新型コロナウイルスの爆発的な感染拡大に歯止めがかからない沖縄県で、玉城デニー知事への批判が急速に高まっている。5月の大型連休前に厳しい対策をとらず、全国最悪の状況を招いたことに「人災だ」との声も。玉城氏は26~27日、緊急事態宣言中にもかかわらず上京し、政府に米軍基地の整理・縮小を要請したが、「この大切なときになぜ沖縄を離れたのか」との批判が県内外で聞かれた。(川瀬弘至)
「なぜいま上京」
「さらなる基地の整理・縮小が必要だ。沖縄県も入れた協議の場を設定していただきたい」
玉城氏は27日、首相官邸で加藤勝信官房長官と面会し、こう訴えた。
玉城氏が上京したのは、来年の本土復帰50年に向け、沖縄にある米軍基地の整理・縮小を要請するためだ。27日は防衛省のほか外務省、在日米大使館などに出向き、閣僚らに要請文を手渡した。
だが、政府関係者は「基地問題も重要だが、いまは新型コロナ感染防止に全力であたるべき。なぜ上京したのか理解できない」と突き放す。
実際、沖縄の感染状況は危機的だ。大型連休後に爆発的に拡大し、県内の新規感染者数が19日に初めて200人を突破、26日には300人を超えた。沖縄の人口は東京のほぼ10分の1なので、東京でいえば1日3000人が感染するほどの非常事態である。
感染拡大の原因の一つに指摘されるのが、県の対策の甘さ。それより前、政府は感染拡大地域などに飲食店における酒類提供の停止を促してきたが、県は飲食業界に配慮し、緊急事態宣言が発令される23日まで停止しなかった。
玉城氏の言動にも甘さがみられる。大型連休中、県民に飲食を伴うイベントの自粛を呼びかけながら、自身は親族らとバーベキューをする様子をツイッターに投稿し、批判を浴びて削除したこともあった。