■ ベルマーレ旋風1993年のJFLを制したベルマーレ平塚(湘南ベルマーレ)は1994年にJリーグに昇格。初年度のファーストステージは12チーム中11位に終わるが、セカンドステージに大躍進を果たす。
Jリーグ史の中でも最優良外国人選手の1人に数えられるMFベッチーニョを中心に、FW野口幸司、MF田坂和昭、DF名良橋晃、DF名塚善寛、DF岩本輝雄ら20代前半から中盤の若手選手が大活躍。1994年のセカンドステージは黄金時代の真っ只中だったヴェルディ川崎に次いで2位。その勢いで年末年始の天皇杯を制する。
特徴的な両サイドバックのアタックは強烈で、右サイドバックの名良橋と左サイドバックの岩本輝は試合中に自由自在に攻撃に参加。厚みのある超攻撃的なサッカーを見せた。彼らの果敢なオーバーラップは、語り草になっている。
#1 平塚神社の前
■ 中田英寿の加入1995年には韮崎高校からMF中田英寿が加入。U-20代表の試合等で欠場することも多かったが、26試合で8ゴールを記録(52試合制)。MF中田を得たチームは勢いを増し、天皇杯チャンピオンとして挑んだ1995年のアジア・カップウィナーズカップを制し、アジアを制する。決勝戦の相手は、イラクのアル・タラバ。試合を決めたのは、18歳の左足だった。
1997年にはFWロペス・ワグナーと韓国代表DF洪明甫が加入。すでに、加茂監督率いる日本代表の中心となったMF中田を軸に、Jリーグでも優勝を狙えるクラブの一つとなった。
#2 HIDEゲート
しかしながら、長期的な日本国内の不況が災し、1999年に親会社のフジタがスポンサーから撤退。1998年の途中にイタリアのペルージャに移籍したMF中田に続いて、ほとんどすべての主力選手がチームを退団。1999年のJ1で最下位に終わり、J2に降格。チーム存亡の危機となった。
■ 再帰のときあれから9年の歳月が経過した2007年にベルマーレは再躍進を果たす。
名将の菅野将晃監督の下、オフにFC東京からDFジャーン、清水エスパルスからDF斉藤俊秀を獲得。守備力が著しくアップしたチームは、前年の11位から6位にジャンプアップし、シーズン終盤まで昇格の可能性を残した。
迎えた2008年の秋。シーズン当初から昇格の有力候補の1つとされた湘南ベルマーレは、残り6節の時点で2位のモンテディオ山形との勝ち点差が「3」。久方ぶりのJ1が目の前にぶら下がっている。
■ ホームタウンの平塚その湘南ベルマーレのホームタウンが神奈川県の平塚市。創設当初のJリーグが地域名(=湘南)をクラブ名とすることを基本的に認めていなかったこともあって、1994年のJリーグ昇格後は、「ベルマーレ平塚」を名乗っていて、なじみ深い地名である。
平塚駅から横浜駅までは約30分。平塚駅から東京駅までは約60分。人口は25万人でベッドタウンとしての一面も持つ。
ホームスタジアムの平塚競技場は、シャトルバスで約10分。徒歩でも25分という距離にある。
#3 平塚競技場①
#4 平塚競技場②
#5 平塚競技場③
#6 平塚競技場④
#7 平塚競技場⑤
■ 平塚競技場とは・・・平塚競技場は収容人数が18500人。1999年にJ2に降格したあとは、このスタジアムが埋まることはほとんど無く、基本的に、ホーム側もアウェー側もゴール裏は解放されていない。両チームのサポーター集団は、バックスタンドでクラブを応援することになる。
特徴的なのは、バックスタンドの座席数が少ないこと。この試合の観衆は7235人で4割程度の入りであったが、バックスタンドのホーム側は満席状態となった。J1昇格にかけるサポーターの熱気は、十分に伝わってくる。
#8 バックスタンドの裏
#9 ホーム側の応援席
#10 ロアッソのサポーター
■ 負けられない戦い勝ち点「59」で3位の湘南は、翌日に試合が行われる2位の山形や4位の仙台にプレッシャーを与えるためにも、絶対に負けられない戦いである。
