■ 稀に見る熱戦になった千葉 vs 秋田 4月21日(日)に行われた11節のジェフ千葉 vs ブラウブリッツ秋田の試合は稀に見る熱戦になったが後半45分と後半52分にゴールを奪ったアウェイの秋田が逆転で勝利した。立ち上がりから防戦一方の展開になった秋田は後半2分に左SBのDF蜂須賀が2枚目のイエローを受けて退場。10人になった。後半21分にはMF田口に先制ゴールを許して数的不利の中、追いかける展開になったが鮮やかな逆転勝利を飾った。
後半45分に途中出場したFW半田航のミドルシュートが決まって1対1の同点に追いつくと後半49分にはFW青木翔のミドルシュートが相手のハンドを誘ってPKを獲得。逆転する絶好のチャンスを迎えたがキッカーを任されたFW青木翔のPKは失敗。GK藤田和がビッグセーブを見せたが直後のCKでDF才藤がヘディングシュートを決めて2対1と逆転に成功した。秋田にとっては「クラブ史に残る劇的すぎる勝利」となった。
シュート数は千葉が25本だったのに対して秋田は5本のみ。「パス数」も千葉が501本だったのに対して秋田は144本のみ。「クロス数」も千葉は38本だったが秋田は6本だけ。千葉の「ボール支配率」は67.8%だった。「ペナルティエリア進入回数」に至っては千葉が24回だったのに対して秋田はわずか2回だけ。「CK獲得本数」も千葉が12回で、秋田は2回だけ。ただ、秋田の2回目のCKで劇的な逆転ゴールが生まれた。
■ 『4対1くらいで千葉が勝利するのが妥当」 ゴール期待値も千葉は「3.765」だったのに対して秋田は「1.128」だった。秋田はPKを獲得したので「ゴール期待値」はやや高めの数字になっているが『4対1くらいのスコアで千葉が勝利するのが妥当」と言える試合展開だった。千葉にとっては悪夢のような試合になった。後半21分の田口の先制ゴールの場面以外にも千葉は数えきれないほどたくさんのチャンスを作りながら仕留められなかったことが響いた。
秋田のキーパーのGK圍の活躍は目立ったが千葉にとって最も悔やまれるのは後半36分のFW小森の逸機になる。秋田のCBのDF小柳のキーパーへのバックパスが弱くなってFW小森がボールを奪取。キーパーのGK圍は大きく前に出ていたので「ほぼ無人のゴールに流し込むだけ。」という大チャンスだったがFW小森のシュートは枠を捉えることは出来ず。突き放す2点目のゴールを奪えなかったことが響いた。
この場面は大きな話題になっているが後ろからMF岡庭が全速力で走りこんできており、FW小森が後方にいたMF岡庭へのパスを選択していたら相当な確率でゴールになっていたと思われる。もちろん、「FW小森からMF岡庭へのパスがズレてしまう可能性」、「MF岡庭がボールコントロールをミスする可能性」、「ドフリーのMF岡庭がシュートを外す可能性」はゼロではないが95%くらいの確率でゴールになる状況だった。
■ 『チームの勝利が一番に優先されないチーム』 秋田のDF岡崎亮やDF才藤はゴール前に戻ろうとしたが全く間に合っていなかった。FW小森は「利き足である右足での巻いたシュート」を選択したがゴールまでの距離は少しあったので枠をとらえることが出来ない確率はそれなりに高かった。当然、キーパーのGK圍の体に当たらないようにシュートを打つ必要性もあった。「無人のゴールへのシュート」ではあったがゴール確率は70%~80%くらいまで下がってしまう。
試合後に千葉の小林慶監督は『チームの勝利が一番に優先されないチームであるんだなと、そういうプレーがピッチ上で出てしまったことが一番悔しいです。』とコメントしている。後半36分にFW小森がパスを出さずに自らシュートを放ったプレーに関してのコメントであることは間違いないがこういう事象が発生したときに試合後に監督がほぼ名指しで該当する選手(の選択)を批判するというのはかなり珍しい。
