サッカーコラム J3 Plus+　

■　首位を狙う

13勝4敗10分けで2位の清水エスパルスは、ここ10試合で8勝2分けと絶好調。急失速した首位の鹿島アントラーズを捕らえた。ホームに相性のいいサンフレッチェ広島を迎えて10年ぶりの首位を狙う。

清水のシステムは<4-2-2-2>。GK山本。DF市川、岩下、児玉、太田。MF伊東、本田拓、兵働、枝村。FWヨンセン、岡崎。DF青山は長期離脱中。日本代表に選出されたGK山本とDF岩下の2人は、この直後に初めての代表合宿が控える。

対する広島は<3-6-1>。GK中林。DF森脇、槙野、盛田。MF森崎和、青山敏、ミキッチ、服部、高柳、柏木。FW佐藤寿。DFストヤノフが欠場し、DF槙野が3バックの中央でDF盛田が左ストッパー。慢性疲労症候群のため欠場が続いていたMF森崎和が11節以来の出場。

■　1対1のドロー

試合は前半29分に広島が先制。右サイドを駆け上がったMFミキッチのグラウンダーのクロスにゴール前のFW佐藤寿が合わせて先制。しかし、前半終了間際に清水は左サイドバックのDF太田のクロスをFW岡崎がうまくヘディングで合わせて同点に追い付く。前半は1対1で終了。

後半は広島のペース。清水の運動量が落ちて広島のサイド攻撃が活性化するが、DF岩下を中心に清水も守り切る。試合終了間際に、清水はDF市川の丁寧なパスから途中出場のMF山本真が決定的なチャンスを迎えるがシュートは枠外。

結局、試合は1対1で引き分けたが、鹿島が新潟に敗れたため、清水が10年ぶりに首位に浮上した。

■　首位に浮上

注目の上位対決は日本を代表するストライカーが1ゴールずつを決めて1対1で引き分け。FW佐藤寿は12ゴール目、FW岡崎は13ゴール目となって、得点王争いに名を連ねている。

これで清水は勝ち点で鹿島と並んで得失点差で上回ったため首位に浮上した。残りは6試合。悲願のリーグ制覇が見えてきた。

DF青山が怪我で離脱しているが、成長著しいDF岩下がディフェンスラインのリーダーとなって守備陣を統率。FWヨンセンとFW岡崎の2トップもコンスタントに得点を記録していて、安定感はリーグ№1である。また、人に強いMF本田拓がボランチに入ったことで守備が強固になって、守備が安定したことが攻撃面にもいい影響を与えている。

■　得点力アップのために・・・

清水は28試合で28失点。これはリーグ最少である。一方の攻撃陣は28試合で42得点。G大阪、川崎F、広島、磐田に次いでリーグ5位と悪くないが、リーグ制覇を目指すためには、もう少し攻撃力をアップしたいところである。

FWヨンセンが加入し、FWヨンセンを目掛けてサイドからクロスを放り込む攻撃パターンが確立されたが、サイド攻撃に比べると中央からの攻撃にバリエーションが乏しいのが現状。DF市川とDF太田の両サイドバックがいい形でボールを持った時は積極的にドリブルで仕掛けていくことが出来るが、中央からドリブルで切り崩そうとする選手はいない。

現段階で、最もプラスアルファが見込めるポジションはMF枝村のポジションとなる。MF枝村の飛び出しやフィニッシュに絡むプレーは魅力であるが、現状、なかなか攻撃に絡むことが出来ずに埋没する試合が少なくない。サブにはMF藤本がいるが、まだコンディション的には万全ではないようで、大きな投入の効果は生まれていない。

FW岡崎をサイドハーフに下げて、突破力のあるFW原を投入する作戦も考えられるが、FW岡崎をゴールから遠い位置に置くことは効果的とは思えない。守備が堅いチームを相手にしたときに攻めきれない可能性はある。

■　大きな森崎和幸の復帰

一方の広島は引き分けたが、勝ち点「45」で6位。首位の清水との差は「5」となった。次節は3位のG大阪、次々節は4位の川崎FとACLと優勝を争うライバルとの直接対決が続く。もし、この2連戦を乗り越えるようだと、リーグ制覇も見えてくる。

オーバートレーニング症候群のためMF森崎浩二を欠く状態が続いているが、ようやく、MF森崎和が復帰。チームの中心であり、広島にとってはもっとも大事な選手の1人であるので、ここからチームが安定していくことは間違いないだろう。ジェフ千葉からやってきたMF中島も見事なプレーを見せて代役をこなしてきたが、それでもMF森崎和と比べると、見劣りする部分はある。

■　日本人得点王は生まれるのか？

FW岡崎は13ゴール目で3位タイ、FW佐藤寿は12ゴール目で5位タイと、ともに得点王争いに名を連ねている。ここ最近はブラジル人ストライカーの独壇場になっているJリーグの得点ランキングであるが、今シーズンは久々に日本人ストライカーが多く、上位につけている。

当然、FWダヴィとFWレアンドロがシーズン途中で移籍したことが、日本人が上位につけていることの1つの理由であるが、それでもいい傾向であり、最終的には20ゴールに近づきそうなペースを維持しており、いったい誰が得点王になるのか、久々に興味の対象になっている。

単独トップのFW前田が有力候補の筆頭であるのは間違いないが、代表でもゴールを重ねているFW岡崎も有力候補である。過去に日本人ストライカーで得点王を獲得したのは、FWカズ、FW中山、FW福田、FW高原の4人のみであり、いずれも日本代表でも活躍した名選手である。残りは6試合であるが、この混戦の中で得点王を獲得するとなると大きな自信になるだろうし、また、ステップアップにもなるだろう。




[清水エスパルス 2007-2009]

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[サンフレッチェ広島]

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