今回は「歌モノ」でいってみましょい! : 『D.A.N.の新譜放談』第2回
1stアルバムのリリース告知とともに突如はじまった新連載、『D.A.N.の新譜放談』。第1回はなんとなくのキーワードを「ジャズ」として、OTOTOYで配信中のいろんな曲を聴きつつ、あーだ、こーだとしゃべってもらったんですが、D.A.N.の作品を読み解く上でもポイントとなりそうなワードが飛び交いました。第2回となる今回は“なんとなくのテーマ”を「歌モノ」に設定(他もあり)。みんなで感想を言い合いつつ、制作するときに意識した音の質感などなど、リリースが待ち遠しい1stアルバムについてもあれこれ語ってくれています。さらにさらに、今回はリリース直前のアルバム試聴会&生『D.A.N.新譜放談』的なトークの開催も決定です! 詳細は記事下部に。1回目を読んでない方はそちらもどうぞ!
D.A.N.独占ハイレゾ好評配信中
D.A.N. / EP
【Track List】
01. Ghana
02. Now It's Dark
03. Morrison
04. Beach (Shinozaki Sohei Remix)
【配信形態 / 価格】
[左]24bit/48kHz WAV / ALAC / FLAC / AAC
単曲 250円(税込) / アルバム 1,000円(税込)
[右]16bit/44.1kHz WAV / ALAC / FLAC、AAC / mp3
単曲 200円(税込) / アルバム 800円(税込)
アルバム購入で歌詞ブックレットが付属します
D.A.N. / POOL
【Track List】
01. POOL
【配信形態 / 価格】
[左]24bit/88.2kHz(WAV / ALAC / FLAC) / AAC
250円(税込)
[右]16bit/44.1kHz(WAV / ALAC / FLAC) / AAC / MP3
250円(税込)
アルバム購入で手書きの歌詞カード画像が付属します
『D.A.N.の新譜放談』第1回はこちら
今回は「歌」でやんす
──それでは新譜放談第2回、前回はインストが多かったので今回は歌モノを多めにセレクトしてます。早速聴いていきましょう。
The Jack The Move「Doublin' Down」再生
The Jack Moves / The Jack Moves
ビンテージ・ソウル界の新星
【Track List】01. All at Once / 02. Doublin' Down / 03. Day and Night / 04, Seasons Change / 05. Make Love / 06. Being with You / 07. All My Love / 08. Joyride / 09. Lovers Masquerade / 10. Lucky Charm / 11. We're Here Now / 12. Time & Enemy (Bonus Track) / 13. Kiss in the Dark (Bonus Track) / 14. Spend My Life (Exclusive Japan-Only Bonus Track)
解説 : シンガー / マルチ奏者のズィー・デスモンデスと、プロデューサー / ドラマーのテディー・パウエルの2人によるユニット。ニューヨークのスケートパークで知り合い、ヒップホップやソウルを通じて意気投合し結成。芳醇な60〜70年代ソウル名盤のような音楽性、そして音質。メイヤー・ホーソンのタキシードなど、ここ数年モダン・ヴィンテージ・ソウルがひとつのジャンルとして注目されるなか、その新星として高い評価を受けている。
桜木 : いい! モッキー(Mocky)感あるね。これはめっちゃ好き。
市川 : 使ってる楽器の感じもね。
桜木 : 僕らもこういう曲できそうだよね。ちょうどいま作ってるのがこういうライトで爽やかな曲だから。
川上 : ライトなやつやりたいね。
──D.A.N.の1stアルバムは統一感を出すためかもしれないけど、どちらかというとダークな雰囲気だから、あえてこういう曲を。黒人と白人のデュオで、ザ・ジャック・ザ・ムーブス(The Jack Moves)というグループです。
市川 : 一昨日くらいかな? ちょうどテル(川上)とタワレコで聴きました。もっとめっちゃファンキーな曲もありましたよね。すでに買いたいものリストに入ってました(笑)。
桜木 : 白人が歌うソウルってスタイリッシュですよね。僕もそういうのが好きで影響を受けてるところがあります。例えばタルク(Talc)とか。
──黒人のド演歌ソウルとはまた違うよね。
桜木 : もちろんそういうソウルも好きですね。
市川 : でも、これはもっとさらっとしてる。
川上 : トロ・イ・モア(Toro Y Moi)もそういうニュアンスがある気がします。
──こういうストリングスもののソウルももちろん好きですよね〜、この辺のヴィンテージ・ソウルとか呼ばれているソウル・リヴァイヴァルみたいなものって多いですが、普段からかなり聴いてる?