あくまでも日本国内に限定した話になるが「選手の選択を尊重してかばうコメントを出す監督が大多数を占める。」と思われる。当然、10人の相手に逆転負けを喫した直後なので監督自身も平常心を保つのは難しい。時間が経過した今の心境は異なる可能性もあるが「試合後には選手たちにも個別の名前も出して話をしました。」と語っている。『チームの勝利が一番に優先されないチーム』という言葉はかなり重い。
■ 小林慶監督のコメントについても賛否両論 FW小森はここまで11試合で6ゴールを挙げている。1つ前の10節の大分戦(H)でも先制ゴールを決めている。「結果が出なくて周りが見えなくなっている。」というわけでは全くない。2023年は33試合で13ゴール3アシスト、2024年は11試合で6ゴール1アシスト。もともとアシスト数の多い選手ではないが「アシストでは満足できない。自らのゴール数を積み上げることに重きを置くタイプの選手」ということが出来る。
FW小森がパスを出していたら高確率でMF岡庭がゴールを決めて千葉は勝利していたはず。彼に対する批判の声は少なくないが「FW小森はストライカーなのでシュートを選択した判断は全く間違いではない。」という見方も出来る。一方、FW小森のシュートが決まっていたら「なぜ、パスを出さなかったのか?」という話には絶対にならない。「シュートを決められなかったことがとにかく悪い。」という考え方もできる。
FW小森の選択に関しては賛否両論あるが、小林慶監督の名指しでの批判についても賛否両論あると思う。自チームの監督からプレー選択を批判されて『チームの勝利が一番に優先されないチームであるんだなと」という風に言われるのはなかなかショッキングである。「貪欲にゴールを狙い続けることができる点」はFW小森の武器の1つなので本件が彼のプレースタイルにどんな影響をもたらすのか?は興味深い。
個人的な意見を述べると彼はストライカーなので「シュートを狙った判断」は全く間違いではなかったと思う。高さやスピードやパワーといった身体能力に秀でた選手ではFW小森のようなフォワードがゴールを積み上げようと思ったらある程度はエゴイスティックにプレーするしかない。この件をきっかけに過剰に周りのことを気にするようになってシュートを打てる場面で打てなくなったとしたら大きな損失である。
※ 投稿日:2024年3月20日(水) (総再生数:5,116回) ※ ナレーションは「音声読み上げソフト」を使用しています。 ※ 一部、訛りがありますが気にせずにスルーしてください。 VIDEO 関連エントリー 2024/01/14 【J1:順位予想】 2024年の予想の受付を開始しました。 (現在の参加者:344名) 2024/01/09 【J2:順位予想】 2024年の予想の受付を開始しました。 (現在の参加者:187名) 2024/01/10 【J3:順位予想】 2024年の予想の受付を開始しました。 (現在の参加者:91名) 2024/02/09 【J2編】 今オフの補強の最終評価 ~1:山形、2:岡山、3:千葉、4:鹿児島、5:群馬~ 2024/02/10 【J2編】 今オフの補強の最終評価 ~6:栃木、7:清水、8:藤枝、9:山口、10:愛媛~ 2024/02/10 【J2編】 今オフの補強の最終評価 ~11:秋田、12:仙台、13:横浜FC、14:長崎、15:徳島~ 2024/02/11 【J2編】 今オフの補強の最終評価 ~16:水戸、17:いわき、18:大分、19:熊本、20:甲府~ 2024/02/21 【生観戦:金沢×富山】 金沢ゴーゴーカレースタジアムのこけら落としに行ってきた。 (前編) 2024/02/21 【生観戦:金沢×富山】 金沢ゴーゴーカレースタジアムのこけら落としに行ってきた。 (後編) 2024/04/23 全エントリーの一覧 (2018年-2023年)
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