■ 天皇杯の準々決勝天皇杯の準々決勝の最終カードは、FC東京とサンフレッチェ広島の対戦。場所はロアッソ熊本のホームスタジアムである熊本のKKウイングスタジアムである。
すでに今シーズン限りでの監督交代が決まっているFC東京は、<4-2-3-1>。GK塩田。DF徳永・藤山・茂庭・金沢。MF今野・梶山・石川・栗沢・鈴木規。すでに戦力外通告を受けているFW川口の1トップ。風邪気味のFWルーカスと五輪代表のFW平山とMF伊野波はベンチスタート。
対する広島は、J2降格が決まっている。<3-5-2>で、GK下田。DF槙野・ストヤノフ・盛田。MF森崎和・森崎浩・柏木・駒野・服部。FWは佐藤寿・平繁の2トップ。
■ 1ゴール1アシスト試合は、前半13分に、左サイドからのクロスをFW佐藤寿がゴール前でつぶれてMF柏木にラストパスを送ると、MF柏木がボレー気味のシュートを突き刺して広島が先制する。
さらに、前半37分には、カウンターアタックからMF柏木がドリブルで前進すると、右サイドを駆け上がったMF駒野へ決定的なラストパス。MF駒野がGKと1対1からシュートを決めて2対0とした。
後半6分に、FC東京はFW平山とMF浅利を投入し、FW平山のポストプレーを基点にようやく攻めの形が生まれる。しかしながら、両サイドからなかなかいいクロスがFW平山の頭に合わない。後半20分には、DF金沢に代えてFWルーカスを投入するが、最後までゴールは割れずに、0対2で敗戦。準決勝進出はならなかった。
■ 吹っ切れたサンフレッチェ広島は、前半で2点リードを奪うことに成功。後半は劣勢の展開となったが、何とか守りきって準決勝を決めた。もともと自力のあるチームであるので、結果については何の不思議もないが、やはりJ2降格が決定したことでチーム全体が吹っ切れたようで、いいときのサンフレッチェのサッカーがよみがえってきていた。
「このサッカーが何故、Jの終盤戦や入替戦に出来なかったのか?」という疑問も生まれるが、それは野暮なものであろう。中盤以降の低迷は、心理的な負のスパイラルの影響が大きかったということだろう。準決勝はG大阪との対戦となるが、G大阪といえども全く油断は出来ない。
■ レベルを上げ続ける柏木陽介この試合でも決定的な仕事をしたのは、MF柏木。1ゴール1アシストの活躍でチームの勝利に大貢献した。シーズン中は、FWウェズレイに遠慮をしてプレーしているような感じもあったが、FWウェズレイはすでに帰国しており、FWウェズレイがいなくなったことでより自由にプレーすることが出来るようになった。
U-20やU-22の一員として、多くの国際試合を経験したからか、判断の早さが際立つ。トップ下の位置でクリエイティブでかつ決定的な仕事も出来るようになってきており、神戸・柏・京都・浦和といったチームへの移籍話も伝わってくるが、どのチームでも主軸として活躍できるだろうし、高額な移籍金を払っても獲得するだけの価値はあるだろう。
もちろん、広島残留の可能性も低くはない。厳しいJ2の戦いで、1年間、揉まれてチームをJ1に導くことが出来たとしたら、素晴らしい財産になるだろう。
■ 典型的な負けパターンFC東京は、今シーズンの典型的な負けパターンでシーズンを終えた。試合の入り方が悪く、先制ゴールを奪われると、焦って前がかりになって追加点を奪われるという悪い癖は、最後まで改善されなかった。前半は、FW川口の1トップで臨んだが、その意図が不明確で全く得点の匂いは感じられなかった。
後半に、FW平山とFWルーカスを投入するとボールを支配できるようになったが、押し込んでいながら、決定的なシュートは少なく、物足りないままで試合を終えた。
■ 不振を極めたMF石川ふがいないシーズンとなったFC東京だが、中でもMF石川直宏はシーズンを通して不振を極めた。前回の原政権時の象徴的な選手であったが、明らかにキレが悪く、決定的な仕事は数えるほどであった。しかしながら、原監督は最後までMF石川と心中し、その結果、沈没した。
もともと器用な選手ではないが、今シーズンは、特に状況判断の悪さが目立ち、使い勝手が悪かった。以前であれば、右サイドでボールを持てば高い確率で打開できたが、思い切りとキレを失ったMF石川は、サイドでボールを持っては相手にボールを奪われるという状況が続いた。