桜木 : 好き好き。聴いてますね。僕らのなかで最近はやってるのがジェイミー・ウーン(Jamie Woon)とかで。
市川 : あとさっき出たモッキーももちろん好き。
──D.A.N.は連載第1回で聴いたようなエレクトロ的な要素がふんだんに入った少しマイナーな音楽も好きだけど、こういうソウルなものも好きだよね。自分たちで作るときには、ポップスとして成り立つ、歌ものっていうのはやっぱり意識してる? それとも、あるときD.A.N.の曲でインストが出てくることもありうる?
桜木 : ありうるけど、僕としてはポップスを作りながらエクスペリメンタルなものも取り入れたいという感じですかね。それが1番バランスをとりやすい。
川上 : ポップスの要素があるほうがずっと聴いてられるしね。
──次はR&Bの歌モノで、後ろに狂気が潜んでるような曲を聴いてみましょう。みんなも知ってる、とある人が絡んでいます。
Eska「Rock Of Ages」再生
Eska / Eska
マーキュリー・プライズ2015 ノミネートで話題沸騰
【Track List】01. This Is How A Garden Grows / 02. Gatekeeper / 03. Rock Of Ages / 04. Boundaries / 05. She's In The Flowers / 06. Shades Of Blue / 07. Heroes & Villains/ 08. Heroes & Villains / 09. Dear Evelyn / 10. So Long Eddy / 11. Red / 12. Dear Evelyn (Song Version)
解説 : ポーティスヘッドやPJハーヴェイ、ジェームス・ブレイクといったすばらしいアーティストが受賞し、カッティング・エッジなポップ・ミュージック・シーンの章として注目度の高いマーキューリー・プライズ。2015年に本賞にノミネートされ話題となった、次代のオルタナティヴ・ソウル・クイーンにして、「ブラックミュージック版のジョニ・ミッチェル〜ケイト・ブッシュ」と称されるエスカ。そのミステリアスな歌声とともにマシュー・ハーバートらのプロデュースによるソウル、ジャズ、クラシック、民族音楽、フォーク、エレクトロニカ、音響系などが渾然一体となったサウンドは唯一無二の存在感を放つ。
川上 : はじまった瞬間からいいね、むちゃくちゃいい。
桜木 : こういうポップスとエクスプリメンタルな要素のバランス感にはすごく共感します。これ絶妙ですよね。
市川 : それでいてコード進行はオーソドックスですね。
──これはエスカ(Eska)という女性シンガーなんですけど、バックのプロデュースにはマシュー・ハーバートがいます。
一同 : ああ~!!!
桜木 : 葛西(敏彦 : D.A.N.を手がけるサウンド・エンジニア)さんが言ってたかもしれない! FKAツイッグスとは路線が違うR&Bで、ネナ・チェリーのようなフィーリングがある。ハーバートは結構好きだな。
川上 : 歌なしでもずっと聴けるよね。
市川 : ビート感がキャッチーで、そこまでのプロセスが少し面白かったり、他のいろいろなジャンルが入り込んできたりしてる。
川上 : すべてが考えられている。
桜木 : これ、ハーバート特有の気持ち悪さもありますね(笑)。でも意外とかなりアコースティック。
──それこそこの間のボウイのように、ミュージシャンありきみたいな感じになってきてるんじゃないかな?
