■ 大混戦のJ2自動昇格の2枠と入れ替え戦への切符の1枠を巡る争いは、熾烈を極めている。
1位の札幌が、勝ち点「72」で頭2つ抜け出ているが、2位の京都は、勝ち点「63」で、3位の仙台の「59」から8位の鳥栖の「54」まで、現在、8チームが3つの椅子を争う形になっている。
5位のアビスパ福岡は、30節~35節にかけて5勝1分とスパークして、一気に3位まで上昇したが、36節の京都、37節の湘南、38節の鳥栖と、ライバルチームに3連敗。流れは、良くない。
対するC大阪は、現在7位だが、この試合に勝てば、今シーズン最高の5位にまで浮上できる。
■ 値千金の決勝ゴールホームの福岡は、FWリンコン、MF久永、DF長野、MF山形辰、DF柳楽の5人が出場停止。<3-6-1>で、GK神山。DF川島・宮本・チェッコリ。MF田中・宮崎・布部・久藤・山形恭・アレックス。1トップで長谷川悠。
アウェーのC大阪は、<4-4-2>。GK吉田。DF柳沢・前田・江添・丹羽。MFジェルマーノ・アレー・香川・濱田。2トップで。小松と古橋。
試合は、前半から、一進一退の展開で進んだが、後半11分、MFアレーのロングパスを受けたFW小松が、見事なトラップから向けだして、GKと1対1になると、落ち着いてゴールに流し込んで先制する。
福岡は、MF城後、MF鈴木惇、FW宇野沢を投入し、逆転を狙いにくるが、交替選手がなかなか試合に入り込めず、結局、追いつくことは出来ず、1対0でC大阪が勝利。
■ 明暗を分けたセンターフォワード試合は、第3クール最終戦で、両チームとも上位進出には落とせない試合ということで、熱く、激しい戦いとなった。前半は、やや福岡が優勢で、1トップの長谷川を基点に、MF宮崎やMF田中のドリブルが効果的に働いた。
しかしながら、後半に入ると、C大阪のFW小松がスピードを生かしたプレーで福岡に脅威を与え始める。すると、後半11分にアレーからの1発のロングパスを、したたかにゴールに結びつけた。
福岡の長谷川は、187cmの20歳。一方、C大阪の小松は、187cmの24歳。ともに、大型の選手だが、空中戦の強さだけでなく、運動量もあってスピードも備える選手である。
この試合では、前半は長谷川、後半は小松が存在感を発揮し、小松のゴールが決勝ゴールとなった。長谷川のプレーも悪くなかったが、結果的としては、対照的なものになった。
■ キレキレの香川①チームの完成度から見ると、アビスパ福岡が、現段階では上であると見る。C大阪は、ボランチのMFジェルマーノが、まだチームに加入して間もないこともあって、まだまだ、中盤から前線にかけての連携が不十分であると感じるが、アタッカー陣の力は、C大阪が上回る。
特に目立つのは、左の攻撃的MF香川である。とにかく、ドリブルの切れ味は、尋常ではない。フィジカル的に恵まれているわけでもなくて、特別にスピードに優れているわけではないが、相手DFと1対1になれば、ほとんどの場合で、局面を打開できる。
脅威なのは、左サイドから、縦に抜けてクロスを上げることも出来るし、中央に切れ込んで自らシュートも打てる点である。DFとしては、ファールで止めるしか策がなかった。
■ キレキレの香川②この選手は、まだ18歳であり、飛び級でU20の世界大会(カナダ大会)に出場したが、2012年のロンドン五輪の代表チームの出場資格も持っている。
これまで、日本にも、多くのドリブラーが誕生したが、いずれも、攻撃能力に特化したタイプの選手であり、守備に難点があったり、運動量が乏しかったり、状況判断能力に問題があったりしたものだが、香川に関しては、そういう欠点がまったく見当たらない。したがって、まったく新しいタイプのドリブラーといえる。
同じ、U20代表だった、MF梅崎やMF柏木が、すでにA代表に選出された経験を持つということを考えると、香川も、早い段階で、A代表に呼ばれたとしても、まったく不思議ではない。脅威の18歳である。
■ 悪い流れを払拭するために福岡としては、痛い敗戦になったが、とにかく、早く連敗を止めて、悪い流れを払拭しなければならない。志向するサッカーは悪くないし、能力の高い選手もそろっている。
J2は、第3クールを終えたが、まだ、12試合も残っていて、チャンスは、十二分にある。長谷川も良くがんばって入るが、やはりFWリンコンをトップに据えて、リンコンの能力を得点に結び付けたいところである。
ただ、あまりにも、判定に対してナーバスになっていることは、気になる点である。
アビスパ福岡:採点
GK:神山 6.5
→ ファインセーブが多い。
DF:川島 5.5
→ 決定的なシュートを外す。
DF:宮本 5.0
→ ゴールシーンの対応が悔やまれる。
DF:チェッコリ 5.0
→ フィードが安定せず。
MF:布部 5.5
→ 途中で、最終ラインにも入った。
MF:久藤 5.5
→ ラストの精度を欠いた。
MF:田中 6.0
→ 激しく上下動を行った。守備での貢献も高かった。
MF:アレックス 4.5
→ ほとんど消えてしまった。スランプ?
