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今、ベテランドリンカーを中心に衝撃を与えている、エドラダワー10年現行品。
尊敬するドリンカーのM氏が感動の余り一晩でボトル2/3を飲みきり、自分も昨年飲んだ時に「パフュがない!っていうか普通に旨い!」と大騒ぎして即1本購入。
このボトルは2つの意味で評価出来る、近年希な出来栄えのシングルモルトと言えます。

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まずはテイスティングコメント。

評価:★★★★★★(6)(!)

”人工的なオレンジクリーム、レーズン、チョコレートを思わせるアロマ、奥にはウッディーな樽香もある。
レーズンバターや生クリーム(スタバのコーヒーにトッピング出来るアレ)を思わせる、
ほのかな甘酸っぱさに独特
のクリーミーさのある甘くまろやかな味わい。
フィニッシュはクリーミーさの後で、ぴりぴりとしたスパイシーさと微かな渋みが残る。”
(ボトルのロットは2014/1/30)

気がついたら2杯3杯と飲んでしまう、それくらいまろやかで嫌みの少ないシェリー感。
余韻で感じられる樽やハイランド系のピート由来とおぼしき渋みも良い仕事をしていて、非常に良くまとまっています。


このボトルの評価ポイントは2点。
・同価格帯のシェリー系ウイスキーの中では頭一つ抜けた味わいであること。
・もう一つは、脱パフュームだけでなく、かつての味わいを取り戻しているということです。

中身の出来については上述の通りなので、ここからは後者の評価点について。
エドラダワーと言えばパフュームという認識が定着しているように思いますが、以前はクリーミーな味わいのあるモルトでした。写真左のキングスランサム(1950-60年代流通)からも同様のクリーミーさが感じられます。
その後同蒸留所はパフューム主体のフレーバーとなっていくことから、現行品に半世紀前の特徴が復活したと言えるわけで、
これは全蒸留所を通して見てもなかなか無い事例です。

もっと安定して作れないのかとも思うのですが、最小の蒸留所だけにちょっとしたことでも大きく影響してしまうのでしょう。
最新版のモルトウイスキー大全(2009年発行)では良い評価がされていませんが、2013年頃の出荷分からクリーミーな味わいに変化しています。


先日の竹鶴17年の投稿でも触れた、5000円以下で輝
きのあるオフィシャルボトルの一つ。
入門者も、ベテランドリンカーも広く楽しめる、コスパ抜群の1本です。

ちなみに80-90年代頃の一時期、パフュームの無いロットがありましたが、長くは続かなかった印象があります
今回の復活は2002年に蒸留所をシグナトリーが買取り、マネージャーが変更したあたりで蒸留器の掃除をしたことが作用したという情報がありますが、だとすればその後の生産はどうなっているのか。
出来ればパフューム爆弾が仕込まれていないことを望むばかりです。


(この投稿は2月25日にFBに投稿しました。)