MF坂本とMF田村が出場停止で、スタメンはGK金永基。DF臼井・ジャーン・斉藤・鎌田。MF北島・永田・加藤望・菊池。FW石原・原。FW阿部、FWナザがベンチスタート。MFアジエル、FWトゥットは怪我で長期離脱中である。
#11 湘南ベルマーレのスタメン
#12 湘南ベルマーレの横断幕①
#13 湘南ベルマーレの横断幕②
#14 守備の要のジャーン
■ アウェーの熊本アウェーの熊本は、1年目のJ2で現在14位。しかしながら、12位の岐阜との差は「6」のみ。昇格の可能性は無いが、最後まで力を出し切って、勝利をつかみたい。
スタメンは、GK吉田。DF市村・河端・矢野・車。MF山本・吉井・クォン。FW中山・木島・高橋。<4-3-3>の変則的な3トップ。エースFW高橋はこれまでリーグ2位の17ゴールを挙げている。
#15 熊本のスタメン
#16 試合前のアップ
#17 Pride of Kumamoto
■ リズムをつかんだロアッソ熊本立ち上がりは湘南が優勢。2トップのFW原とFW石原がしっかりと前線でボールを収めて、右サイドバックのDF臼井のオーバーラップを引き出す。しかしながら、前半15分を過ぎると、熊本のDF河端とDF矢野がタイトな当たりで、湘南の2トップを封じることに成功し始める。
次第に熊本は、MF山本の展開からリズムをつかみ始める。FW木島のドリブルとシュートは脅威で、熊本が湘南のゴールを脅かすシーンが増えていく。
前半は0対0で終了。
#18 イレブンの円陣
#19 後半のキックオフ前
■ エースの決勝ゴール勝ち点3が必要な湘南は、後半の開始から貪欲にゴールを目指していくが、ダブルボランチの一角のMF坂本を欠いた影響なのか、いつもの畳みかけるような攻撃が見せられない。
苛立つ展開となった湘南は、後半39分に熊本のFW高橋にゴール前で押し込まれて痛恨の先制ゴールを奪われる。その後、湘南は猛攻を仕掛けるが、熊本のディフェンスがしっかりと湘南のアタッカー陣を封じて完封勝利。
1対0でアウェーの熊本が勝利する波乱の展開となった。
#20 歓喜のイレブン①
#21 失意のイレブン
■ 押し込んだアウェーチーム昇格のプレッシャーのかかる湘南を相手に熊本が勝利。順位表から見ると波乱の展開ではあったが、内容的には、熊本の順当勝ちであったといえる。
湘南の攻撃の要となるMF菊池とMF加藤に自由を与えず、2トップと2人の攻撃的MFの分断に成功し、右サイドバックで起点となるDF臼井へのマークも的確で、ドリブルで縦への突破を許さなかった。
攻撃では、FW木島、FW高橋、FW中山の3トップが威力は発揮した。クロスボールの精度の低さからチャンスを逃すシーンも目立ったが、最後にFW高橋が決めて、勝利を呼び込んだ。
#22 歓喜のイレブン②
#23 湧き上がるロアッソサポーター
■ 決勝ゴールの高橋泰この決勝点でFW高橋泰はリーグ2位となる18ゴール目となった。押し込まれる展開が多く、味方のサポートも十分では無い中での18ゴールは価値がある。
ルーキーイヤーの1999年に広島で6ゴールをマークするなど、将来を嘱望されたFW高橋だったが、その後は、クラブを転々とした。2006年には、JFLだったロッソ熊本に加入。そこで、チームのJ2昇格に大貢献し、輝きを取り戻した。
#24 殊勲のヒーロー
■ 拡大路線だからこそ・・・Jリーグ拡大路線を貫いていて、ザスパ草津、徳島ヴォルティス、愛媛FC、FC岐阜、ロッソ熊本といった新興クラブが、近年、次々とJリーグに加盟している。しかしながら、一部の評論家は、これらのクラブが昇格後に思うような成果が得られていないことを指摘して、「強化ではなく金儲けを優先した『金儲け主義』だ。」と繰り返し批判している。
確かに、近視眼的に日本代表を強化するためには、Jクラブは少ない方がいいだろう。例えば、J1が12クラブ程度で、さらに、「浦和+鹿島+G大阪+α」で日本代表チームが構成されるとなると、コンビネーション面を考えても都合がいい。
だが、長期的な視野で考えてみると、どうだろうか?