桜木 : でもそれは回帰すべき点でもありますよね。
「ブライアン・イーノが絶賛」って売り文句がついてるものに弱い!
──次は歌モノだけどアンビエントに近くてR&Bテイストなものを聴いてみましょう。ファルセットで「桜木大悟感」つうか。本当D.A.N.の音が好きならストレートにさらっと好きになれそうなバンド。
Port St. Willow「Ordinary Pleasure」再生
Port St. Willow / Syncope
イーノも絶賛のNYブルックリンのマルチ・インストゥルメンタリスト
【Track List】01. Ume / 02. Ordinary Pleasure / 03. An Ocean We Both Know / 04. Atlas / 05. Motion / 06. Three Halves Whole / 07. Orbit Back, My Garden Home / 08. Syncope / 09. Opal
解説 : ブライアン・イーノに絶賛されたNYブルックリンのマルチ・インストゥルメンタリスト、ニコラス・プリンシペによるプロジェクト。ライやジェフ・バックリーとも比較されるニコラスのファルセット・ヴォイスと、室内楽、現代音楽などポスト・クラシカルな音楽性と、エレクトロニカ、アンビエント・ミュージックが溶け込んだサウンドで美しい世界観を描き出す。ティム・ハッカーや故・横田進への影響を公言するそのサウンドは、幽玄にしてエレガント。現在ブルックリンのアンダーグラウンド・シーンの芳醇さを示す才能のひとつ。
川上 : 僕らの新曲のビート感と似てる(笑)。
桜木 : あーわかった! ポート・セント・ウィロウ(Port St.Willowだ)! めっちゃ好き! もろ歌声がライ(Rhye)なんだよね。超ライなんだけど。
──もうちょっとライよりも、バックはジャズとか現代音楽、アンビエントだよね。
桜木 : そう、ジュリア・ホールター(Julia Holter)みたいな。この人はすごく好きだなあ。
──どんなところが1番ピンとくるの?
桜木 : やっぱり声ですかね。あとこのアンビエントなコードの響きとスケール感が広いところ。柔らかい光みたいな質感。
市川 : 生の音もいいよね。うん、アコースティックな鳴りとアンビエントのエレクトロニカの響きが混ざってるような感じがある。
──じゃあ、桜木くんはもともとこれは愛聴盤なんだ。もう愚問って感じで!
桜木 : たいていね、「ブライアン・イーノが絶賛」って売り文句がついてるものは大体好きなんだなと思います(笑)。ザ・ブックス(The Books)もそうでした。これは「金物の音」とか、自分でしっかり録ってるようなD.I.Y感があって、録る段階からしっかりこだわってそう。ドラムの録り方からすごい。
市川 : それにプラスして、アンビエントのリヴァーブの鳴りまでしっかり考えられてるような印象も受けるよね。
川上 : ああ、好きだわー、全部いい。
桜木 : ベッドルーム・ミュージックみたいな指向性だけど、それにとどまらずに想像力が広がっていくようなところが良い。
川上 : 最高だね、最近出たんですか?
──ちょっと前、1月の終わりくらいかな。
桜木 : めっちゃライなんだよね。ブラック・ミュージック的なところを差し引いた感じというか。
市川 : 声質がライ!
