■ 2人への依存度の高いボランチ ザックジャパンはコンフェデのブラジル戦を含めて36試合を戦っているが、ボランチタイプの選手の出場試合数や出場時間などをまとめると表1のようになる。異なるポジション(2列目やCBなど)でプレーした時間も多少は含まれているが、その割合というのはそれほど高くないので、無視できるレベルだと思われる。
このとおり、ボランチの選手の出場機会は、MF遠藤とMF長谷部の2人に偏っていて、MF遠藤は90.1%、MF長谷部は88.3%で出場機会を得ている。これはザックジャパンの全ての選手の中で1位と2位に相当するもので、表2に示すとおり、ほとんどの試合でこの2人が同時にスタメンに名を連ねている。
「ザッケローニ監督はメンバーを固定し過ぎる。」と批判されることがあるが、他のポジションに関しては、主力のMF本田圭やDF長友などが怪我で離脱していたこともあって、意外とバックアップメンバーの出場機会が多くて、若手選手も経験を積んでいるが、ボランチに関しては、主力2人が長期離脱するようなことがなかったことも関係して、「ほぼ固定」と言えるだろう。
表1.
| | 出場数 | スタメン | 出場時間(分) | (%) |
MF | 遠藤 保仁 | 33 | 32 | 2892 | 87.6% |
MF | 長谷部 誠 | 34 | 34 | 2835 | 85.9% |
MF | 細貝 萌 | 20 | 5 | 653 | 19.8% |
MF | 阿部 勇樹 | 4 | 1 | 133 | 4.0% |
MF | 増田 誓志 | 1 | 1 | 90 | 2.7% |
DF | 高橋 秀人 | 5 | 0 | 54 | 1.6% |
MF | 家長 昭博 | 2 | 0 | 43 | 1.3% |
MF | 本田 拓也 | 2 | 0 | 10 | 0.3% |
表2.
| ボランチの組み合わせ(スタメン) | 試合数 |
1 | 遠藤保仁+長谷部誠 | 29 |
2 | 長谷部誠+細貝萌 | 4 |
3 | 遠藤保仁+細貝萌 | 1 |
3 | 遠藤保仁+阿部勇樹 | 1 |
3 | 遠藤保仁+増田誓志 | 1 |
2013/06/13
数字で見るザックジャパンのこれまで (前編) 2013/06/14
数字で見るザックジャパンのこれまで (後編) ■ ボランチはこの2人で問題ないか? では、「ボランチはこの2人で問題ないか?」というと、そう考えることはできない。第二次岡田ジャパンのときもこの2人がレギュラーで起用されており、W杯の出場権獲得に大きく貢献しているが、「世界と戦うには十分ではない。」という判断もあって、最終的にアンカーにMF阿部を起用するトリプルボランチのような布陣を採用することになった。
当時から、「この2人の守備力では世界と戦えないのでは?」という声が多かったが、3年前や4年前と比べて、彼らの守備力が高くなっているかというと、そういう感じはしない。むしろ、29歳になったMF長谷部はややピークの時期を過ぎており、MF遠藤に至っては33歳と大ベテランの域に入っている。岡田ジャパンの時と比べても、レベルダウンしているような印象もある。
もちろん、実績や経験などで、MF遠藤とMF長谷部の2人が頭一つリードしているのは確かだが、3番手以下の選手たちと比べて、埋めようのない大きな差があるかというと、そのようには思えない。そして、ボランチにはいろいろなタイプの選手がいるが、タイプの異なる選手を起用することで、チームの総合力がアップすることも考えられる。本大会に向けて、ボランチのポジションはメスを入れる場合の候補の1つと言えるだろう。
2012/10/04
長谷部誠の日本代表への選出は妥当か? 2013/06/02
【読書感想文】 「眼・術・戦 ヤット流ゲームメイクの極意」を読んで ■ 高さのあるボランチ ロンドン五輪では下馬評を覆して関塚ジャパンがベスト4に進出したが、このチームはボランチがキーになった。U-19のときから、「この世代はボランチが弱い。」と言われており、弱点とされてきたが、MF山村、MF扇原、MF山口螢などをボランチに抜擢して、アジア予選や本大会では、MF扇原とMF山口螢のC大阪コンビが活躍して、強みの1つとなった。
