■ 苦手のカターレ戦21勝7敗8分けで首位のセレッソ大阪。前節、ロアッソ熊本に2対0で勝利して首位を守った。アウェー2連戦の2試合目となるとなる第37節は苦手のカターレ富山と対戦。
富山で対戦した4月26日の10節の試合は豪雨の中で0対0のスコアレスドロー。長居スタジアムで行われた6月14日の21節の試合は、GKキム・ジンヒョンとMFマルチネスと前半で二人の退場者を出しながらも2点差を追いつくが、最後、MF朝日に決勝ゴールを奪われて2対3で競り負けている。この試合で勝てば、Jリーグクラブ36チーム全てからの勝利達成となるが、相性の良くない難しい相手である。
ホームの富山は13勝11敗12分けで現在10位。昇格1年目のクラブとは思えないほど順調なシーズンを送っている。この試合に勝てば8位浮上の可能性もある。システムは<4-2-2-2>。GK中川。DF足助、濱野、金明輝、舩津。MF野嶋、長山、朝日、川崎。FW姜鉉守、桜井。守備の要のDF堤は出場停止。
アウェーのC大阪は<3-6-1>。GKキム・ジンヒョン。DF前田、チアゴ、羽田。MF船山、濱田、平島、石神、乾、香川。FWカイオ。MFマルチネスは怪我のため戦線離脱中。MF船山は2試合連続スタメン。
■ 香川の決勝ゴール試合の立ち上がりはC大阪ペースで進むが、前半20分過ぎから富山がペースを握り始める。カウンターからFW姜鉉守とDF舩津がゴール前で決定的なシュートチャンスを作るが、シュートは枠外。
リズムを失いつつあったC大阪は前半35分にDFチアゴに代えてFW小松を投入。<4-2-2-2>の4バック+2トップに変更する。そのFW小松がドリブル突破から決定的なシュートを放つがゴールはならず。前半は0対0で終了。
後半は、やや富山の運動量が落ちてC大阪ペースとなる。前半はなりを潜めてたMF香川が活躍。立て続けにシュートを放つと、後半16分に左サイドからMF乾とのワンツーでシュートチャンスを作ると右足でシュート。ボールはゴール前の混戦の中でブラインドになったのか緩いシュートに見えたがGK中川が防ぐことは出来ずにゴールイン。
C大阪は後半40分にDF前田が2枚目のイエローカードで退場となるが、最後、DF江添を投入し、何とかMF香川のゴールを守り切って勝利。首位を守った。
■ 進化する香川真司過去2試合と同じく富山のハードワークに苦しんだC大阪だったが、苦しい試合をMF香川のゴールで1対0の勝利。アウェーで2試合連続完封勝利となった。MF香川は2試合連続ゴールで得点ランキングでも単独トップに浮上。33試合で21ゴール目となった。
超過密日程のJ2での戦いが続いていて、さらには日本代表の活動もある。今シーズンもMF香川は重労働が続いていて、決してコンディションが言いわけではなく、今シーズン、絶好調といえるような時期はまだ無いが、コンディションが良くない中でもしっかりと結果が残るようになってきたのが1つの進歩である。
前節までの32試合で101本のシュートを放っているが、これはJ2でトップの数字。ここ2試合は周りをうまく使うプレーも増えているが、基本的には自分でドリブルをしてゴールを決めたいと考えるタイプの選手。ドリブルからシュートへ持っていくうまさは現在の日本人選手の中で有数であり、シュートのためのドリブルが出来る数少ない選手である。
デビュー当時の2007年シーズンの頃はもっと繊細でミスの少ない選手であったが、ここ最近は、イージーなミスも目立つようになってきた。ただ、その一方で、ゴール前では大胆なプレーが出来るようになってきていて、それはゴール数という形ではっきりと表れている。
サイドで起点になってドリブルでサイドを切り崩して味方のゴールをアシストするプレーがメインの仕事だった2007年頃とは別人のようで、今のMF香川は助っ人外国人のような強い自我を持っていて、その向上心は尽きる事が無い。3度目のJ1昇格へのチャレンジが続く中、もう失敗が許されないというタフな試合が続いていて、相手のマークも厳しいが、きっと彼なら乗り越えるだろう。
■ アシストの乾ここ最近、調子の落ちているMF乾であるが、ヒールキックでワンツーを成立させて決勝アシスト。この日も単純なミスは多かったが、ゴールへ向かう姿にはここ最近の試合では見られなかった躍動感があった。
7試合ゴールから遠ざかっているが、クルピ監督がMF乾をスタメンから外そうとする雰囲気はない。FW小松の調子が上がってきており、FW小松とFWカイオの2トップでMF香川をトップ下に配置するというアイディアも十分に考えられるが、クルピ監督はおそらく、そういう作戦は取らないだろう。
「若い選手にはミスをする権利がある。」とクルピ監督は語るが、こうなったら、MF乾は自分の力で調子を取り戻してゴールやアシストという結果でチームに貢献するしかない。こういうクルピ監督のかたくなな選手起用は、クルピ監督の監督としての弱点でもあり、そして長所でもある。
■ ハードワークの富山タレント力では劣る富山であるが、決定的なチャンスの数はむしろC大阪よりも多かったGKキム・ジンヒョンとMF香川の活躍が無ければ、勝敗は逆になっていただろう。
J2初挑戦のカターレ富山は、同期の栃木SCやファジアーノ岡山と比べてシーズン前の補強がほとんどなく、シーズン前の予想順位でも最下位の18位というのが多かったが、下馬評を覆す大躍進を遂げている。
この試合の前まで、36試合で36得点36失点。綺麗な数字が並んでいるが、1試合平均1失点というのは、仙台と甲府に次ぐリーグ3位の成績。ほとんどJリーグ経験の無い選手たちで固めているチームとしては異例である。
確かに1試合平均1得点のみと攻撃力は乏しいが、JFL時代を戦ってきた選手中心で、これだけJ2でもやっていけるというのは、今後、J2昇格を考えている準加盟クラブに勇気を与えるものである。
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