川上 : ビートは生寄りですよね。
桜木 : ミニマリズムに対するアプローチがライとは真逆というか。もしかしたらライより好きかもしれない(笑)。
──絶賛ということで(笑)。確かにD.A.N.はR&B的な要素もあるけど、それが表に出てるという感じだから、振れ幅的にはライよりこっちの方がグッとくるのかもね。
川上 : うん、ライよりずっと聴いてられる。
市川 : コード感とか音の柔らかさが耳に馴染む。
桜木 : コットンみたいな手触りで気持ち良い。
──新アルバムに収録されている「Time Machine」なんかはこういう質感とか、いまでたライなんかの感覚を目指してるのかなという印象を受けました。
桜木 : そうですね。ジンヤのベースにはそういう要素がある。
──ゴリゴリのファンクもやるけど、「Time Machine」で聴けるような、レイドバック感も出せるというのがD.A.N.の新アルバムを聴いてておもしろいなあと思った部分です。じゃあ、次もR&Bものを聴いてみます。
KING「THE GREATEST」再生
KING / We Are King
プリンスにも絶賛されたR&Bグループ
【Track List】01. THE RIGHT ONE / 02. THE GREATEST / 03. RED EYE / 04. SUPERNATURAL (EXTENDED MIX) / 05. LOVE SONG / 06. IN THE MEANTIME / 07. CARRY ON / 08. MISTER CHAMELEON / 09. HEY (EXTENDED MIX) / 09. OH, PLEASE! / 10. THE STORY (EXTENDED MIX) / 11. NATIVE LAND
解説 : 双子の姉妹アンバー & パリス・ストローダー、そして、彼女たちの友人アニータ・バイアスから成るLA発の3人組。名門バークリー音楽大学で出会い結成。2011年にリリースしたデビューEP『ザ・ストーリー』で高い評価を受け、ロバート・グラスパー・エクスペリメントの『ブラック・レディオ』にヴォーカリストとしてフィーチャーされてグラミー賞を受賞。さらにプリンスやエリカ・バドゥ、ザ・ルーツのドラマーのクエストラヴなど、業界のうるさ方たちも黙るような重鎮たちからの高い評価を受けている。ついにこのたびファースト・アルバムをリリースした。
川上 : 今日聴く曲、全部良いなぁ。あ! キング(KING)だ! 超良い! プリンスとエリカ・バドゥが絶賛してるっていう。
桜木 : それは間違いないやつだね(笑)。
──ケンドリック・ラマーが彼女たちの昔の曲をサンプリングしてたり、ロバート・グラスパーのアルバムで歌ったりしてる。
市川 : 80'sのディスコとか、ファンクとか、R&Bのオーソドックスなメロディー感の中に、現代的でユニークなアプローチがちょっとずつ入ってて、それがクセになる。
桜木 : ちょっとビート感がエチオピアン・ジャズみたいだなって。
──この曲はドラムの質感が変だよね。
川上 : PVを見たからっていうのもあるけどブラウン管から出てくるようなイメージ。
桜木 : だけどものすごくリッチで芳醇。
市川 : ヴォーカルのエフェクトに一瞬懐かしさを感じるけど、トータルでは新しい。
──世代的に、90年代のR&Bの質感に近いものを感じたりするんだけど。でもさっき言ったように、ドラムの質感は今っぽいものがいろいろ入ってる。
川上 : 今回の僕らのアルバムではこういう芳醇さとか、温かみを出せなかったんですよね。次回はこういう感じも取り入れていきたい。
桜木 : やっぱり1stアルバムを作って「よくできたな」という部分と、「こういうことできなかった」という部分がそれぞれ出てきてるんだよね。
川上 : この芳醇さ・温かみは好きだし、理想的だよね。
桜木 : いままでやってないけど、僕らはこういう質感を出すの得意だと思う(笑)。
川上 : ね(笑)。エレクトロ的な要素が今回は多かったし。
なんでジャズ・ピアノ!
