■ Jリーグ史上最年長となる54歳での現役復帰大石監督が就任して3シーズン目となる藤枝MYFCは開幕3試合を終えた時点で1勝2敗。3得点/10失点なので失点数の多さが目立っている。2016年のJ3でリーグ2位となる48得点を記録した主力のほとんどがチームに残留した上でMF水野泰(FC岐阜)、FW土井(盛岡)、MF大竹隆(町田)、FWワタナカ(ボンケット)、GK田口(横浜FM)などを獲得。開幕前は「クラブ史上最高の戦力」と言われていたが出だしで躓いた
開幕節はアウェイで鹿児島と対戦したがまさかの0対5の大敗。2節はホームでFC東京U-23に2対1で勝利して今シーズン初勝利を挙げたが、3節は同県のクラブである沼津に1対4で逆転負けを食らった。攻撃型のチームなので失点数が多くなるのは致し方ないところもあるが3試合で計10失点というのはさすがに多すぎる。精神的な支柱で守備の要でもあるDF福王が怪我をして長期離脱したのは大きなマイナスと言える。
怪我人も多くてチームとしての流れが良くない状況だったので何かしらの変化や刺激が欲しいタイミングだったが、4月1日(土)に創生期の清水エスパルスで活躍した名キーパーのGKシジマールが現役に復帰して選手登録されたことが正式に発表された。ブラジル出身のGKシジマールは1962年6月13日生まれなので54歳。現役最年長プレーヤーであるFW三浦知(横浜FC)を抜いて最年長Jリーガーとなる。
■ 抜群の知名度を誇るJリーグ創生期のスター選手もともと藤枝MYFCにはキーパーが3人しかいなかったが開幕前にGK佐藤隼が負傷離脱。「キーパーが2人しかいない。」という非常に事態になったため、急きょ、コーチだったGKシジマールが54歳で現役に復帰することになったが、当然、現状は3番手キーパーである。GK佐藤隼が戦列に復帰してきたら4番手キーパーに格下げになると思うので出場機会が巡って来る可能性はやはり低いが話題性は抜群である。
10代あるいは20代の若いサッカーファンの中には「なぜ、GKシジマールの復帰がこれだけ話題になっているのか全く理解できない?」という人が多いと思うが、Jリーグブームと呼ばれた時期(1993年から1994年の途中あたりまで)に活躍した選手の知名度というのは異常なレベルである。その時期に10代や20代や30代や40代だった人でGKシジマールの名前を知らない人というのは少数派になると考えられる。
同じような立ち位置の選手を挙げるとヴェルディ川崎の選手ではFW三浦知、MFラモス、FW武田、MF北澤、MFビスマルクあたり。DF柱谷やDF都並の知名度はそこまで高くない。他クラブでは鹿島のMFジーコとFWアルシンドの師弟コンビが突出している。ともにCMにも登場したが、特にユニークなヘアスタイルで話題になったFWアルシンドについては当時は「FW三浦知やMFラモス以上の人気だった。」と言える。
もちろん、市原のMFリトバルスキー、名古屋のFWリネカーも名前が良く知られた選手である。MFジーコとMFリトバルスキーとFWリネカーの3人が「御三家」と言われてJリーグ元年の目玉だった。GKシジマールについては「(外国人選手の中では)FWアルシンドやMFジーコよりは知名度が劣るがこの2人の次にランクされるほど」のスター選手だった。元ブラジルのMFビスマルクと同じくらいの知名度だと考えられる。
■ 「クモ男」と呼ばれて愛されたGKシジマールGKシジマールは1993年7月に清水に加入したが1stステージは低迷した清水の救世主となった。同じ時期にヴェルディ川崎から加入した元日本代表のDF加藤久も存在感を発揮したが、この年の清水の2ndステージの成績は凄まじくて18試合で9失点。「731分間連続無失点」というJリーグ記録を作った。この記録は現在もJ1最長記録となる。(※ J2では2006年に横浜FCのGK菅野孝憲が770分という記録を作った。)
素晴らしい記録を残しているが、GKシジマールというとやはり(記録ではなくて)記憶に残るキーパーである。とにかく長い手足を生かした驚異的な反応で話題になった。公称は183センチ/78キロなのでめちゃくちゃ大きい選手ではなかったが、「クモ男(スパイダーマン)」というニックネームが定着。自身のプレーで広く名前が知られるようになって『創生期のJリーグを代表する名プレーヤー』と認識されている。
当時のことを知らない人にJリーグブームの凄まじさを伝えるのはなかなか難しいが当時はヴェルディ川崎の試合がゴールデンタイムに生中継されるのは当たり前の時代だった。視聴率が20%を超えることも珍しくなかったのでJリーグで目立った活躍をみせた選手は国民的なヒーローになることが出来た。GKシジマールに関しては「長い手足」という見た目のインパクトもあったので瞬く間にスター選手になっていった。
今回の件については一部で「話題作りではないか?」という批判的な声もあるが、藤枝MYFCのキーパー事情を考えると話題作りのための選手登録ではないことは明らかである。むしろ、注目を集めることがほぼ難しい立場のクラブであることを考えると「仮に話題作りのための選手登録であったならば逆に称賛することができる。」と言える。今、チームは苦しい状況にあるが好転のきっかけにしてもらいたいところである。
2017/04/02 【J3】 上のカテゴリーでも活躍できそうな選手を15人だけ挙げてみた。 (上) → 1人目~8人目まで
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