■ 残留争い15位の大分トリニータが名古屋グランパスと対戦。名古屋はすでにJ1残留を決めており、大分はこの試合に勝てば、J1残留が決まる。
ホームの大分は、<3-5-2>。GK下川。DF深谷・森重・上本。MFエジミウソン・藤田・梅田・根本・鈴木。FW高松と山崎。GK西川とMF梅崎は五輪代表に召集されているため、欠場。
対する名古屋も、<3-5-2>。GK楢崎。DF吉田・大森・阿部。MF吉村・中村・藤田・津田・小川。ヨンセンと杉本の2トップ。こちらもMF本田が五輪予選のため欠場。
■ ハットトリック試合は、前半18分に名古屋のFWヨンセンがミドルシュートを決めて先制する。大分は、後半から、右MF梅田に代えてFW前田を投入し攻撃的な布陣に変更すると、後半11分に、右サイドからのクロスをDF森重がシュートし、そのこぼれ球を、大分のFW高松がフリーで押し込んで同点に追いつく。
残留を確実にするために勝利が欲しい大分だったが、後半22分に、CKからFWヨンセンにヘディングゴールを決められると、後半37分にもMF藤田のパスを受けたFWヨンセンにハットトリックとなる3点目を奪われて万事休す。
結局、3対1で名古屋が勝利し、大分は残留を決めることは出来なかった。
■ ヨンセンの決定力この試合では、やはりFWヨンセンの決定力が光った。5度の決定機を作り、そのうちの2度は相手GKにはじかれたが、3度ネットを揺らした。3ゴールとも、効果的な時間帯のゴールであり、彼の決定力で呼び込んだ勝利となった。
確実なポストプレーに加えて守備でも献身的で、まさしく優良助っ人であるヨンセンの貢献度は高く、今シーズンは、ヨンセン不在の時期に勝ち点を伸ばせず13位に低迷しているが、ヨンセンの圧倒的な実力を考えると、致し方ないという気もする。この選手の穴を埋めるのは、事実上、不可能である。
■ 3バックの左で異彩を放つ阿部名古屋は怪我人が続出していることもあって、MF小川、DF吉田、FW津田といった若手選手がチャンスを与えられているが、その中でも、3バックの左に位置する阿部の存在が光る。171cmのレフティは、本職はサイドハーフであるが、フェルフォーセン監督はセンターバックで起用し続けており、ポジションを確保しつつある。
そのイメージは、トルシエ監督時代の中田浩二。彼の高精度のキックが、ビルドアップでは大きな役割を果たしている。単純な左足のキックの精度では、Jリーグでもトップ5に入る阿部の左足が、最終ラインで生きるようになった。
■ 久々のスピラール名古屋は、DFスピラールが、開幕戦以来の出場。途中出場であったが、積極的な攻撃参加も見せて、復調をアピールした。
開幕戦で大怪我をして今シーズン絶望かと思われたが、終盤になってピッチに帰ってきたのは、サポーターには吉報となった。来シーズンの去就は未定だが、大きな戦力であったのは間違いない。
■ 前田俊介の効果前半はいまひとつだった大分は、後半開始からFW前田を投入。流れを呼び込んで同点ゴールを奪った。前半は、2トップの高松と山崎の距離が遠く前線でボールがおさまらなかったが、前田が1.5列目的なポジションに入ったことで、タメが作れるようになった。
ただ、MF高橋、MF梅崎というキープレーヤーがいなかったとはいえ、大分の攻撃にはリズムがなく、ビルドアップも単調だった。メンバーは揃ってきているので、シャムスカ監督の腕の見せ所ではあるが、まだどういうサッカーをするのか、見えてこないままである。
■ 勝負の一年残り2試合を残しているが、普通に考えると、残留は間違いないだろう。したがって、来シーズンのことも考えて戦っていきたいところであるが、間違いなく、勝負のシーズンになるだろう。
来シーズン、九州のチームは、4チーム(鳥栖、福岡、熊本、大分)となりそうだが、J1で戦うのは、大分トリニータだけである。したがって、大分には、九州の代表として、立派なサッカーを見せる義務がある。
チームも安定期に入り、観客動員も上位に位置するなど、土台は出来てきているので、そろそろ、優勝争いに食い込んでもらいたいところである。
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