■ J1第22節3連勝中の横浜Fマリノスとサンフレッチェ広島の対戦。横浜FMは、<4-4-2>。榎本、田中、中澤、松田、小宮山、吉田、河合、山瀬功、山瀬幸、大島、坂田。
対する広島は、木寺、森崎和、ストヤノフ、槙野、駒野、戸田、青山敏、服部、柏木、森崎浩、佐藤寿人。現在、得点ランクトップのFWウェズレイは、累積警告のため出場停止。
試合は、前半12分に、MF森崎浩司のゴールで先制するが、横浜FMもFW大島のゴールで追いつく。その後、柏木のゴールで勝ち越した広島だったが、後半26分にDF田中隼のミドルシュートで追いついて2対2のドローに終わった。
■ 有効だったロングボール前半は、広島がロングボールを有効に使って、横浜FMに対して優勢を保った。広島の攻撃がロングボール主体だった理由は、横浜FMのプレスの激しさがJ1ではトップクラスであり、ショートパス主体で攻めるには、リスクが高いと感じたのが、その1つだろう。
また、ストヤノフが入ったことで、戸田と青山敏のダブルボランチになったことで、青山の守備の負担が減って、彼の展開力を生かせる布陣となったことも、その理由だろう。1ボランチのときは、守備の負担が大きいが、戸田というパートナーを得たことで、青山の攻撃的なセンスが、より生かせるようになった。
■ ウェズレイが復帰したらどうするのか?広島で注目されるのは、DFストヤノフが加入したことで、どのようなチームが変化するかである。この試合は、FWウェズレイが出場停止だったため、<3-4-2-1>のシステムに変更し、佐藤寿人の1トップで、戸田と青山敏のダブルボランチで、ストヤノフ・槙野・森崎和の3バックであったが、FWウェズレイが復帰すれば、2トップへの移行は確実であり、そうなると、これまで、レギュラー核だった選手のうちの誰かがはじき出されることになる。
となると、この試合のように戸田と青山のダブルボランチで、柏木がトップ下に入り、森崎浩二がベンチ行きになるケースがもっとも確率が高いと思われるが、戸田はストッパーでもプレー可能であるし、青山をもっと前目で起用することも考えられるし、いくつかの展開が考えられる。
いずれにしても、攻守両面で、ストヤノフの加入は大きく、絶大な効力を発揮する可能性は、高いだろう。
■ 山瀬幸か?マルケスか?横浜FMは、前半は、暑さのためか、非常に動きが重かった。後半に、田中隼のミドルシュートで追いついたものの、上位に食い込むためには、確実に「勝ち点3」が欲しい試合だったので、やや悔やまれる結果となった。
ポイントとなったのは、62分から途中出場したMFマルケス。MF山瀬幸に代わって投入されたMFマルケスは、左サイドで、安定したキープ力と、トリッキーなパスで流れを呼び込んだ。
完全に、山瀬幸→マルケスの交代が功を奏した形となったが、これは、後半戦の開幕戦の横浜ダービーとは間逆の形であり、非常に面白い現象である。横浜ダービーでは、MFマルケスがスタメンで、MF山瀬幸がベンチスタートだったが、チームは前半で2点リードを奪ったものの、攻撃の流れはいまひとつであったが、後半の最初からマルケスを外して山瀬幸を投入すると、流れるような攻撃が可能となって、後半だけで6ゴールを奪う猛攻につながった。
単純にプレーヤーとしての優劣だけで比較するならば、マルケスが上なのは間違いないが、だからといって、マルケスを起用した方が、チーム力が上がるというと、そういうわけではなく、現状では、どちらかというと、山瀬幸の方が、チームとしては機能していると考えられる。
ただ、この試合で見せたように、マルケスにはレベルを超えた技術があり、チームメートの動きとかみ合うと、恐ろしい効果を発揮する。今後、どちらをメインに起用するかは、早野監督が決めることだが、おそらく、片方を固定することはなく、相手チームや味方チームの状況によって、使い分けていくことだろう。
■ マイクの使い方は?横浜FMは、後半40分に、194cmのFWハーフナー・マイクを投入し、パワープレーで勝ち越しを狙ったが、あまり機能しなかった。
マイクの圧倒的な高さは魅力的ではあるが、彼は自分のよさを生かしきれていないし、もっというと、自分のよさを、十分に理解できておらず、ゴール前で構えていればいいところを、他の場所に動いてしまって、高さを発揮できなかった。
U20代表であったマイクだが、現状では、パワープレー要因という点でも物足りないし、さらには、スタメンで起用されるようになるには、課題が山積みである。
彼のようなタイプの選手は、何よりも試合経験が必要であるが、同タイプのFW大島を越えるのは、現状では、至難の業といわざる得ない。かといって、今のJ2でも、スタメンで起用してくれるチームは、無いだろう。潜在能力は高いだけに、今後、どういう道を選ぶべきかは、非常に難しいだろう。
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