■ 大誤算だったペッツァイオリ監督なぜ、「優勝候補の一角」と言われて、「史上最高のタレント軍団ではないか?」と言う人もいたC大阪がリーグ戦で低迷してあっさりとJ2に降格してしまったのか。これについては、すでに多くの人がその原因を述べているので、改めて述べる必要はないかと思うが、今シーズンのC大阪はやることなすこと全てがうまくいかなかった。これほどまでに「何もかもが裏目に出る。」というのは珍しい。J2降格の原因はたくさんありすぎるので、「なぜ降格となったのか?」の理由を述べるのは非常に簡単な作業である。
もちろん、その中でも「J2降格となった主の原因」がいくつかあるが、個人的にはペッツァイオリ監督のときに全く勝てなかったことがとにかく痛かったと思う。6月9日(月)にポポヴィッチ監督が解任されて、6月16日(月)にイタリア人のペッツァイオリ監督の就任が発表されたが、ペッツァイオリ監督が指揮したリーグ戦の9試合は0勝5敗4分けと散々な成績に終わった。FW柿谷のバーゼル移籍、MF山口蛍の怪我と気の毒な部分もあったが、9試合でわずか4ポイントでは批判されても仕方がない。
ペッツァイオリ監督は選手起用が大胆だった。DF酒本やMF長谷川アーリアジャスールなどを主力組から外して、DF安藤やMF平野やMFキム・ソンジュンなどを重用した。そして、W杯の影響でコンディションが上がってこなかったFWフォルランがスタメンから外れる試合も増えたが、結果が付いてこなかった。さらには、「4-1-2-3」という新しいシステムにチャレンジしたこともチームに混乱をもたらした。明るいニュースはDF安藤やMF平野がそこそこ活躍したことくらいで、暗黒ムードが漂うようになっていた。
先のとおり、ペッツァイオリ監督の就任が正式発表されたのはブラジルW杯の大会期間中の6月16日(月)だった。日本時間でいうと、グループリーグの初戦のコートジボワール戦の翌日なので、「ドイツ代表が世界一になったこと。」とは無関係であるが、なぜ、後任監督がトップチームを率いた経験の乏しいペッツァイオリ監督だったのか?は大きな疑問である。ドイツの年代別代表の監督を務めるなど育成年代の指導者としては経験豊富だったが、監督としての「引き出し不足」は明らかだった。
結局、9月8日(月)にペッツァイオリ監督も解任されて大熊監督が就任したが、この時点では「11試合勝ちなし」という状況だった。大熊監督の就任初戦となった9月13日(土)の柏戦(H)で勝利して、実に4か月ぶりの勝利を手にしたが、大熊監督になってからの成績は11試合で3勝6敗2分け。決して褒められた成績ではない。ただ、「11試合勝ちなし」で、かつ、「降格圏に位置するチーム」を立て直すというのは容易なことではないので、「大熊監督に責任がない。」とは言えないが、大熊監督を責めるのは酷である。
■ ポポヴィッチ監督を解任した判断は妥当だったのか?ポポヴィッチ監督のときはJ1では4勝5敗4分けで、順位は13位だった。そして、2度目の出場となったACLはGLの最終節で中国の山東魯能にアウェーで2対1で逆転勝利して決勝トーナメント進出を果たした。J1の成績とACLの成績を含めると21試合で7勝8敗6分け。「初タイトルを狙う。」と開幕前に宣言したチームにしては低空飛行だったが、このくらいのペースであれば「J1残留」は十分に可能だった。ポポヴィッチ監督を解任した決断は果たしてどうだったのか?は、今、振り返って精査する必要がある。
考慮すべきはポポヴィッチ監督のときは超・過密日程だった点である。リーグ戦とACLを並行して戦うことになったので、中2日あるいは中3日の試合が続いた。もちろん、広島・横浜FM・川崎Fの3チームも同様のスケジュールで、ACLに出場するチームの宿命と言えるが、選手は疲弊しきっていた。「このスケジュールでいいサッカーを期待するのは無理である。」と言えたので、ポポヴィッチ監督に責任を擦り付けるのはフェアではないと思うが、個人的には「あのタイミングでの解任は妥当だった。」と思う。
ACLのグループリーグの最終節の山東魯能戦(A)で5バックを採用して結果を出したが、ポポヴィッチ体制の末期は極端すぎるほど守備的なサッカーだった。「5-4-1」を採用して、1トップにFWフォルランを置いて、MF柿谷は右サイドハーフに回ることになったが、最終ラインが5人になって、『守るだけで精一杯』という感じだった。ずっと相手にボールを保持されて、ほとんど攻撃できなくて、タレント力に見合わない酷いサッカーだった。山東魯能戦(A)を除くと結果も出なかったが、それ以上に内容が散々だった。
ポポヴィッチ監督はFC東京のときから「試合の後、メディアの前で個人名を出して厳しく叱責する。」という手法を用いていたが、これがC大阪で選手と十分な信頼関係を築くことができなかった理由の1つに挙げられている。FW柿谷やMF南野がやり玉に挙がることがあったが、期待する選手の名前を出して叱責すること自体はそれほど悪いとは思わない。1つのやり方だと思うが、ライトなファンになると監督の意図を汲み取るのは難しい。ファン(≠サポーター)受けが悪くなって、ますます立場が厳しくなってしまった。
→ 2014/12/06
セレッソ大阪の「J2降格」の原因について考える。 (中編) に続く。
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