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先日スコッチの輸出減とバーボン出荷増と合わせて、樽の話をしました。
その中で原料、麦側に関する取り組みが注目されているとして話をまとめましたが、先日リリースされたグレンモーレンジ・トゥサイルもそのひとつ。クラフトビールの原料として使われているマリス・オッター種の大麦を、フロアモルティングで仕込んだものが原酒に使われています。
今回のディアジオのニューリリースの中で楽しみにしていた1本のひとつでした。
 
GLENMORANGIE
"TUSAIL"
PRIVATE EDTION
46% 700ml

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暫定評価:★★★★★★(6)
 
"品の良い甘い麦芽香に蜂蜜やドライオレンジピールを思わせるオーク香、微かに干し草のような乾いた香りもある。
口当たりは白粉、麦芽、スイートな甘さからドライアプリコットの甘酸っぱさ。
後半にかけては微炭酸のように小さな刺激が舌先に、乾いた木材と微かに油絵の具の香りが鼻に抜ける。
フレーバーには濃さがあり、フィニッシュは甘くドライで長く続く。"

一言で、モーレンジらしさのあるフレーバー構成です。
構成原酒としては明らかにされていませんが、今回のウリであるマリスオッター大麦は2004年にフロアモルティングされているようなので、熟成期間は10年強というところ。
オフィシャル18年ほどフルーティーではありませんが、麦芽の香味が強いリッチな味わいです。
劇的な変化ではないものの、1970~1980年代頃の流通のモレンジ・オフィシャル10年に共通する麦感の濃さが感じられて、良いじゃないかとうれしい気持ちになりました。
 
ウイスキー用の麦の品種改良は、悪天候に強く、そして効率的に糖化、アルコール摂取できる方向に進んでいました。また麦の製麦行程も、効率化の観点から各蒸留所で行われていたフロアモルティングが無くなり、モルトスターからの買い付けが主流となりました。
ところがそのその動きと合わせて原酒からコク、厚み、フルーティーさが消えていったわけです。
某博士は新しい品種で仕込んだニューポットを飲んで、「この原酒は失敗作だ、使えないよ」と、言ったとか言わないとか。
 
こうした中で、一部メーカーでは試験的に古代種の麦芽で仕込みをするなどして検証が行われていました。
フロアモルティングも見直され、一部蒸留所で復活の動きもあります。
「真にウイスキーに適した麦の探求」、樽の探求と同様にどんどん進んでほしいものです。