──じゃあ、次はOTOTOYの他の担当からぜひ聴かせてほしいという飛び道具なので、覚悟して聴いてください(笑)。実はアイドルなんですけど。
BELLRING少女ハート「すなっちゃん・なっぽー」再生
BELLRING少女ハート / BEYOND(24bit/48kHz)
ご存知、ベルハーの3rdアルバム
【Track List】01. ヴァント! / 02. ホーネット'98 / 03. 憂鬱のグロリア / 04. The Victim / 05. Cold Flavor / 06. Manic Panic / 07. すなっちゃん・なっぽー / 08. いんざれいん、いんざだあく / 09. Cherry / 09. BEYOND / 10. Mr. メルシー / 11. チャッピー / 12. ROOM 24-7 / 13. 或いはドライブミュージック / 14. 或いはドライブミュージック / 15. asthma / 16. ぼくらは生きてる / 17. いんざれいん、いんざだあく(朝倉みずほ ver.) / 18. いんざれいん、いんざだあく(宇佐美萌 ver.) / 19. いんざれいん、いんざだあく(柳沢あやの ver.) / 20. いんざれいん、いんざだあく(カイ ver.) / 21. いんざれいん、いんざだあく(甘楽 ver.) / 22. いんざれいん、いんざだあく(仮眠玲菜 ver.)
解説 : 通称“ベルハー”。2012年4月に活動開始。サイケデリックからブチ上げロックまで! 変幻自在のアイドルユニットとして、その「独特すぎる」歌声も含めたサウンドも含めて大きな話題となる。2013年リリースの1stアルバム『BedHead』が数々の媒体で絶賛。ハイクオリティな楽曲と、ゆるくも激しいステージングで話題沸騰人気急上昇! 先ごろ待望の3rdアルバムをリリースしたばかり。
本作品に関する特集記事はコチラ
市川 : キングのあとにこれが来るとインパクトある(笑)。
一同爆笑
桜木 : ピッチからなにから、攻めてますね(笑)。
市川 : ある意味前衛的じゃない?
──この曲は後半の展開も聴いてほしいので、少し話しながら。これはBERLLING少女ハートというアイドルグループです。
桜木 : 名前がすごい!(笑)
──今のアイドルの流れに反して、加工なしで歌を作るというコンセプトがディレクターの田中紘治さんにはあるようです(記事参照)。
桜木 : なるほど。それは面白いですね。
川上 : え!? ちょっと待って(笑)。なんでジャズ・ピアノ、急に曲調が変わった(笑)。
──そうなんです、いきなりジャズになるっていう。ちゃんとしたジャズ・ピアニスト入れて。これもディレクターが好きでやってるみたいで。
桜木 : アイドルってこういうおもしろさがありますよね。っていうか、なんか変なうめき声が…… 。
──これはキース・ジャレットのオマージュだそうです。
桜木 : オマージュ!(笑) 。そのプロデューサーさん会ってみたいです。
市川 : 自分の好きなものをなんでも取り入れるスタンスなんですね。
川上 : これバック・バンドはちゃんした方々を呼んでるんですね、新しすぎる(笑)。
市川 : サイケだ。
川上 : あ、でもなんか急に馴染んできた。
──今回は飛び道具を入れてみました(笑)。
桜木 : カラオケで歌えないアイドルだけど、このピッチのズレのカッコよさにDNAっぽさを感じたり(笑)。
市川 : アート・リンゼイの方のね(笑)。
桜木 : マスを覆してほしいです(笑)。
ノンビートのテクスチャーのもの、ちょっとした音の変化でグッとくる
──という感じで歌系はこんな感じで。次は前回の続きのような、ジャズとエレクトロニカ系の新譜。ECMとか、現代音楽、ミニマルですね。
Nonkeen「Animal Farm」再生
Nonkeen / The Gamble(24bit/96kHz)
ニルス・フラームによるエレクトロニック・ミニマル・プロジェクト
【Track List】01. The Invention Mother / 02. Saddest Continent On Earth / 03. Ceramic People / 04. Animal Farm / 05. This Beautiful Mess / 06. Capstan / 07. Chasing God Through Palmyra / 08. Pink Flirt / 09. Re:Turn!