もし、日本のプロ野球のように12チーム目と13チーム目の間に大きな境界線があったならば、FW高橋泰やFW木島良輔のような選手は、もう現役引退を余儀なくされていたかもしれない。確かに、彼らの活躍は、直接的に、今の日本代表の強化につながらないかもしれないが、彼らのプレーを直に見て育ったロアッソ熊本のユースチームから、将来、優れた選手が1人でも現れてきたとしたら、十二分に日本サッカーに貢献していると言える。
#25 夢の舞台で・・・
■ 攻め手を失った湘南湘南はホームで下位の熊本相手ということもあって必勝が義務付けられていたが、まさかの黒星となった。序盤はFW石原とFW原のスピードを生かしたカウンターが効果を発揮したが、次第に攻め手がなくなっていった。
後半途中にMFナザとFW阿部を投入したが、思うような効果は得られず、DFジャーンを前線に挙げるなど、もっと早い時間で単純なパワープレーに移行しても良かった。
#26 燃えろ湘南
■ 注目を集める高校2年生①8月に行われたSBSカップの日本代表で高校2年生のMF菊池大介は、この試合は右の攻撃的でプレー。前回(2008年7月27日)のロアッソ熊本戦でJ2最年少記録(17歳3ヶ月15日)となるプロ初ゴールをマークしている同じ熊本が相手だったが、この試合は不発に終わり、後半24分に退いた。
2007年の7月7日に16歳2ヵ月25日でJリーグデビューした逸材MFは、怪我で離脱中のMFアジエルの穴を十二分とは言わないまでも十分には埋めていたが、さすがに同じ相手に同じようにやられるわけにはいかない熊本ディフェンスの意地が優った。
#27 菊池大介 (背番号35)
■ 注目を集める高校2年生②残念ながら、この試合は不発に終わったが、彼の未来が明るいことには変わりはない。シルクのようなボールタッチを生かした流れるようなドリブル突破は絶品で、次回のU-19日本代表の主力となることが期待される。
高校2年生ということで、まだ、常時、試合に参加出来ているわけでは無いが、1試合に2度、3度と輝くようなプレーを見せる。このまま、チームで試合に出続けることができれば、コンスタントに活躍するようになるのは間違いない。
日曜日の試合で、2位の山形と4位の仙台が勝利したことで、仙台に抜かれて4位に転落した湘南ベルマーレ。残り試合は5試合となったが、チームを昇格に導くのは、17歳の新星かもしれない。
#28 平塚駅前の風景
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どうもはじめて。コメントどうもありがとうございます。ご期待に添えるかどうか分かりませんが、今後とも、よろしくお願いいたします。
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おめでとう!そして、ありがとう!
はじめて書き込みさせていただきます。
いつもこのサイトを拝見し楽しみにしていましたので、
更新停止されたときは非常に残念でした。
マスメディアを含めブログ等でも海外サッカー偏向ぎみの昨今
Jリーグをメインに扱うこのサイトの存在は貴重だと思います。
これからも楽しみにしています。
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季節が替わり寒くなりますがお体に気をつけてくださいね
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