■ 4位の仙台と6位の湘南50節終了時点で4位のベガルタ仙台と、6位の湘南ベルマーレの対戦。仙台は、3位の京都との直接対決を前に、絶対に落とせない試合である。
仙台は、<4-4-2>。GK林。DF菅井・岡山・木谷・磯崎。MF千葉・永井・ロペス・梁勇基。中島と関口の2トップ。FW萬代は出場停止。MFファビーニョ、FW中原がベンチに控える。
対する湘南も、まだわずかに昇格の可能性が残っている。GK金永基。DF山口・ジャーン・斉藤・尾亦。MF田村・坂本・鈴木将太・加藤。出場停止明けのエドワルド・マルケスと石原の2トップ。
■ 湘南の素晴らしいサッカー試合は、あとの無い湘南が素晴らしいサッカーを見せる。FWエドワルド・マルケスを中心とした鮮やかなパス回しで仙台のディフェンスを切り崩す。
先制点は前半14分。右サイドハーフのMF鈴木のクロスボールを、中央でMF加藤がヘディングですらすと、そのボールが予想外の軌道を描いて仙台ゴールに吸い込まれていった。
さらに、前半18分には、MF加藤が前線にロビングのパスを繰り出すと、そのボールを仙台のGK林が処理しきれずルーズボールになると、湘南のFW石原がフリーで無人のゴールに流し込んだ。湘南が、2対0とリードした。
絶体絶命の状態に追い込まれた仙台は、前半29分にFKのチャンスを獲得すると、MF梁勇基のクロスをDF岡山が執念で押し込んで1点差に迫る。
同点・逆転を狙う仙台だったが、後半19分に湘南に追加点を奪われる。左サイドでFKを得ると、MF加藤がファーサイドのネットに直接蹴りこんで、3対1とリードをひろげた。
仙台は、終了間際にMFロペスのPKで1点を返すが、反撃はそれだけ。結局、3対2で湘南が勝利し、J1昇格の可能性を残した。
■ 輝きを放つ両サイド4位の仙台にとっては非常に痛い敗戦となったが、仙台の出来が悪かったというよりは、湘南の出来が良過ぎた結果だろう。キーマンであるMFアジエルを欠いた攻撃陣だったが、アジエル不在の影響を全く感じさせなかった。
特に、両サイドからの攻撃が機能した。右のMF鈴木は抜群のスピードと積極的な仕掛けで何度も右サイドを突破し、精度の高いクロスを供給した。本格的なサイドアタッカー不在の湘南にあって、23歳の鈴木が台頭してきたのは大きく、前節もスタメンで出場し、ゴールもマークしている。
右サイドは鈴木の単独突破が目立ったが、逆に左サイドは、コンビネーションで崩すシーンが多かった。左サイドバックの尾亦、左ボランチの坂本、左攻撃的MFの加藤のトライアングルは、息もぴったりで、鮮やかな連携を見せた。
この試合の尾亦は、今シーズン見た中では、ピカイチのプレーを見せた。タイミングのいいオーバーラップと左足のクロスは大きな魅力である。この日の出来であれば、J1のどのチームでも、レギュラーポジションがつかめるだろう。
■ 加藤望のための試合ただ何と言っても、この試合は加藤望のためのゲームであった。38歳のベテランは、2ゴール1アシストと全でのゴールに絡んだ。
左サイドを主戦とし、抜群のキープ力と飛び出しの鋭さは、柏レイソル時代と、何ら遜色ない。これでリーグ戦10ゴールとなり、自身初の二桁ゴールとなった。38歳という大ベテランの活躍は、脅威である。
大衆の興味を惹くために、若い選手を持ち上げるのもいいことだが、マスコミには、こういう選手を、ぜひ取り上げて、クローズアップしてほしい。
■ 萬代不在の影響仙台は、後手に回って、痛い黒星を喫した。MF梁勇基を中心に、仙台らしいサッカーは出来ていたが、ジャーンと斉藤の壁に阻まれてしまった。
中島と関口の2トップは運動量豊富で、ドリブル突破も効果的だったが、出場停止の萬代不在の影響は少なくなかった。代役の関口も悪くなかったが、ロペスをもっと前目で起用するアイディアや中原を先発で起用することも考えられたが、望月監督はオーソドックスな戦法で試合に臨んだ。萬代がいれば、ジャーンや斉藤に対抗できたかもしれないが、まあ仕方ない。
■ 素晴らしい雰囲気の素晴らしい試合それにしても、テレビ画面を通して伝わってくるユアテックスタジアムの雰囲気は最高だった。J1昇格という夢に向かって、選手とサポーターが一丸となって戦っている姿が、ひしひしと伝わってきた。
その最高の雰囲気の中で、ベガルタ仙台のイレブンも湘南ベルマーレのイレブンも、立派な試合をした。前半に見せた湘南の両サイドからの攻撃は、技術とアイディアが融合した実に見事なサッカーであったし、追いつくためになりふり構わずに攻め立てた、ベガルタ仙台の攻撃も迫力満点だった。
それにしても、この試合は、トップリーグの試合ではなく、ディビジョン2の試合であった。層考えると、日本サッカーを取り巻く環境は、非常に贅沢になったなと感じる。
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カレカにしかられていたころからの望さんを知っていますが、毎年毎年なんで代表に呼ばれないんだろうと不思議でなりません。
自分がもし柏オーナーなら何億でもはらって3日土下座してでも連れ戻したい素晴らしいオトコのなかのオトコですね。
>>> shinさん
コメントありがとうございます。
本当に、加藤望の活躍はもっと取り上げられるべきですし、称えられるべきだと思います。カズ&ゴンもよく頑張っていますが、レギュラーで出続けている加藤は、素晴らしいと思いますね。
今、J2だとしても38歳もの年齢で、しまおMFで2桁得点を達成できる選手がどれほどかと。確かにFWよりは消耗が激しくないかもしれない、でもフィジカルテストではいまだチーム上位の成績をはじき出し技術も十分。カズやゴン中山より注目されてもいい選手だとは思うのですがね。もったいない気がします。
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