解説 : ピアニスト、コンポーサー、そしてエレクトロニック・ミュージックのプロデューサーという顔を持つニルス・フラームによる新たなプロジェクト。ニルス、フレデリック・グマイナー、セバスチャン・シングウォルドによるトリオ。彼のルーツでもある、欧州アヴァン・ジャズ〜現代音楽の牙城〈ECM〉の作品群を彷彿とさせるドローン、ミニマル、フリー・ジャズ、ディープ・エレクトロニクスが溶け合ったサウンドは、最近のポスト・クラシカル系の音源の新たな潮流の好調っぷりを象徴する。しかもリリースはテクノの名門で、2010年代に入ってまた新たな動きを見せている〈R&S〉。
市川 : ベタっと張り付いてくる音色の奥にまた別のものがあっていいですね。コード感がニルス・フラーム……。
──ご名答、これはノンキーン(Nonkeen)というニルス・フラーム(Nils Frahm)の新しいユニットですね。でこれは〈R&S〉っていう老舗のテクノ・レーベルから出てます。このレーベルは90年代に流行って、1度なくなってから2000年代に中身が入れ替わって復活して。初期のエイフェックス・ツインがここから出したりしてます。
桜木 : このレーベル、ジェイムス・ブレイク(James Blake)もいるんですね。
──初期だけね。
川上 : あ、この曲も良いですね~。
市川 : ダブっぽい。
桜木 : 均質なループ感がある中で不規則な音が鳴ってて、これは好みです。実はノイズ、アンビエントっぽい音色だけどビートはちゃんとあるっていうこのアプローチは今回のアルバムにも取り入れてるんですよね。
──そことメロディーの同居は1番難しいけど、D.A.N.としては達成したいところじゃない?
川上 : そうですね。ループだとわからない感じの、ノイズっぽいループ。
桜木 : やっぱり4小節なり8小節なりを同じようにやってたら全然おもしろくないからというのもあるし、なにかズレたりするのがミニマル・ミュージックの基本だと思います。
川上 : トリックとか無音を使い分けたいですね。
──じゃあ変なノイズとかがたくさん入ってる曲を聴きましょうか。
agraph「cos^4」再生
agraph / the shader(24bit/48kHz)
牛尾憲輔のソロ3rd
【Track List】01. reference frame / 02. poly perspective / 03. greyscale / 04. cos^4 / 05. toward the pole / 06. asymptote / 07. radial pattern / 08. trace of nothing / 09. div / 10. inversion/91
解説 : 石野卓球のサポートを務め、いまや電気グルーヴのライヴにおいてもある意味で“第3のメンバー”としてなくてはならない存在となった牛尾憲輔のメイン・ソロ・プロジェクト。3rdアルバム『the shader』は気の遠くなるような大量のエレクトロニクス、フィールド・レコーディングなどのサウンドを加工、配置し、構築されているという。一聴すると、彼のサウンドのキャラクターに変化はなさそうだが、ディープに聴き入ると全く別の世界が広がっているという怪作ともいえる深度の作品になっている。
本作品に関する特集記事はコチラ
桜木 : 完全にサブのこのノイズがグルーヴ感を作ってる。
川上 : 「Native Dancer」もこういう感覚のところあるよね。
市川 : キックもさっきと同じで異物感がある。
桜木 : ノンビートのテクスチャーのものって、ちょっとした音の変化でグッとくるところがおもしろいですよね。
──これはagraphっていう、電気グルーヴのサポートなんかをしている牛尾憲祐のソロ・プロジェクト。本人によると1曲に使うトラックの数がものすごいらしいんですよ。次の曲はストリングスなんですけど、後ろでノイズが40トラックくらい入ってるらしくて、狂ってますよね。ホワイトノイズが浮き沈みするのも故意だそうで。
市川 : ノイズの抜き差しだけでハッとしますよね。環境音っぽいノイズが入ってるような。
──今回新譜はこのような感じでしょうか。今はアルバムが完成した直後で、逆にやりたいことがいろいろ出てきてるとのことですが、3人の中でのマイブームを教えてください。