当時の関塚監督は「高さのあるボランチ」にこだわった。MF山村は186センチで、MF扇原の184センチとサイズに恵まれているが、大学生のMF山村やJリーグの出場機会の乏しいMF扇原をレギュラー格で起用することに関して、批判的な意見も多かったが、チーム発足当初からこだわっていた部分を捨てることなく突き進んだことが、ロンドン五輪で花開いた。
もちろん、MF山村とMF扇原の2人は「めちゃくちゃ空中戦に強い。」というタイプではないが、フィールドの真ん中に大きな選手がいると、周りの選手は楽になる。ザックジャパンも「長身のボランチ」を起用することで事態が好転することも考えられるが、ロンドンで経験を積んだMF扇原以外には、ザックジャパンの常連になっているMF高橋秀なども有力候補と言えるだろう。
2012/02/06
なぜ、ボランチMF山村にこだわるのか??? 2012/07/20
関塚監督の評価について 2013/05/08
ロンドン五輪代表の関塚監督の本を読んで・・ ■ 危機察知能力の高い山口螢 サイズには恵まれていないが、ロンドン五輪代表チームの中心だったC大阪のMF山口螢は、今のザックジャパンに大きな刺激を与えることのできる選手だと考えられる。ロンドン五輪の本大会ではMF扇原とボランチを組んでチーム内のMVP級の活躍を見せたが、最後まで落ちない運動量とダッシュの多さは、日本代表に召集されても全くおかしくないレベルに達している。
今シーズンは2列目での起用が続いており、リーグ戦では13試合で5ゴールと攻撃力を発揮しているが、一番の武器は、ガムシャラに動き回ることのできるところである。そして、運動量はもちろんのこと、スピードがあって、1対1が強くて、危機察知能力も高いので、相手のカウンターへの対処能力は日本人ボランチの中ではトップレベルと言える。
ブラジル戦では後半33分にMF遠藤に代わってMF細貝が投入されたが、MF細貝が豊富な運動量で中盤を活性化して、ボールを失った後のケアも良かったので、日本の攻撃のリズムが良くなった。こういう交代は「守備的な交代」のように見えるが、ボランチのところでボールを拾えるようになると、攻撃的なポジションの選手は仕掛けやすくなるので、攻撃のリズムが良くなるケースは多々ある。
MF遠藤あるいはMF長谷部と比べると「守備的なボランチ」と言えるが、だからと言って、チーム全体の攻撃力がダウンするかというと、そうならないことが多い。もちろん、前に出て行ってゴールを狙うこともできるので、MF山口螢というのは、今の停滞ムードを打破する可能性のある選手の1人であり、日本代表で試す価値のある選手の1人だと思う。
2012/07/28
光を照らすボランチ山口螢 2013/05/03
【湘南×C大阪】 日本代表入りが期待される山口螢 ■ 柴崎岳は戦力になるのか? その他では、鹿島のMF柴崎も有力候補と言える。昨年の秋あたりから鹿島でも主軸となって存在感を発揮しているが、テクニックがあって、ゴール前に飛び出していく力もあって、総合力の高いボランチである。そして、クレバーな選手なので、ザックジャパンにフィットするのも、それほど難しくないと思われる。
大きく分けるとゲームをコントロールする司令塔タイプであるが、鹿島ではMF小笠原とボランチを組んでいることもあって、司令塔タイプを補佐する役割もこなすことができる。今の日本代表で考えると、MF遠藤のような役割もできるだろうし、MF長谷部のような役割もできるだろう。試す価値のある選手であることは、誰の目にも明らかである。
その他では、今はCBで起用されているが、もともとはボランチであるDF今野も、このポジションでレギュラーを獲得できる力を有している。MF扇原、MF高橋秀、MF山口螢、MF柴崎らと比べると、国際経験が豊富であることはアドバンテージで、今シーズンはG大阪でボランチでプレーすることもあったので、ボランチとしての試合勘は問題ないだろう。
2012/08/03
ボランチの山村和也の可能性 2013/05/29
【鹿島×FC東京】 レベルアップする柴崎岳 2013/06/03
【J1】 ここまでのベストプレーヤーを考える。 (ボランチ編) ★ 現在の投票数・・・169票
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