MF:山形恭平 5.0
→ なかなか攻撃に絡めなかった。
MF:宮崎 6.0
→ 宮崎 out の判断は正しかったのか?
FW:長谷川 5.5
→ 1トップでよくがんばった。しかし・・・。
サブ:城後 5.5
→ もっと攻撃的な仕事を任せても良かったのでは。
サブ:鈴木 採点なし。
→ 久々の出場。
サブ:宇野沢 採点なし。
→ コメントなし。
セレッソ大阪:採点
GK:吉田 6.0
→ ロスタイムに好判断で、パンチングでクリア。
DF:柳沢 7.0
→ 運動量が豊富。攻撃参加のタイミングもOK。
DF:江添 6.0
→ 存在感があった。
DF:前田 6.0
→ 安定していた。
DF:丹羽 6.5
→ うまく田中に対応。フィードも正確だった。
MF:アレー 5.5
→ 危ないプレーもあるが、フィジカルの強さは魅力。
MF:ジェルマーノ 6.0
→ アレーとの補完性は、悪くない。
MF:濱田 5.0
→ やや流れに乗り切れなかった。
MF:香川 7.0
→ ファールでしか止められない。
FW:古橋 6.0
→ 惜しいシュートも。危険なリーダー。
FW:小松 6.5
→ 値千金のゴール。
サブ:ゼ・カルロス 採点なし。
→ コメントなし。
香川真司 (かがわ・しんじ) 0572 2007/04/29
【C大阪×草津】 柿谷曜一朗という才能 0640 2007/07/08
【U-20日本×U-20ナイジェリア】 グループ1位通過 0680 2007/08/06
【C大阪×仙台】 センス溢れる香川真司 0726 2007/09/09
【福岡×C大阪】 新しいタイプのドリブラー 0734 2007/09/15
「個の力」というフレーズにだまされるな!!! 0809 2007/11/11
【C大阪×福岡】 香川真司が切り開く未来 0839 2007/12/01
Jリーグ クラブ別大総括(9) セレッソ大阪編 0863 2007/12/03
J2ベストイレブン選出 (2007年) 0921 2008/02/01
こんな選手を岡田ジャパンに・・・ 0996 2008/03/26
【U-23日本×アンゴラ】 香川真司の可能性 1075 2008/05/26
香川真司のA代表デビュー戦に思うこと 1095 2008/06/15
【C大阪×甲府】 香川真司と柿谷曜一朗の未来 1161 2008/07/31
Jリーグを彩るダイナモたち 1235 2008/11/10
【甲府×C大阪】 背番号「8」の後継者 1250 2008/11/24
【C大阪×湘南】 ゴールデンコンビが訴えるモノ 1266 2008/12/09
【J2】 ベストイレブン 2008年版 1282 2008/12/22
2008年 プレーヤー総評 (セレッソ大阪編) 1312 2009/01/19
日本代表MF香川真司を論ずる。 1326 2009/02/06
【J2】 2009年シーズン 5つの見どころ 1656 2009/05/17
【C大阪×水戸】 香川真司 ハットトリック 1665 2009/05/25
【C大阪×福岡】 乾貴士と香川真司 二人の未来図 (生観戦記 #5) 1757 2009/09/03
【富山×C大阪】 進化する香川真司 1784 2009/09/22
【J2】 分かりやすく諸々の疑問に答えるシリーズ (上) 1896 2009/12/07
【J2】 ベストイレブン 2009年版 (サッカーコラム J3PLUS+ 選定) 1903 2009/12/11
プレーヤー総評 (セレッソ大阪編) 1915 2009/12/20
【J2】 今シーズンのベストゴールを考える。 (2009年版) 1956 2010/02/07
今の日本代表に必要な選手を考えると・・・。▽2007/09/09 福岡×C大阪(博多の森) by わっきーりぐさん New!!!
- 関連記事
-