桜木 : 僕は最近ミニマル・テクノを聴きはじめたのでそれと、アンダーソン・パーク(Anderson paak)とか、そこらへんにはまってますね。あとAOKI takamasaさんとか。それと、アルビノ・サウンドに教えてもらって最近すごくハマったのがヤング・エコー(Young Echo)とかリヴィティー・サウンド(Livity Sound)とか。最高です。
川上 : 僕はもういろんな音楽のドラマーばっかり見てますね、当たり前ですけど(笑)。
市川 : 僕はそんなに深く掘ってないんですが、ハウスは今まで通り聴いてて、あとはジャズでレイ・ブラウン(Ray Brown)とか、ジャコ・パストリアス(Jaco Pastorius)をずっと聴いてますね。
取材 : 河村祐介
構成 : 稲田真央子
連載『D.A.N.の新譜放談』第1回はこちら
連載『D.A.N.の新譜放談』第3回はこちら
今月のD.A.N.情報
D.A.N.過去シングルも独占ハイレゾ好評配信中
D.A.N. / EP
【Track List】
01. Ghana
02. Now It's Dark
03. Morrison
04. Beach (Shinozaki Sohei Remix)
【配信形態 / 価格】
[左]24bit/48kHz WAV / ALAC / FLAC / AAC
単曲 250円(税込) / アルバム 1,000円(税込)
[右]16bit/44.1kHz WAV / ALAC / FLAC、AAC / mp3
単曲 200円(税込) / アルバム 800円(税込)
アルバム購入で歌詞ブックレットが付属します
D.A.N. / POOL
【Track List】
01. POOL
【配信形態 / 価格】
[左]24bit/88.2kHz(WAV / ALAC / FLAC) / AAC
250円(税込)
[右]16bit/44.1kHz(WAV / ALAC / FLAC) / AAC / MP3
250円(税込)
アルバム購入で手書きの歌詞カード画像が付属します
リリース・ツアー情報
D.A.N. presents 《Curtain》
1st Album『D.A.N.』Release One Man Live!!
2016年5月20日(金)@SHIBUYA WWW
SOLD OUT!
D.A.N. Release Tour “Curtain” 札幌
「FONS 3UP」
2016年6月25日(土)@札幌 KRAPS HALL
出演 : D.A.N. / The fin. / and more…
never young beach & D.A.N. W Release Tour
D.A.N. Release Tour “Curtain” 仙台
2016年7月03日 (日)@仙台 enn 2nd
出演 : D.A.N. / never young beach / Suchmos
D.A.N. Release Tour “Curtain” 大阪
2016年7月06日 (水)@大阪 Shangri La
出演 : D.A.N. / and more… ※ゲストアクト 5/15解禁
D.A.N. Release Tour “Curtain” 名古屋
2016年7月07日 (木)名古屋 APOLLO BASE
出演 : D.A.N. / and more… ※ゲストアクト 5/15解禁
チケット情報などは下記のアーティスト・ページで
>>D.A.N. アーティスト・ページ
PROFILE
D.A.N.
2014年8月に、桜木大悟(Gt,Vo,Syn)、市川仁也(Ba)、川上輝(Dr)の3人で活動開始。様々なアーティストの音楽に対する姿勢や洗練されたサウンドを吸収しようと邁進し、いつの時代でも聴ける、ジャパニーズ・ミニマル・メロウをクラブサウンドで追求したニュージェネレーション。2014年9月に自主制作の音源である、CDと手製のZINEを組み合わせた『D.A.N. ZINE』を100枚限定で発売し既に完売。6月11日に開催の渋谷WWW企画『NEWWW』でVJ映像も取り入れたアート性の高いパフォーマンスで称賛を浴びる。そして、トクマルシューゴ、蓮沼執太、森は生きているなどのエンジニアを務める葛西敏彦を迎え制作された、デビューe.p『EP』を7月8日にリリース。7月にはFUJI ROCK FESTIVAL '15《Rookie A Go Go》に出演。