■ 残留を決めたい両チーム降格圏内の京都・福岡・C大阪のすぐ上の順位である、広島とFC東京の試合。残り試合と勝ち点差を考えると残留の可能性は高いが、早く正式に残留を決めるために、勝ち点3が欲しい試合。
試合は、前半9分にジャーンのヘディングシュートで先制した東京が、前半13分に梶山のミドルで追加点を挙げ2点リードを奪うも、佐藤寿人のゴールで1点差に迫ると、後半に4ゴールを挙げて広島が大逆転勝利した。
■ プリンス・柏木陽介怪我のため、佐藤寿人と駒野を途中で欠いたものの、交代で出場した前田俊介と李がしっかりと穴を埋めた。広島は、3-1-4-2という相当に攻撃的な布陣。前半20分までは、青山の1ボランチということもあり、中盤でこぼれ球を拾えずFC東京に試合を支配されたが、その後は攻勢に出て、見事な勝利となった。3バックの中央の森崎(和)は、DF面では怖いシーンもあったが、やはり、展開力は既存のDFとは比べ物にならない。監督の考え方次第だが、DF面の不安をカバーするだけの展開力があると判断しての起用なので、今のところ問題はない。
広島では、佐藤寿人の怪我もあって、久々に長時間のプレー機会がめぐってきた前田俊介に注目したが、まずまず、というプレー内容だった。やっぱり、太り気味な感じはするが、一瞬のキレはあって、佐藤寿人には無い魅力をもっている。ただ、現状では、明らかに、佐藤寿人に劣っているので、出場機会がなかなかめぐってこない。来シーズンも、ベンチに入ったりは入らなかったりという状況が続くようだと、本人のためにもならない。難しい状況である。
U19日本代表のMF柏木陽介。ユース時代に“プリンス”(王子)とファンから呼ばれたほどの華麗なプレイをする一方、中盤の汗かき役としての泥臭いプレイも厭わない「現代型10番」の申し子とも言える選手。(参考 wikipedia)。この試合の1点目となった左足のクロスは絶品。はかったように正確にバウンドさせて、佐藤寿人のジャンピングボレーを演出した。“史上最強”と言われたサンフレッチェユースのメンバーが、徐々にトップチームでも、戦力になってきている。前田、高萩、柏木、高柳と揃うと、来シーズンこそ、サンフレッチェは楽しみだ。
■ 不可解な交代FC東京は、ひどい試合をした。キーポイントとなったのは、後半開始から、平山とルーカスを交代させたこと。前半の平山は、シュートこそ1本だったが、確実なキープとファールゲットで、前線の基点として十分な働きを見せていた。高さに不安を抱える広島にとっては、平山の存在は非常に厄介だったと思われるが、後半からその脅威がなくなったことで、広島は躊躇なくラインを上げることができるようになり、後半の猛攻につながった。
平山とルーカスの交代について、倉又監督は、
・前半途中から平山のミスが多くなっていた
・ルーカスに前線からの守備を期待した
と2つの理由を語っているが、平山とルーカスの2トップにするという選択肢はなかったのか、と問いたい。試合前に、「同じタイプの選手なので共存させることは考えていない。」と語っていたが、ルーカスと平山は、全くプレーヤーとしてのタイプは異なるし、補完性のあるコンビになると思う。うがった見方をすると、試合前からどんな状況になろうと、後半の頭からルーカスを投入しようと決めていたのではないか?試合の流れを考慮していない、理解のできない交代だった。
■ 悪循環が続く・・・ただ、大敗の原因は、采配ミスだけではない。広島のDFが正確に前線にパスを送っていたのに比べると、FC東京はつなぎでミスが多かった。うまくいっている時間帯は問題ないが、一度流れが悪くなるとズルズルとラインが下がってしまい、アバウトなクリアボールを拾われては、相手の二次攻撃・三次攻撃を受けるという悪循環に陥る。この試合で見せたミドルシュートのように、梶山はトップ下で素晴らしいプレーを見せているが、サイドで石川が起点になれない今の状況だと、梶山をボランチで起用せざるえない。
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