自主レーベル〈TETRA RECORDS〉を立ち上げ、『マイガール』『君の町にも雨はふるのかい?』を立て続けにリリースした。それから2017年にリリースされ、「プレーン・ロック」を標榜した『Friends Again』では、そのソングライティングがよりシンプルに削ぎ落とされ、アコギをメインにしたアンサンブルが印象的な1枚になった。翌年、彼らの得意とするオルタナ・ロックやネオアコ、フォーク・ロックなどのエッセンスを取り入れながら、時にハウスやR&Bからの影響も感じさせる『Virgin Graffiti』をリリース。やはり彼らは常に“新しいシャムキャッツ”を追い求めていたのだ。
そして10年目となる今年、盟友・王舟を共同プロデューサーに迎え、軽やかでふくよかなソングライティングと、シンセを用いたヴィヴィッドな音像を映し出した新EP『はなたば』をリリース。これから彼らはどんな音楽に出会っていくのだろうか。リスナーとしてとても楽しみにしている。