同じサイドアタッカーとしては、MFリチェーリやMF川口もいるが、原監督は石川を使い続けた。不調から脱出して欲しいという親心から試合で使い続けたのだと思われるが、功を奏しなかった。
■ 求められる新しいチーム作りこれで原監督は退任する。MF福西、FWワンチョペといったタレントを加えて、大きな期待を背負って挑んだシーズンだったが、完全に期待外れのシーズンだった。タレントの力もあって残留争いに巻き込まれることはなかったが、チームとして前進を果たしたというよりは、むしろ大きく後退したシーズンといえるだろう。
FWルーカスはG大阪への移籍が濃厚とされており、MF今野も浦和への移籍がささやかれている。GK土肥とMF福西も退団が決定しており、MF伊野波にも移籍話が舞い込んできており、主力の流出は確実である。
それでもなお、FW平山、FW赤嶺、MF梶山といった選手は控えており、彼らを中心に新しいチームを作るしかないだろう。2000年にJ1に昇格してから、2004年にナビスコカップを制するなど、比較的、順調に来ていただけにサポーターもつらいところであるが、辛抱するしかないだろう。
FC東京:採点GK:塩田 5.5
→ 失点シーンはノーチャンス。
DF:徳永 6.0
→ 後半は積極的にサイドを駆け上がった。
DF:茂庭 5.0
→ 佐藤寿のマークにてこずる。復調が待たれる。
DF:藤山 5.5
→ 危ないシーンもあった。
DF:金沢 5.0
→ 攻守ともに中途半端に終わった。
MF:今野 6.0
→ 後半は積極的に攻め上がった。
MF:梶山 5.0
→ イージーなミスも多く安定しなかった。
MF:栗沢 5.5
→ サイドでキープをして攻撃のリズムを作ろうとした。
MF:石川 4.5
→ 判断が悪くブレーキになった。
MF:鈴木規 6.0
→ 左サイドで効果的なプレーを見せた。
FW:川口 5.0
→ 気の毒な1トップでの使われ方で、持ち味を出せず。
サブ:平山 5.5
→ 中央でタメは作ったが、ゴール前で仕事は出来ず。
サブ:浅利 5.5
→ 上手くバランスを取った。
サブ:ルーカス 5.5
→ キープ力は発揮したが、決定機は作れず。
FC東京:採点GK:下田 6.0
→ 危うい飛び出しもあったが、無失点で完封勝利。
DF:槙野 6.0
→ 攻守ともに積極的にプレー。
DF:ストヤノフ 6.5
→ 久々にらしいプレー。
DF:盛田 6.5
→ 高さで制空権を握る。
MF:森崎和 6.0
→ 本来の中盤で持ち味発揮。
MF:森崎浩 5.5
→ 磐田戦ほどの貢献は出来ず。
MF:駒野 6.0
→ 鈴木の対応に苦慮するも、貴重なゴール。
MF:服部 5.5
→ 攻守に無難な出来。
MF:柏木 7.5
→ 最後まで動きが落ちなかった。
FW:佐藤寿 6.5
→ 前線で見事に基点となった。1アシスト。
FW:平繁 5.5
→ やや試合から消えていた。
サブ:吉弘 6.0
→ 緊急出場も落ち着いて対応。
サブ:高柳 5.5
→ 試合を落ち着けた。
サブ:高萩 6.0
→ 精度は低かったが、アグレッシブにプレーした。
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>>> はじめさん
どうも、コメントありがとうございます。
2006年の東京VはACLに出場していますが、同グループに配属されていた2つのチームが失格となり、蔚山現代との一騎打ちになりました。結局、2試合だけで済みましたが、6試合行われていたとしたら、日程的には厳しかったでしょう。
なお、今、行われている天皇杯の覇者にはACLの出場権は与えられません。タイムラグ(1年後の天皇杯覇者がACLに参戦する状況)を改善するためです。このルール変更はすでに今年の天皇杯が随分と経過してから決まったことであり、おかしな時期のアナウンスでした。
川サポとしては、川に勝って欲しいのは勿論なのですがそれ以上に、J2チームが天皇杯優勝した場合にACLの参加の件について、協会がどれだけ腰砕けのぐだぐだな対応をするのかが楽しみでしょうがないとか思ってたり。
ベルディの時は不参加にしたんでしたっけ?日程的に無理が生じるのは目に見えてますし。これを機に、天皇杯優勝チームのACL参加資格をやめに出来たらなぁと期待してます。
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