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キングKAZUを超える選手 | | |　

■　43歳のシーズン

国際サッカー歴史統計連盟 (IFFHS)の記録によると、国際Aマッチは91試合で56ゴール。FW釜本邦茂に次いで日本代表史上2位のゴール数の挙げているのが「三浦知良」である。先日、新たに横浜FCと2年契約を結んだ元日本代表で43歳のフットボーラーである。

その43歳で迎えた2010年シーズンは横浜FCで10試合に出場して3ゴール。トータル出場時間は188分なので90分平均で1.44ゴールを決める計算になる。自身の最年長ゴール記録は3度塗り替えた。

8月7日に行われた21節のファジアーノ岡山戦の試合終了間際に左足でゴールを決めてシーズン初ゴールを挙げると、9月26日に東京の国立競技場で行われた28節のカターレ富山戦では直接フリーキックでゴール。さらに12月4日のシーズン最終戦で初のスタメン出場を果たすと、後半開始早々に右足のミドルシュートでネットを揺らした。

■　43歳のシーズン

ある一定以上の年齢のサポーターで、この選手に特別な感情を抱かない人はいないだろう。

Jリーグの申し子と言われたカズは、ヴェルディの黄金期、オフト・ジャパン、ファルカン・ジャパン、加茂・ジャパンの中心選手として、大事なところで勝負を決めるゴールを重ねてきた。

日本代表の試合で印象深いのは、1993年の10月4日のコートジボワール戦のゴールである。11日後にアメリカW杯の最終予選を控えたアジア王者のオフト・ジャパンはアフリカ王者のコートジボワールと国立競技場で対戦する。双方、なかなかゴールが決まらずに0対0で迎えた延長戦でネットを揺らしたのは、やはりカズだった。

続くアジア最終予選でも北朝鮮で2ゴール、韓国戦で決勝ゴール、最後のイラク戦でも決勝ゴール。国際Aマッチで挙げた56ゴールのうち、27ゴールがワールドカップ予選でのゴールであったと記録されている。

■　ジュリアス・アービングという選手

新たに2年契約を結んだ契約更新のニュースを聞いたとき、「ジュリアス・アービング」という昔のプロバスケットボールプレーヤーのことを思い出した。

「ドクターJ」というニックネームを持つアメリカ人選手は、1970年代と1980年代のABA(American Basketball Association)、NBA(National Basketball Association)で活躍した歴史に残るスーパースターで、歴代5位の得点数を記録している。また、並外れた跳躍力を持っており、「芸術品」と呼ばれたダンクシュートを武器とし、少年時代のマイケル・ジョーダンを含む当時の多くの子供たちの憧れの的となった。

人格者でもあり、非の打ちどころのないスター選手は1987年に惜しまれながら現役を引退する。当時の人々は、「ドクターJを超える選手は永遠に現れないだろう。」と言って引退を惜しんだという。

■　KAZUを超える人

国際Aマッチに限っていうと、現役で2位のゴール数を挙げているのがMF中村俊輔で24ゴール。しかし、MF中村俊輔はすでに代表からは引退している。また、現役3位で23ゴールを挙げているFW高原直泰は3年近く代表から遠ざかってしまっている。現代表でトップはFW岡崎慎司で歴代9位の18ゴールを記録しているが、まだまだ遠く及ばない数字である。

そして、数字もさることながら、その存在感やカリスマ性は、数字以上に大きなものである。スポーツ選手には、「記憶に残る選手」と「記憶に残る選手」がいるが、KAZUという選手は「記録にも記憶にも残るスター選手」であり、その振る舞いもスター然としたものである。

1998年6月。ニヨンの地でフランスW杯の最終メンバー22名に落選して、W杯を目の前にしてフランスを去ることになったとき、「日本代表としての誇り、魂みたいなものは向こう（=フランス）に置いてきた。」という名言を吐いている。この時30歳。ずっと目標にしてきたワールドカップ出場がかなわずに、「もう現役をやめてしまうのかな？
」と漠然と感じたが、あれから12年たって今も走り続けている。

1997年のワールドカップ予選では大不振に陥った。最終予選の初戦のウズベキスタン戦で4ゴールを挙げたあと、ずっとゴールがなかった。日に日にワールドカップが遠ざかっていく中、背番号「11」へのバッシングは高まっていった。もともと、Jリーグ創設当時から、ヴェルディというチームにいい印象を持っていなかった人も多かったため、「アンチ」も多かった。ただ、それも、現役で頑張り続ける姿を見せているうちに、いつの間にかいなくなっていった。スタジアムで名前が呼ばれたとき、相手チームのサポーターからも歓声を受ける選手は、世界に何人いるだろうか？

現役を引退したとき、「彼を超える選手は永遠に現れないだろう？」と言われていたドクターJは、その姿にあこがれて育って、後に「神」と呼ばれることになった少年が超えていったと考えられている。いつか、日本にも「KAZUを超える選手」が現れるのだろうか？

三浦知良 (みうら・かずよし)

　2007/10/08 　【横浜FC×川崎Ｆ】遠くないカズのラストゲーム（生観戦記 #19）
　2008/02/11 　【Jリーグ】歴代 GREATEST11　選出 (J3 Plus選定)
　2008/05/02 　みんなKAZUが好きだった。
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　2009/02/23 　フランスW杯直前でカズを外した岡田監督の選択は正しかったと思いますか？
　2009/10/18 　フランスW杯直前でカズを外した岡田監督の選択は正しかったと思いますか？ (その2)
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