■ 柏スタジアムでのJ1J1復帰を果たした柏レイソルが、ホームにジュビロ磐田を迎えた開幕戦。磐田は、エースFW前田とGk川口が怪我のためベンチ外。<4-3-1-2>システムで、西と太田が2トップを組んだ。対する柏は、<4-2-3-1>。FWはフランサの1トップ。鈴木達也が右サイド、菅沼実が左サイドに入った。
試合は、立ち上がりは、磐田が激しいプレスと素早い攻撃で柏を翻弄するが、前半24分のフランサの先制ゴールで流れは一変した。左サイドでボールを受けた鈴木達也のシュートが相手DFに当たってコースが変わり、そのシュートはクロスバーにはじかれたが、FWフランサがつめてゴールに押し込んだ。
リズムを失った磐田は、後半開始からFWカレンを投入し攻勢をかけるが、後半12分に、フランサのパスを受けたMF菅沼が追加点のゴール。その後も、フランサと菅沼が、それぞれ、自身2点目のゴールを決めて4対0で勝利。名古屋から移籍してきた、古賀を中心とした守備もほころびを見せず、完勝した。
■ ナイーブさを露呈した磐田立ち上がり15分ほどの磐田のサッカーは、非常に良かった。前線からの激しいプレスで柏にシュートチャンスすら作らせず、攻撃面でも流動的なポジションチェンジで柏DFを翻弄した。ただ、FWフランサの先制ゴールで、一気に劣勢となった。
昨日のFC東京と同じで、両サイドバックを含めて攻撃的に戦いたいチームが先制点を奪われると、それまで以上に攻撃色を強めて反撃を試みるものの、その裏のスペースをつつかれて、カウンターから失点を喫することになった。先制点を取られた後、追いつくことも重要だが、それと同じくらい2点目をやらないことも大事である。MF福西や名波といった、ベテランを放出したマイナス面といえるのかもしれない。
■ 機能しなかったトリプルボランチ磐田のシステムは、昨シーズンの<4-2-2-2>から、<4-3-1-2>にシフトチェンジしている。福西の移籍とパラマの加入が、シフトチェンジの理由のひとつだが、この試合では機能していなかった。
ボクは、ダブルボランチと比べて役割分担が不明確になるので、あまりトリプルボランチというのは好きではないのだが、磐田も、ファブリシオ・菊地・パナマの3人の距離感がいまひとつでスムーズではなかった。
■ 大敗の中の光明・成岡0対4と予想外の大敗を喫した磐田だが、光明はあった。それが、トップ下で起用された10番成岡のプレーぶり。後半に右サイドを突破したカレンからの折り返しのボールをふかしてしまった逸機のシーンは悔やまれるが、ボールをもって突破するときの力強さは目を見張るものがあった。
ユース時代から期待され続けてきた逸材だが、昨シーズンまでは、チーム内でもポジションをつかめずに来ていたが、今シーズンは、福西の移籍もあり大きなチャンスが到来した。結局、ゴールもアシストも出来ず、劣勢のときにチームを好転させることは出来なかったが、殻を破りそうな気配が伝わってきた。期待できそうだ。
■ ドリブル突破が光った菅沼と鈴木の両サイド圧勝劇の主役となったのは、柏の若手MFの菅沼と鈴木。磐田の両サイドバックの犬塚と上田には守備面で不安があることも手伝って、再三にわたって、ドリブルでチャレンジを行い、局面を打開した。磐田のCB田中と鈴木の対応も不十分で、磐田のDFはズタズタになった。
昨シーズンまでは、MFディエゴが攻撃の核として君臨し、ディエゴ頼みだった柏の攻撃陣だが、この試合では、ディエゴがいなくなったマイナス面は感じず、むしろ、ディエゴの陰に隠れていた若手が生き生きとしているように見えた。
不安材料としては、MFマルシオ・アラウージョがなかなかボールに絡めずに不発だったことだろう。このポジションには、MF谷澤やFW阿部といった代役も控えるが、外国人選手の持つ打開力は不可欠であり、今後のプレーが注目される。
■ 復帰が待たれるFW前田遼一磐田が現状打破するには、FW前田の復帰を待つしかないだろう。選手層は決して薄くはないが、FW前田の代役だけは見つからない。中盤からパスを引き出してボールを受けてタメを作る仕事と、ゴール前でフィニッシュに絡む仕事を両立できる前田は不可欠であり、最も重要な選手である。この試合では、西と太田の2トップだったが、ともに動き回ってリズムを作る選手なので、前線で落ち着きどころがなく、あわただしいサッカーになってしまった。
磐田としては、上位を狙うためには、連敗スタートは出来ない。次節の大分戦は、非常に重要な試合となる。プレシーズンから、それほど出来が良くないまま開幕まで来てしまった感があるので、一週間でどれくらい修正できるか、ポイントである。
■ これ以上ないくらいのスタートを切った柏J1復帰戦で、これ以上ないくらい最高のスタートを切った柏は、次節は、サンフレッチェ広島と対戦する。柏と同様に、好スタートを切った広島との一戦は、見ごたえのある試合になるだろう。
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