■ 第3クールの最終戦勝ち点「58」で4位の東京Vと、勝ち点「56」で7位の湘南の対戦。この試合が、第3クールの最終戦となる。
アウェーの東京Vは、<4-5-1>。GK高木。DF海本・土屋・戸川・服部。MF大野・菅原・飯尾・広山・ディエゴ。1トップでフッキ。
対する湘南は、<4-4-2>。GK金。DF山口・田村・ジャーン・尾亦。MF坂本・北島・加藤。アジエル。石原とエドワルド・マルケスの2トップ。
■ フッキの個人技試合は、前半14分、湘南のCKからのカウンターで、FWフッキが相手DFと1対1になると、DFを振り切ってから、左足で突き刺して、先制する。
MFアジエルを中心に攻め込む湘南だったが、前半のロスタイムに、DF田村が東京VのMFディエゴを倒したとして、2枚目のイエローカードで退場。10人での戦いを強いられる。
後半は、前半とは逆に、湘南がボールをキープし、東京Vがカウンターで攻める展開になるが、東京VのFWフッキが再三、ドリブルとシュートで湘南DFを混乱に陥れる。
湘南は、FWエドワルド・マルケスが個人技から、決定的なシュートを放つも、ポストに嫌われて、同点ゴールはならず。残り10分を過ぎると、DFジャーンも前線に押し上げて、パワープレーを試みるが、なかなか、効果的なクロスが上がらず、万事休すかと思われた。
■ これで試合は終わらなかった。しかしながら、この試合は、簡単には終わらなかった。
もうこれまでかと思われた後半ロスタイムに、湘南が劇的な同点ゴールを挙げる。ルーズボールを拾ったMF坂本が、相手DFの広山を振り切って、左サイドからグラウンダーのクロスを送ると、最後は、FWエドワルド・マルケスがフリーで豪快に蹴り込んで同点に追いつく。
後半38分に、DF土屋が退場になって、数的同数となってからの東京Vは、湘南のFWエドワルド・マルケスのマークがルーズになっていて危険な兆候が出始めていたが、ロスタイムに大きな代償を払うこととなった。
これで、完全に勢いに乗った湘南は、次のプレーでFKを獲得すると、FWエドワルド・マルケスのクロスボールを、DFジャーンが会心のヘディングシュート。しかしながら、これは、東京VのGK高木が、ファインセーブでゴールは許さない。
そして、そのあとの、東京Vのカウンターで、FWフッキが、相手DF3人にユニフォームをつかまれながらもゴール前に突進。湘南のMF坂本が、懸命に足を伸ばしてクリアを試みるが、そのボールは、東京VのMF金澤の足元へ。MF金澤は、ペナルティエリアのやや外側から、フリーで強烈なシュートを放ったが、これは、惜しくも左にそれて、勝ち越しゴールはならず。
ジェットコースターのような、ラストの攻防は、ようやくここで終了。1対1という結果に終わったが、湘南にとっては、勝利にも値する勝ち点1を獲得した。
■ ターニングポイントになるか?湘南にとっては、この試合は、今シーズンを振り返ったときに、ターニングポイントとなる試合となるかもしれない。
前半のロスタイムに田村が退場になって10人となったが、最後の最後まで走り抜いた選手たちの姿は、感動的であった。確かに、ホームゲームということもあって、出来れば、勝ち点3が欲しい試合であったが、それでも、木・日・水・月という、ハードな日程にも負けずに、チーム一丸となってゴールを目指したその過程が、J1昇格という目標を持つチームを、ワンランク上のチームに導くかもしれない。
■ 感動的な坂本紘司中でも、MF坂本のプレーには、心を打たれた。前半36分に、イエローカードを受けた坂本は、次の2試合が、出場停止になってしまった。J1昇格をかけて戦う湘南にとっては、あまりにも痛い坂本の出場停止であり、イエローカードの提示を受けたときの、坂本のうなだれぶりは、印象深い。
しかしながら、彼は、それ以後の残された時間で、次の2試合分を走り回った。ロスタイムには、ゴール前まで駆け上がって、FWエドワルド・マルケスのゴールをアシストし、さらには、最後の東京Vのカウンターアタックを、文字通り、死ぬ気で止めにかかった。試合終了後、フラフラになって、意識ももうろうとしたままの坂本の姿は、感動的なシーンであった。
■ エドワルド・マルケスの生かし方湘南のFWエドワルド・マルケスは、ストライカーというよりは、チャンスメーカーといったタイプである。したがって、マルケスが加入したあとの湘南は、MFアジエル以外にも、攻撃の基点が出来るようになったので、攻撃の幅が大きく広がったといえる。
しかしながら、マルケス自身が、なかなか、ゴールを生み出せず、相方のFW石原やFW原に負担がかかる状況になっていて、得点力という意味では、不足していた感もあったので、ようやく、マルケスがゴールを決めて、勝ち点を獲得できたというのは、今後にとっては、大きなことだろう。
