■ 記録的な独走で・・・ 第41節終了時点で28勝4敗6分け。奪った得点は「89」で許した失点は「30」。プラスマイナス「59」と圧倒的な強さでJ2を制したサンフレッチェ広島。
エースFW佐藤寿人を中心に、MF森崎和、MF森崎浩、MF柏木らJ2レベルを超越したタレントを揃えるチームの中で、もっともインパクトのあるプレーを見せたのが、2007年のカナダ・ワールドユースの日本代表であり、1987年生まれの21歳のDF槙野智章である。
プロ3年目の今シーズンは、31節の甲府戦を除いて、全てスタメンフル出場を果たしており、ストッパーながら6ゴール。ゴールシーン以外でも、従来のディフェンダーの常識を打ち破るプレーを続けている。
ここで、今シーズンのJ2の「クラブ別の決定機の回数」と「パス本数」のランキングを見てみる。
表1 クラブ別の決定機の回数
| 決定機の総数 |
広島 | 206 |
C大阪 | 184 |
福岡 | 180 |
仙台 | 178 |
甲府 | 175 |
湘南 | 167 |
山形 | 159 |
鳥栖 | 140 |
熊本 | 133 |
水戸 | 126 |
横浜FC | 118 |
草津 | 118 |
徳島 | 114 |
愛媛 | 113 |
岐阜 | 101 |
表2 クラブ別のパス数
| パス数 |
広島 | 18345 |
C大阪 | 14914 |
草津 | 13769 |
甲府 | 13579 |
愛媛 | 12814 |
仙台 | 12523 |
熊本 | 12454 |
福岡 | 12282 |
徳島 | 12081 |
鳥栖 | 12016 |
湘南 | 11726 |
山形 | 11601 |
水戸 | 11585 |
岐阜 | 11556 |
横浜FC | 11379 |
ダントツの総得点数から考えても、広島が決定機の数でリーグトップなのは十分に予想できる。特徴的な「つなぐサッカー」を象徴するパス本数は、2位のC大阪を4000本以上も上回っている。個人別でも、パス本数の1位から5位までを広島の選手が独走しており、数字は圧倒的である。
ただ、意外なことに、「クラブ別のドリブル数」と「クラブ別のクロス数」は、J2の中でも最下位の15位。熊本や岐阜といった昇格組よりも少ない数値である。
表3 クラブ別のドリブル数
| ドリブル数 |
C大阪 | 567 |
甲府 | 531 |
徳島 | 495 |
横浜FC | 460 |
鳥栖 | 414 |
仙台 | 410 |
山形 | 406 |
湘南 | 398 |
草津 | 382 |
福岡 | 376 |
岐阜 | 373 |
水戸 | 348 |
愛媛 | 343 |
熊本 | 327 |
広島 | 308 |
表4 クラブ別のクロス数
| クロス数 |
甲府 | 814 |
仙台 | 691 |
湘南 | 670 |
福岡 | 657 |
徳島 | 651 |
山形 | 624 |
岐阜 | 622 |
C大阪 | 590 |
愛媛 | 586 |
草津 | 564 |
鳥栖 | 554 |
水戸 | 544 |
熊本 | 538 |
横浜FC | 526 |
広島 | 520 |
「ドリブル数」や「クロス数」が少ない理由と考えられるのは、「ハイレベルなボールも人も動く流れるようなサッカーをベースにしていたので、攻撃のときに1人が無理なプレーを選択する必要性が低かった。」と見るのが正しいだろう。
ただ、どうしても攻撃の流れが停滞するときはある。そうなったとき、膠着状態を打開するのが、DF槙野智章の仕事である。3バックのストッパーが基本ポジションながら、ドリブル数はチーム内トップの「62」。チーム2位のFW佐藤寿人と比べると、倍近い数字である。世界中を探してみても、ストッパーの選手がチーム内でもっとも多くドリブルを仕掛けているクラブは、サンフレッチェ広島以外には無いだろう。
すでに広島はJ1昇格を決めており、来シーズンは、J1の舞台で再び、プレーすることになるが、そのアグレッシブなスタイルを貫くことができれば、きっと、DF槙野智章は日本トップクラスのディフェンダーとなって、多くの興奮をスタジアムにもたらすだろう。
※ 表1から表4のデータは、いずれもJ2第36節終了時点での記録である。
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>>> マルコスさん
どうもはじめまして。リンクありがとうございます。来シーズンのJ1でどういう戦いをするのか、楽しみですね。今後とも、よろしくお願いいたします。
はじめまして。
いつも楽しく拝見させて頂いております。
大変面白い記事で、リンクを張らせていただきました。
関連記事に加えていただき、ありがとうございます。
槙野選手やストヤノフ選手がどんどん上がっていく姿をJ1で見れると思うと今からワクワクします。
>>> 熊熊熊さん
どうもありがとうございます。槙野とストヤノフと森脇以外にも、結城も悪くないと思います。チームの求めるスタイルに合致しているように思います。
確かにJ2では、リスクを冒しやすいですので、これがJ1の舞台だと思うようにいかないかもしれません。そのとき、どこまでスタイルを維持したまま、J1仕様にチェンジできるかがポイントでしょうか。
>>> 寮長さん
どうもありがとうございます。マイペースで出来る限り続けられるようにします。
復活おめでとうございます♪
あんまり頑張らないで、時間があるときで全然構わないので、マイペースでぜひぜひ続けてください!
復活?おめでとうございます
槙野ストヤノフ森脇のスリーバックの時の攻め上がりはすごいですね
リスクをすごい背負ってるんですけどね・・・。
このショットガン?システムで天皇杯も頑張って欲しいものです。
熊サポとしてはJ1とJ2にどれだけの差があるかが気になりますが
ここは天皇杯をみて判断したいと思います。(現状の個人的な意見としてはJ1のLvが少し下がった感がありますが・・・。)
また楽しみの拝見しにきます。
これからも頑張ってください。
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