■ プレシーズンマッチ静岡県の沼津市で行われたプレシーズンマッチ。清水エスパルスと横浜Fマリノスの対戦。
イラン代表の監督としてでアジアカップ2011を戦ったアフシン・ゴトビ監督が就任した清水は<4-2-3-1>。GK山本海。DF村松、平岡、ボスナー、太田。MF岩下、枝村、大前、小野、伊藤翔。FW高原。湘南から移籍のDF村松、水原から移籍のFW高原がスタメン出場。MF大前が右サイドハーフ、MF小野がトップ下、MF伊藤翔が左サイドハーフ。1トップでFW高原。MF岩下がボランチでスタメン。MF小林大は怪我のため欠場。
対する横浜FMは、オフに戦力を大幅に入れ替えている。横浜FMは<4-4-2>で中盤はダイヤモンド型。GK榎本哲。DF小林祐、栗原、中澤、波戸。MF小椋、谷口、兵藤、長谷川アーリアジャスール。FW渡邉千、大黒。DF小林祐、MF谷口、FW大黒がスタメン。MF中村俊は怪我のため欠場。背番号「10」を背負うFW小野はベンチスタート。
■ エスパルスが勝利立ち上がりは清水ペース。左サイドバックのDF太田が積極的にサイドを駆け上がってチャンスを作る。すると、前半10分に右サイドから展開してきたボールをDF太田が左足でロングシュート。これが見事に決まって清水が先制する。一方の横浜FMはなかなかシュートまで持ち込めなかったが、前半23分に左サイドバックのDF波戸のクロスから最後はFW渡邉千がボレーで決めて1対1の同点に追いつく。前半はそのまま1対1で終了。
後半開始からメンバーを入れ替えた横浜FMに対して、清水はメンバーを代えずに試合を進めていく。1対1のままで進んだ試合は、後半33分に左サイドからDF太田がクロスを上げると、ファーサイドのMF大前がヘディングで決めて勝ち越しに成功する。結局、2対1で清水が勝利した。
■ ゴトビ新体制オフに、FW岡崎、MF藤本、MF兵働、MF本田拓ら主力が流出し、全く新しいチームに生まれ変わった清水エスパルス。しかし、この試合は11人のうち9人が昨シーズンから在籍したメンバーであり、意外と入れ替えは少なかった。ただ、MF伊藤、MF大前といった若い選手や、DF岩下、MF枝村、MF小野らポジションが変わった選手も多く、どういうサッカーになるかと思ったが、思った以上にまとまっており、チームとしても機能していた。
注目のFW高原は1トップで先発。シュートシーンはなかったが、前線でいいポスト役になって、前で起点になっていた。1.5列目的なアタッカーは多いが、CFタイプはほとんどおらず、今シーズン、彼がやってくれないと困ることになる。浦和時代はFWエジミウソンをサポートする役回りになって持ち味を発揮できなかったが、このシステムではFW高原が中心となる。怪我なくシーズンを過ごして「二桁ゴール」を挙げることが期待される。
不安なポジションはボランチ。MF本田拓とMF伊東輝が抜けたことで、守備力のあるボランチがいなくなってしまった。この試合は、センターバックが本職のMF岩下がボランチに入ったが、つなぎでミスが多く不十分な出来だった。パートナーを組んだMF枝村はゴール前に侵入するプレーが持ち味なので、守備的なボランチが仕事をできないとMF枝村の良さも消えてしまう。他のポジションはメンバーが揃っているので、ボランチをどうするかがポイントになる。
■ ブレーク期待の大前攻撃陣で期待がかかるのは高卒4年目のMF大前元紀。右サイドハーフでスタメンに入ったが、前半からいいアクセントになって攻撃に絡み、後半にヘディングで決勝ゴールを挙げた。プロに入って最初の2年間は出場機会に恵まれなかったが、昨シーズンは13試合で3ゴールとプチブレーク。今シーズンは主力が抜けて大きなチャンスである。
「運動量」があって「技術」も高い選手であり、「隙間」に入っていくのが非常にうまい選手。もう少し経験を積んでいけば、現代サッカーで重要とされる「バイタルエリア」で効果的な仕事のできる選手になりうるので、MF小野らがうまく使ってあげれば、いいシーズンになりそうな予感はある。
逆に、左サイドハーフに入ったMF伊藤翔は不本意な出来。MF大前よりも1学年上になるが、DF太田が果敢に上がってきたため、居場所もなくなって、ほとんどいいところなくピッチを去ることになった。サイドのポジションはFW高木俊、MF小林大、MFDFアレックスらもプレーできるので、このままの状態ではかなり厳しい。
■ 木村監督の2年目一方の横浜FMは、前半はMF中村俊を除くとベストと思われるメンバーがスタメンに入った。2トップで、MF小椋をアンカーに置いているが、MF谷口との関係は流動的で、ダイヤモンド型が基本であるが、ダブルボランチ的な布陣になることもあった。
横浜FMも、メンバーが大きく変わったが、いい点は「得点の匂いのする選手」が増えていること。2トップのFW大黒とFW渡邉千はコンビで崩すようなシーンはなかったが、ともに実績のあるストライカーで、それなりのボールが供給されれば、ネットを揺らすだけのポテンシャルはある。得点感覚のあるMF谷口は、この試合は守備の仕事に力を置かざる得ない状況でゴール前に上がっていくことはほとんどなかったが、MF谷口もゴールセンスがある。相手にすると「ゴール」できる選手は危険なので、「そういった選手」が増えたことは「強み」となる。
ただ、昨シーズンと同様に、ボール回しはスムーズではなく、ゆっくりしたボール回しになる時間帯が多かった。「技術」や「運動量」で変化をつけられそうな選手は、MF長谷川くらいで、攻撃のアイディアは乏しかった。両サイドバックもそこまで攻撃的な選手ではなくて、サイドを崩すシーンはほとんどなかった。FW小野がベンチスタートで、MF山瀬功がなくなったことで、ドリブラーもいない。
MF中村俊が入ると変わってくる可能性はあるが、「動きの少ないサッカー」という印象は昨シーズンとあまり変わらないものであり、コンビネーションを高めていかないと攻撃が停滞するのは確実である。残りの2週間でどこまで仕上げることができるか。木村和司監督の手腕が問われることになる。
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