非常に技術のある選手なので、のっていければ、ゴールを量産できそうなキャパシティを持つ選手である。間違いなく、第4クールの湘南の鍵を握る選手であるといえよう。
■ 悲観する必要はない東京V勝ち点2を失った形となった東京Vだが、まったく、悲観する必要はないだろう。前半から、相手のシュートに対して、体を張って防いでいったDF陣の心意気は、これまでの試合には、なかなか見られなかった部分であり、選手たちの、J1昇格にかける気持ちが伝わってくるプレーだった。
前節の草津戦と比べると、攻守とも、非常に良くなっていたが、その一番の理由は、MF名波を外して、本来はフォワードの飯尾を左の攻撃的MFで起用したことだろう。これが大成功し、閉塞感が漂っていた東京Vのムードを一変させたといってもいいだろう。
飯尾自身が、ボールを保持して、ドリブルで仕掛けたり、シュートを放つシーンは少なかったが、それでも、フッキとディエゴの周りを献身的に動いて、攻撃のチャンスを拡大させて、さらには、不慣れなはずのディフェンス面でも、大きな貢献をした。
どうしても、フッキやディエゴに注目が集まるが、J1昇格に向けて、鍵を握るのは、そのサポート役の選手になるだろう。MF名波の使い方を含めて、ラモス監督が、どういう選手起用をするのか、非情になりきれるのかが、大きな分岐点になるだろう。
■ 今シーズンのベストゲームの1つこの試合は、月曜日のナイトマッチということもあって、観衆は、3982人であったが、そのすべての観衆の心に響くだけの、素晴らしい試合となった。間違いなく、今シーズンのベストゲームの1つとなった。
「平塚にはベルマーレがある。」と、そんな言葉を、ベルマーレのサポーターが胸を張って口にすることのできるチームに、坂本率いるベルマーレは、舞い戻ったといえる。来シーズン、黄緑色のユニフォームが、J1リーグに帰ってくるかもしれない。
湘南ベルマーレ:採点GK:金 6.5
→ 安定したキャッチング。
DF:山口 5.0
→ 攻守に苦しかった。
DF:ジャーン 6.0
→ フッキのスピードにはついていけなかったが、存在感は抜群。
DF:田村 4.5
→ イエロー2枚で、退場。
DF:尾亦 5.5
→ 前半は不発も、徐々に攻撃に絡み始めた。
MF:北島 5.5.
→ よく、スペースをケアした。
MF:坂本 7.5
→ 獅子奮迅の働きも、次節から出場停止。
MF:加藤 5.5
→ 田村の退場に伴って、前半で交代。
MF:アジエル 5.5
→ 徹底マークに苦しんだが、キープはさすが。
FW:エドワルド・マルケス 7.0
→ 値千金の同点ゴール。
FW:石原 6.0
→ 惜しいシュートもあった。
サブ:松本 5.5.
→ 最後まで、よく守った。
サブ:永里 5.5.
→ うまく、ボールを展開した。
東京ヴェルディ:採点GK:高木 6.0
→ ロスタイムに、ジャーンのシュートをスーパーセーブ。
DF:海本 5.5
→ 攻撃参加は、控えめだった。
DF:土屋 6.5
→ 鋭い読みは、J2レベルを超えている。
DF:戸川 6.0
→ うまく、対応していたが・・・。
DF:服部 5.5
→ 土屋の退場後に、チームを落ち着かせたかった。
MF:菅原 5.5
→ アジエルを自由にしなかった。
MF:大野 5.5
→ 守備では貢献したが、攻撃はいまひとつ。
MF:広山 5.0
→ 最後の坂本への対応は、悔やまれる。
MF:ディエゴ 6.5
→ 突進力が戻ってきた。
MF:飯尾 7.0
→ 鋭い動きで、チームを活性化。
FW:フッキ 6・5
→ 先制ゴールは見事だったが、追加のチャンスを決めきれず。
サブ:萩村 5.0
→ マルケスを自由にしすぎた。
サブ:佐藤 5.5
→ 最後は、左サイドバックでプレー。
サブ:金澤 5.5
→ 決定機を外した。
フッキ (ふっき) 2006/06/25
【札幌×東京V】 フッキの才能 2007/03/05
【東京V×草津】 圧巻のフッキ 2007/05/06
【京都×東京V】 ラモス監督の最期? 2007/09/10
【湘南×東京V】 3982人の目撃者 2007/09/15
「個の力」というフレーズにだまされるな!!! 2007/09/30
【東京V×札幌】 ラモスヴェルディ 2位浮上 2007/12/03
J2ベストイレブン選出 (2007年) 2008/04/03
もうフッキのプレーは見たくない。 2009/01/07
【J1】 平均シュート数ランキング ベスト100 (2008年版) 2009/02/12
【Jリーグ】 史上最高のフリーキッカーは誰だと思いますか?
- 関連記事
-